セカンドオピニオンとは、医療の専門用語であり、主治医以外の意見を求めることをいいます。最近では、会計事務所の世界においても他の意見を参考にするセカンドオピニオンが求められる時代となってきています。
今回は、その会計事務所のセカンドオピニオンについて詳しく解説していきます。
個人事業主や法人、相続税が発生した相続人などは、税金の計算や会計業務を会計事務所に依頼するのが一般的です。
一度、会計事務所を決定してしまうと、再度契約するのに手間がかかったり、新しい会計事務所に一から事業内容を説明したりと他の会計事務所に変更することは簡単ではありません。よっぽどのことがない限りは会計事務所の変更はできないようになっています。
よって、クライアントは最初に決めた担当会計事務所からしか指導を受けることができない傾向にありました。
しかし、担当の会計事務所に不満があり、他の意見も聞いてみたいというクライアントが増加した結果、会計事務所のセカンドオピニオンという言葉が誕生しました。
医療の世界でもセカンドオピニオンを受けることで、病気の本当の原因が判明したり、新たな治療法が発見したり、違う視点から観ることで発見できることも多くあります。
会計や税金の世界も医療の世界と似ていて、Aの取引に対してBの答えがあるというようなものではありません。特に税金の分野ではグレーゾーンが多いため、このようなセカンドオピニオンが重要視されてきています。
会計事務所のセカンドオピニオンという風潮は昔からありました。
ただし、同時進行で他の会計事務所の意見を受けることができるのではなく、会計事務所を変更した際に変更後の新しい会計事務所からオピニオンを受けるといった流れでした。
変更後の新しい会計事務所は変更前の会計事務所の処理や作成した申告書を確認します。その際に税金の計算間違いを発見したり、節税案を発見したりして、クライアントに提案するといった会計事務所も多くあります。
更正の請求といい、以前に間違って多く納めていた税金を還付することも可能ですので、会計事務所を変更することで得するクライアントも存在します。
しかし、更正の請求は原則として5年間しか遡れないため、時間が経ってからのセカンドオピニオンは医療でいう、人が亡くなってしまった後に病気の原因が判明するように、手遅れなのです。
事業を行う個人事業主や法人、相続を受けた相続人は、税金を納めなければなりません。この税金を計算するのも会計事務所の業務です。
会計事務所によっては、与えられた資料でただ税金を計算する事務所もありますし、クライアントの取引を把握し、常に節税策を考えてくれる事務所もあります。
セカンドオピニオンを受けることで、節税策を発見できる可能性もあり、無駄な税金を納めなくてもいいメリットがあります。
会計事務所によって、節税や税務調査などに強い会計事務所もありますし、会社の経営改善を得意とする会計事務所もあります。経営分野においても、飲食業の経営に詳しい会計事務所もあれば、建設業に強い会計事務所もあります。
セカンドオピニオンを受けることで、気付かなかった経営の問題点を発見することができ、早期に経営改善をすることで、資金繰り悪化や黒字倒産の防止など、リスクマネジメントが可能となるメリットがあります。
税金や会計の分野では、「適用」という言葉があります。
一定の取引や事象に対してAの制度が適用できれば、税金を少なくできたり、補助金を受けることができたり、と大きなメリットがあります。
「適用」は知らせてくれるものでないため、「適用」漏れは高い確率で発生しています。
セカンドオピニオンを受けることで、「適用」できる制度などを発見することができ、大きなメリットを受けることができます。
会計事務所への顧問報酬は安くはないはずです。単純にセカンドオピニオンは2つの会計事務所と顧問契約を結ぶことになりますので、顧問報酬も2倍かかります。
セカンドオピニオンをする会計事務所の中には、成功報酬制を採用していて、セカンドオピニオンにより100万円の節税ができた場合に、20%の20万円が顧問報酬といった会計事務所もありますし、定額制になっている会計事務所もあります。
また、セカンドオピニンオンを受けるためにメインの会計事務所に提供している資料と同じ資料を新たに提供する必要があるので、時間も手間もかかります。
問題点が発見できればいいものの、何も改善されなかった場合は費用と時間だけがかかってしまう点がデメリットとなります。
最近では、会計事務所の中でもセカンドオピニオンを売りにしている事務所は増えています。セカンドオピニオンのメリット・デメリットを把握した上で、セカンドオピニオンを受けてみてはいかがでしょうか?何事も早期の発見が重要ですので、手遅れになる前に問題を発見しましょう!