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これからも変化し続ける会社でありたい。セーフィー株式会社でCFOを務める古田 哲晴氏のキャリアと夢見るビジョン

HUPRO 編集部
これからも変化し続ける会社でありたい。セーフィー株式会社でCFOを務める古田 哲晴氏のキャリアと夢見るビジョン

バックパッカーとして、世界を旅するなかで感じた“母国の偉大さ”。その旅を通して得た「日本を代表するような会社を作りたい」という思いを胸に、セーフィー株式会社でCFOを務める古田哲晴氏。今回、古田氏の経験やキャリア、将来的なビジョンについてHUPRO編集部が詳しくお話を伺いました。

【略歴】

2006年 京都大学大学院エネルギー科学研究科修了
2006-2010年 マッキンゼー・アンド・カンパニー
2010-2017年 産業革新機構
2017年 セーフィー株式会社

【キャリアグラフ】

バックパッカーとして世界中を旅した経験が、今のキャリアの原点に

-大学院を修了後、コンサルティング会社へ入社しようと思ったきっかけを教えてください。

私が大学生の頃は世界中を旅するバックパッカーだったのですが、どの国に行っても日本を代表する企業の製品が使われていたり車が走っていたり、日本は世界にとってとても価値のある国なんだと誇りに感じました。そこで日本愛に目覚めた私は、“日本の会社を強くするような仕事をしたい”、“日本を代表するような会社を作りたい”と思うようになりました。

そのような夢を持ち始めた頃は、海外で活躍する商社マンや経済産業省などで働くのがいちばんの近道だと考えていたのですが、とあるコンサルティング会社の就職説明会に参加したことをきっかけに考えが変わるようになりました。説明会で聞いたのは、私が考えていたのとは全く逆の思想で、「世界を相手に日本が勝ち残っていくためには、企業ごとが勝ち残っていくしかない」「今どき官僚になって世の中を変えようとする考えはもう古い」という話だったんです。その話を聞いて納得してしまった私は、「ここしかない!」と思考を変えてコンサルティング会社に入社することを決めました。

-お話を聞いていると、バックパッカー時代はとても充実していたようですね。どのようなところに楽しみを感じていましたか?

バックパッカーをやっていた理由には知的好奇心的なものが大きく、知らない世界を知りたいという思いが強くありました。それこそ、国の生活の仕方や産業、文化など、あらゆるものに対して関心があったので、新しい発見や視点を持つことができたのはとても楽しかったですね。また、バックパッカーとして旅をしていると旅先の人だけでなく、自分と同じようにバックパッカーをやっている人との出会いもありますから、想像以上に視野が広がったように思います。そういう面ではとても楽しい日々でしたね。

同僚との差に “絶望”と“劣等感”を抱きながらも走り続けた4年間

-コンサルティング会社に入社後、グラフではモチベーションが低く記載されていますね。

私にはコンサルティングは向いていないと感じてしまったんです。それも、そう感じるきっかけになったのは入社前。内定者が参加する飲み会でした。私は周りの同僚たちの会話のスピードやテンポ、内容のレベルが違うと感じてしまったんです。参加したのはよいものの結局2時間くらいの時間があったのにもかかわらず、一言も発言できずに終わってしまいました。その時は、自分とレベルの違う人たちのところに迷い込んでしまった、となんとも言えない気持ちになったことをよく覚えています。
入社してからも業務量も多ければ残業時間も長く、もともと同僚とのレベルの違いを感じていた私にとっては、自分の出来の悪さを痛感した期間でした。当然ながら、チームで行っていた仕事で成果が出たり褒めてもらうことがあったり、楽しい瞬間や学びもたくさんありましたが、つくづくコンサルティングには向いていないと感じた1年でしたね。

-入社されて絶望感や劣等感を感じられたようですが、必要な情報や仕事をするうえで努力したことがあれば教えてください。

そこのコンサルティング会社は社員の教育に対するサポート体制が手厚く、入社後には座学もありましたし、自ら本を読むこともありました。そのような小さなことの積み重ねを地道にこなしてきたというのは大きいのかもしれません。学生の頃からビジネス書を読むのが好きでしたし、日経ビジネスを毎週読んだり、当たり前ですが、日経新聞も毎日読んでいたりと知識の蓄積はあったように思います。
特に私の場合は、同僚と比べて力不足であることを感じていましたから、社会人1年目の人たちが集まる勉強会にも参加するなど、そういった努力はしていましたね。

-2年目の後半からモチベーションが上がり始めていますね。なぜこのタイミングでモチベーションが上がり始めているのでしょうか?

この頃、モチベーションが上がったのには、2つのきっかけがあります。
1つ目は、上司がいないプロジェクトに新卒1年目の後輩と放り込まれたこと。正直に言ってしまえば、最初は「よくわからないけど、とりあえずやってみるか」という気持ちでした。しかし、実際に動き出してみると上司や先輩が過去にやっていたことや背景が見えてきて、私自身に求められていることや対応策が自然と見えるようになったんです。もちろん、自分自身がまだまだであることも痛いほどに感じました。ですが、やればできるということがわかっただけでも、モチベーションを上げるうえで1つ大きな転機でしたね。

2つ目は海外で経験を積んだこと。この時期に会社の方針が変わり、英語を習得するための海外留学をサポートする制度ができました。この制度を利用してカナダへ半年ほど英語を学びに行き、帰国後はとにかく英語を生かした仕事がしたいと会社に伝えました。その結果、南アフリカのヨハネスブルグで“英語が話せれば誰でも可”という4ヶ月ほどの案件があり、参加できることになりました。参加メンバーにはアメリカ人、ドイツ人、メキシコ人、インド人が参加していたのですが、ミーティングの時間になっても参加者が現れないなど、文化の違いには本当に驚きましたね。それでもどうにか乗り切って帰国したとき、なんでもできる気がしました。今思えば、完全に調子に乗っていただけなんですけどね。

知っていたことはごく一部。ビジネスの厳しさを学んだ投資ファンド時代

-コンサルティング会社を退社し投資ファンドへ転職されていますが、ファンドを選んだのはなぜですか?

まず転職を決意したきっかけは、企業に対してコンサルタントが外部からできることは限定的であると感じたからです。そこで、私自身が企業の経営陣側や意思決定側に行かないことには世の中は変えられないと考えました。しかし、当時は28、29歳くらいで、事業会社の経営陣どころか、経営企画部長にすらなることは難しい。そこで、若くてもある程度の裁量をもらえる投資ファンドを選びました。

-入社後はまさに“井の中の蛙”であったと。なぜそのように感じたのでしょうか。

正直に言うと、コンサルティング会社で経験したことでビジネスのことはなんでもわかっている気になっていました。まさしく、“調子に乗る”という言葉がぴったりですが、投資ファンドの会社に行ってみると、驚くほどわかることが少なかったんです。契約書は一度も見たことがなければ、バランスシートもあまり分析したことがない。さらに言えば、財務の専門家ですらない。そこで初めてコンサルティング会社でやっていたことはビジネスの一部でしかないということを思い知りました。その頃の私はまさしく“井の中の蛙”でしたね。

“上場”はゴールじゃない、セーフィーの新たなるスタート

-知人の紹介でセーフィーの社長にお会いして転職を決意したと伺いましたが、スタートアップの企業を選んだのはなぜですか?

まず次の転職先は、“成長力のある企業”というのが大前提でありました。
この頃は、バックパッカーの頃に夢見た“日本の会社を強くするような仕事をしたい”、“日本を代表するような会社を作りたい”という思いが再燃していました。なので、Sonyやトヨタに続くような日本を代表する企業になれるかというポイントはとても大切な基準にしていましたね。
特に、社長の佐渡島の話を聞いていると、セーフィーであれば日本を代表するような企業になれるのではないかと、素直にそう思えました。あとは、ある程度の裁量を握れること。そして、セーフィーを選んだのには、何より社長の人柄はとても大きかったですね。

-やはり会社を選ぶにあたり、社長の人柄は大きいのですね。

ファンド時代も合わせれば、今までに100人以上の社長に出会ってきましたが、私史上ベスト3には入る人だと思っています。
まず、彼は文系なのですがテクノロジーのことをよく理解している。それに、彼にはワードセンスがとても冴えているんです。だから、彼の未来を見通すような話にはものすごく興味がそそられました。実際に話を聞いたときには、こんなに面白く未来を語る人はみたことがない、とさえ思ったほど。おそらく、そんな彼には人を引きつける力があるんでしょうね。

-古田さんの書いているnoteを読んで、新しいIPOという言葉がお似合いだなと感じました。親引けや、自分と強力なパートナーになってくれるようなところから資金調達をするなど、今までにないような形でIPOを達成されていますが、どうやってそのようなことを思いついたのでしょうか。

主に投資ファンドにいた頃の経験がとても役に立っていますね。
当時足繁く通っていた会社が投資1年後にマザーズに上場し、さらにその1年後には東証一部まで上がったのですが、その過程を見ていたのでなんとなくIPOのプロセスは理解していました。それに、大企業と共同買収の仕事をしていたので、大企業が投資に対してどのようなリターンを求めているのか、さらには社内のプロセス、社内稟議の必要な立て付けなど、大企業を巻き込む術にも自信があったんです。自分たちの会社にメリットがあるのはもちろん、大企業にとってもメリットがあって、win-winな関係を築ければそれ以上のことはありません。過去の経験を生かすことができれば、それは難しいことではないんじゃないかと、そう思いました。

-IPOを達成されてみて、どのように感じましたか?

正直に言えば、8割はホッとした気持ちでした。IPOを達成するまでに、たくさんの人に協力いただいたので、「絶対に達成せねば……」というプレッシャーがありました。なので、無事にIPOを達成したときには、「とりあえず上場できたんだ。よかった……」とホッとする思いでしたね。
ただ、IPOを達成することがゴールだとは微塵も思っていません。むしろ、これからだと。たくさんの人に協力いただいているからには、やり切るしかない。まだ、会社としてのやりたいことは10%も達成していないんです。今は、「ようやくこれからだ!」という気持ちで溢れています。

協力し合えるたくさんの仲間たちと世界へ

-今後、海外進出も目指していくなかで、どのような人と働いていきたいですか?

セーフィーでは、“夢を語りまきこみやりきる”という言葉を掲げ、海外に進出することだけでなく、絶えず新しいことに挑戦していくことをカルチャーとしています。
ですから、「私はプロフェッショナルだから、依頼されたことならなんでも返せます!」みたいな人ではなく、「私はこれがやりたいんです!」と周りを巻き込んで引っ張っていける熱量を持った人と一緒に働いていきたいですね。
あとは、何事も自分ごとだと思って対応できるかどうかは、とても大きなポイントになると思います。ビジネスは、いろんな専門知識を持った人たちが集まることで成り立っています。そのたくさんの人たちをつなぎ、コミュニケーションをしっかりと取り、他人をリスペクトする心を大切にする人材であること。これは人として当たり前のことですが、想像以上に大切なことだと思います。
新しいことを始めようとすると、どうしても従来だったら……、前例だったら……、これまでのやり方だったら……というような過去の蓄積された経験を生かせないことがあります。そのようなときに、「私がやります!」と積極的に行動できる人と働けることを願っています。

-5年後、さらには10年後に思い描くキャリアについてお聞かせください。

私が思い描く将来像は実にシンプルで、セーフィーという1つの会社が世界に展開してグループ企業として羽ばたいていくこと。そして、私自身が引き続きCFOとして全体の舵切りをしていくことです。これからも、セーフィーのCFOとして組織や業績の拡大に貢献していきたいと思っています。

-やはり組織を大きくするというところは、一つ大きな目標になりそうですね。

やはり自分たちが作る製品にはとても自信がありますから、世の中にセーフィーの製品を使ってくれる人が増えれば増えるほど世の中が便利になると思っています。自分たちが儲けるための自信ではなくて、世の中全体がいい方向に動くと確信しているんです。これからも、セーフィーの製品のよさをたくさんの人に広げていきたいですね。

成長に “変化”は必要な材料

-最後に、読者にメッセージをお願いします。

私から1つ言えるのは、変化のある環境にいたほうがいいということ。
一般的には、大企業に就職することがすごいことだと言われています。もちろん、決して大企業にいるのが悪いことだとは言いません。ただ、大企業だと変化が少なかったり、任せてもらえる仕事はほんの一部であったり、意外と学べることの範囲が限定的であるように思います。そこで、あえて小さい企業やスタートアップ企業を選ぶことで、若い頃から仕事を任せてもらえたり、チャンスを獲得しやすい環境が整っていたり、意外と将来的のためになる経験を積めるように感じています。

“若い頃の苦労は買ってでもしろ”とはまさしくこのことで、小さい企業やスタートアップ企業は大変なことも多いですが、変化を楽しむことさえできれば、きっと伸びていくことができるでしょう。そういう意味では、セーフィーはこれからも変化を楽しむ会社であり続けます。ぜひ、変化を楽しめる人と一緒に働けることを楽しみにしています。

ー本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
本日お話を伺った古田様がCFOを務めるセーフィー株式会社のHPはこちら

この記事を書いたライター

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