法人税と所得税の違いは、誰が税金を納めるのか、対象期間、課税の対象となる所得、税率です。法人税は法人が支払う税金のひとつですが、所得税は個人が税金を支払います。今回は、法人税と所得税の違いはなにか、対象となる所得や計算方法の違いについて解説していきます。
法人税と所得税の違いは、以下の5点です。
法人税と所得税では、納税義務者、つまり税金を納める人が異なります。
法人とは法律によって法人格を与えられた存在であり、人間と同様に法律行為を行うことができます。
法人税と所得税は、対象となる期間が異なります。
法人税と所得税は、課税の対象となる所得の計算式が異なります。
所得税の対象となる所得は、収入から費用を差し引いた金額です。
所得税の計算式は、以下のようになります。
一方、法人税の対象となる所得は、益金から損金を差し引いた金額になります。
法人税の計算式は、以下のようになります。
益金と損金の計算式は以下の通りです。
益金=収益―益金不算入+益金算入
損金=費用―損金不算入+損金算入
法人税の計算方法については、下記の記事を参考にしてください。
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法人税と所得税は、税率が大きく異なります。
法人税の税率は法人の種類と規模によって決まっていますが、所得税の場合は所得に応じて税率が増加する累進課税方式です。
普通法人の税率は、資本金1億円を超えていれば一律23.2%になります。
資本金1億円以下の中小企業の税率は、課税所得の800万円を超える部分に対する税率は23.2%です。800万円以下の部分の税率は、軽減税率が適用され15%となっています。軽減税率が適用されるのは、2023年3月31日までに開始する事業年度までです。
法人税の税率は最大で23.2%であるのに対し、所得税は900万円を超えた部分に対する税率が33~45%と大きな差があります。
上記のように所得が900万円を超えると所得税の税率が高くなるので、所得が900万円を超えた個人事業主は、いわゆる法人成りを検討することが多いようです。
法人税と所得税は、経費の範囲が異なります。一般的に、法人の方が経費の範囲が広いです。
自宅と事務所を兼用している個人事業主の場合は、事業に対する使用面積に応じて家賃を経費として計上しますが、法人の場合は社宅扱いにすることで約50%を経費にできます。
個人事業主では費用計上できない慶弔費についても、法人では経費扱いが可能です。生命保険料については、個人事業主は最大12万円が控除されるだけですが、法人は支払った生命保険料の全額を経費計上できます。
また、法人の場合は、役員報酬も利益から控除できます。個人事業主が法人化した場合、自身に対して役員報酬を支払うことによって、自身の所得税をコントロールすることが可能です。
法人税は法人に課される税金で、所得税は個人に課される税金です。課税対象の所得や税率、経費の範囲などが異なります。個人事業主から法人化を検討する場合、所得が900万円を超えた頃が目安となります。法人税と所得税の違いを理解し、どちらが得なのかを確認しましょう。
法人税については、下記の記事で詳しく解説しています。