議事録とはなにかご存知でしょうか。議事録とは一般的に会議の内容を記録し、共有することを目的として作成されるものです。中でも株主総会では「必ず議事録を作成し、一定期間保管しなければいけない」ということが法律で決められているため、非常に重要な書類となっています。この記事では、株主総会においての議事録の役割や書き方、保管方法まで詳しく解説していきます。
株主総会議事録とは
株主総会議事録とは、株式会社で行われる株主総会で議題に挙がったことや、どういった過程を経て最終決定が下されたかなどを記録した書類のことを言います。
株主総会議事録は「会社法」と呼ばれる法人を対象とする法律により定められています。そのため、株主総会が行われるときには必ず作成をしなければいけません。
1-1.株主総会議事録の必要性
「会社法318条1項」により株主総会の議題や進行状況、議決内容を記録する株主総会議事録の作成義務があります。しかし、株主総会議事録は議事の経過や議題の決議に対する結果が記録によって分かれば良いので、詳細なことというよりも議論の概要を記録するもので問題ありません。
1-2.株主総会議事録の役割
株主総会議事録は、商業登記の添付書類とし必要だけでなく、裁判や税務調査等においても重要な役割を果たします。会社法で定められている理由はここにあるのです。
株式会社の経営において、定款や会社法等の様々な法令を遵守しているか否かを確認し、その根拠を示す記録としても非常に重要な資料となります。
株主総会議事録の記載事項について
株主総会議事録に記載しなければいけない事項の一部を下記に挙げております。
・株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
・株主総会の議事の経過の要領及びその結果
・株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
・株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
・株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
会社法施行規則72条3項より引用
また、株主総会議事録は書面以外に、電磁的記録で作成してもよいこととなっています。
株主総会議事録の書き方
株主総会議事録の内容は各社それぞれ各回によっても変わるということと、特に決まった形式はないため1つのサンプルとしてご紹介します。
第〇回定時株主総会議事録
開催日時: 平成〇年〇月〇日〇時〇分
開催場所: 当会社本店
議決権を行使することができる株主の数: 〇名
議決権を行使することができる株主の議決権の数: 〇個
出席株主数: 〇名
出席株主の議決権の数: 〇個
(出席株主は委任状による出席を含む)
出席取締役 : 〇〇太郎、〇〇一郎、〇〇花子
出席監査役 : 〇〇二郎
<報告事項>
事業報告の件
議長は、当社第〇期(平成〇年〇月〇日から平成〇年〇月〇日まで)の事業報告につき、事業報告に基づきその内容を報告した。
<決議事項>
第1議案 第〇期計算書類の承認の件
議長は、当社第〇期(平成〇年〇月〇日から平成〇年〇月〇日まで)の計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表)の内容を説明した後、本議案の賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。
第2議案 取締役3名選任の件
議長は、本株主総会終結の時をもって取締役3名全員が任期満了となることから、改めて取締役として下記の者を選任したい旨を説明し、本議案の賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。なお、被選任者は即時就任を承諾した。
記
取締役 : 〇〇太郎、〇〇一郎、〇〇花子
以上をもって本総会の議事を終了したので、議長は閉会を宣し、午前〇時〇分散会した。
上記決議の経過とその結果を明確にするため議事録を作成し、代表取締役〇〇太郎はこの議事録を作成し、記名押印する。
平成〇年〇月〇日
〇〇株式会社 第〇回定時株主総会
議 長
代表取締役 〇〇 太郎 (会社代表印) (捨印)
株主総会議事録の保存方法
株主総会の議事録は、株主総会が開催された日から本店に10年間、またその写しを支店に5年間据え置くことが義務付けられています。(会社法第371条第1項参照)
また、この義務を怠った場合には、義務の責任者である代表取締役が100万円以下の過料に処せられます。
まとめ
このように、株主総会には必ず議事録が必要になります。今回解説したように、議題や進捗状況は各社、各回異なります。ぜひ、ご紹介した議事録のサンプルをベースに株主総会議事録の作成を行ってみてください。