士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

監査法人からスタートアップへ。CLAS中島悠太氏が「家具・家電のサブスク」で目指す世界観

HUPRO 編集部
監査法人からスタートアップへ。CLAS中島悠太氏が「家具・家電のサブスク」で目指す世界観

大学時代に公認会計士試験に合格、その後は監査法人に入社。1年目でプロジェクトリーダーに立候補するなど、常に挑戦する心を忘れずキャリアを築いて来られた中島氏。その後はコンサルには進まず、ベンチャー企業の株式会社クラスに入社。資金調達などを経験した中島悠太氏の経験、思いなどをHUPRO編集部が伺いました。

【略歴】

2014年 公認会計士論文式試験合格
2016年 慶應義塾大学商学部卒業
2016年 有限責任監査法人トーマツ入社
2018年 株式会社クラス入社
2018年12月 管理部 部長就任
2019年12月 執行役員就任

【キャリアグラフ】

大学時代に公認会計士の資格を取得し、大企業の経理業務を経験

ー大学3年生で公認会計士の資格をとったということですが、きっかけはなんですか?

高校時代、私は指定校推薦で大学の商学部への進学が決まっていました。周りが受験勉強をしているので、自分も何か勉強してみようと簿記を始めてみました。2級を取得できたことで「結構自分に合っているな」と気づきました。そのことがきっかけで、大学に入って会計士にチャレンジしました。

ー資格取得のために、どのような勉強をしていましたか?

会計士の学校に通っていました。学校で受講して、帰りの電車でさらっと振り返りをして、次の日も振り返りをして、次の授業前にも振り返るということを徹底していました。大学の近くに資格の学校があったのですが、家から1時間半くらいだったので、毎日その帰り道で振り返るのが習慣になっていましたね。

ー公認会計士の資格を取得した当時、どういうキャリアを描いていこうかされていましたか?

当時は試験に受かることが目標で、会計士になったらどういう仕事があるのかというのがよくわかっていませんでした。受かってからいろいろな人の話を聞き「こういう働き方があるのか」というのを知っていきました。就職活動では、コンサルティングファームなどにも興味はありましたが、まずは実務要件を満たそうと監査法人を検討していました。

ー学生時代は、経理のアルバイトも経験されていたとのことですね。

はい、3年生の8月に会計士試験が終わり、9月から勤務していました。上場企業の経理部門で、有価証券報告書の作成や決算の締め処理を任せてもらっていました。逆に社員の方に「これはどう処理したらいい?」と聞かれることもあったんです。

ー経理のアルバイトを始めたきっかけは何ですか?

もともと先輩がその上場企業でアルバイトしており、誘われたのがきっかけです。私自身、社会との接点を持ちたいという気持ちがありました。監査法人に入ると外側から会社を見る立場になりますので、会社の中からの視点を事前に知っておくことで、監査法人の仕事にも生きるという話を先輩として、面白そうだと思って始めました。その当時は勉強したことが実務に結びつく手応えも感じつつ、プライベートも今まで我慢していた分充実させてと、とても充実した1年でしたね。

入社1年目でプロジェクトリーダーに立候補しマネジメントを経験

ー監査法人に就職したものの、配属先は希望した部署ではなかったのですね。

はい。規模感が小さいところからしっかりと見て、全体を早くつかめるようになりたいというのがあり、IPOや上場準備をメインでやる部署を希望していました。
実際に配属されたのは、国内の大企業を監査するチームで、15名くらいメンバーがいました。一方で上場準備のチームは2、3人のメンバー構成だったので、幅も深さもありそうだなと思っていました。

配属先では、誰でも名前を知っているような大企業の監査業務と、リクルート業務の両方を担当していました。実際に製造現場を見に行って、どういうふうに作られているかを見て、数字をチェックしていました。

ー監査法人では、どのようなことを意識して仕事していましたか?

会計の専門知識などは勉強してきたので、ソフトスキルを身につけることを意識していました。入社1年目から上場会社の部長にヒアリングをする仕事なので、何を知りたくてヒアリングするのかの事前準備も大切ですし、一定の業界知識への理解を踏まえた質問をしないと失礼になってしまいます。いかにコミュニケーションを取るかを意識していました。

ーソフトスキルを上げるために、どのような工夫をしていましたか?

上司や先輩に同行するときに、どういう話をしているかを聞いて習得するのが一番ですね。あとは実際に話した内容を振り返って「ここが失礼な言い方だった」「ここは勘違いをしていた」ということを反省する時間を作っていました。あとは読書で知識を入れるなどで、特別なことは一切やっていません。よく言われていることを愚直にやったという感じです。

ーリクルート業務の方はどのようなことをしていましたか?

会計士試験受験者を対象に、採用人数を追っていたため、どのやったら採用できるのか。ターゲットやアプローチ方法なども議論しながら、イベントを企画・設計・運営まですべてやっていました。候補者とコミュニケーションを取るなど、自分でも動きながら、プロジェクトリーダーとして全体の統括もしていました。

ーリクルート業務にも関わるようになったのはなぜでしょうか?

希望部署を出す際に、合わせてリクルート業務にも立候補しました。当時リクルート業務のメンバーは、1・2年目の若手でつくられていました。監査チームはパートナーも含めて年齢が上の人が多く、別の枠組みで同年代と働いてみたかったんです。あとは1つのことだけをやるというのが性分に合わず、いろいろなことにチャレンジしたかったのもあります。

ーリクルート業務のリーダーになったのはなぜですか?

私はリクルートチームの前のリーダーと仲が良かったんです。そのリーダーから「メンバーでやるのとリーダーでやるのは立場が違う、同じ経験をするなら、リーダーになったほうが見えてくるものが変わってくる」という話を聞いて、立候補しました。リーダーを経験することで、「何が問題なのか、何が課題なのか」を常に意識して仕事するようになりました。それは現在のマネジメントにも活きています。

ー監査法人には3年弱、勤務したということですが、3年の間でつまずいたこと、くじけそうになったことは何かありましたか?

ヒアリングに苦労しました。最初のうちは、何か質問して相手から答えが返ってくると、そこで止まってしまい、そこから深掘りできなかったのです。「事前準備がすべてである」と理解してからは、少しずつ改善できるようになりました。

自分が影響を与える「変数」になれることに魅力を感じCLASへ転職

ー監査法人に勤務する中で、次のステップに行こうと考えたきっかけはなんでしたか?

監査法人でスペシャリストとして専門性をどんどん身につけていく一方で、ゼネラリストとして視野を広げていく方が、自分の性分に合っているのかなという気持ちがあったからです。
会計士の勉強をしていたときも、1つの科目だけ何時間も勉強すると飽きてしまうので、複数の科目をマルチに勉強していたんですよ。
当初はコンサルティングファームへの転職を考えていて、監査の業務と並行して転職活動をしていました。

ーしかし最終的に選ばれたのは、スタートアップ企業のCLASだったのですね。

はい。私はAmazon Primeを観ていたので、番組に出演していた代表の久保(裕丈氏)のことを以前から知っていました。あるとき先輩と雑談していたときに、その久保が会社を立ち上げたという話になったんです。ホームページを見て面白そうだなと感じ、採用申し込みしました。それからメールで「会ってください」と履歴書を送り、代表と話して、その週明けにオファーレターをもらいました。当時はコンサルでほぼ内定がもらえそうなところもあったのですが、そこをお断りしてCLASに行きました。

ーCLASのどんなところに興味をもったのでしょうか?

始めたばかりで何もないということで、自分の努力次第でいろいろなことをやれる、むしろやらないといけないというところです。会社の成長も自分の成長も、自分がやるかやらないかで大きく変わる。つまり自分が「変数」になる環境というのが魅力的でした。

ーコンサルを辞退してまでCLASに決めたのはなぜですか?

久保は外資系コンサルの出身です。私はコンサルに転職して、仕事の進め方や考え方を先輩から学びたいと考えていたのですが、久保と一緒に仕事をすることで、コンサルに行かなくても実現できるのではないかと考えました。また、ゼロベースでやれるところへの興味が上回ったのもあります。

ーこれから始まる会社への転職に、不安はなかったですか?

正直そんなにありませんでした。代表は最初に立ち上げた会社を2015年に売却しており、今回は2社めの立ち上げですから安心感がありました。また、会計士という資格があるので、いざとなったら会計の世界に戻れるだろうというのもあります。

ー中島さんの挑戦心はどこで培われたのでしょうか?

おそらく、根っこにあるのは負けず嫌いなんだと思います。勉強でも1回良い成績を取ると、そこから落ちたくないからずっとやり続けていました。挑戦することで、どんどん視野が広がり、出来ることが増える。その循環が自然とできていたように思います。

資金調達を経験し、会社も個人も大きく成長

ー中島さんはCLASに入社して何年でしょうか。またどのタイミングで執行役員に就任したのですか?

入社して3年半です。世間で言うCFO的な業務を担っています。そこから管理部 部長になり、約1年で執行役員になりました。

ー今はどのようなお仕事をしていますか?

投資家や銀行・金融機関などからの資金調達や、予算の策定、管理部門全般です。経理は自分でも手を動かしています。人事や法務についても、私が管掌しています。あとは上場も考えているので、監査法人や証券会社とのコミュニケーションも全部やっています。プレイヤーからマネジメントまで、縦にも横にも幅広いレイヤーの業務を担当していますね。

ー全て一人でやっているとは思えないですね。管理部門はどれくらいメンバーがいるのですか?

現状、正社員は私を含めて5名です。あとは業務委託やアルバイトがプラス3、4名いますね。

ー仕事のやりがいをどこに一番感じますか?

実は今まで監査法人でやってきた業務で、CLASの仕事に生きているのは1割あるかないか、全部新しくインプットして勉強してという感じなんです。そこに対して非常にやりがいを感じています。コミュニケーションを取るときも、おそらく1年前よりも、今の方が話せる幅や内容が広がっているという手応えがあります。

ー2021年9月に資金調達をしていますが、この経験を振り返ってみて、どのような想いがありますか?

CLAS、総額約21億円の資金調達を実施。「サブスクリプションサービスのマーケットプレイス」へ|CLASのプレスリリース

一言でいうと、つらかったですね。何かミスがあって取引が中止になった場合、会社の存続に直結するので、一つ一つのプロセス、コミュニケーションにはすごく神経を使っていました。

また、投資家や株主とのコミュニケーションも「そのスケジュールだと難しい」と言われながら粘り強く調整していきました。特に資金調達の最終局面では「期限が切れて、1日でも遅れたらもう終わり」みたいな世界観です。捺印などの手配も必要で、そこも配送が1日遅れたら終わります。弊社はリモート勤務を推奨しているので、オフィスに「○日に行きます」「○日にいてください」といった捺印や配送に関する調整も含めて、全部自分でやっておりました。

当時は監査法人の対応、証券の対応、決算をすべて1人でやっていたので、正直全体の業務を回すのに苦労しました。最初の交渉は代表がメインでやっていたのですが、合意が取れたあとで着地に持っていくところは私がメインでしたので、大変でしたね。

ただ、決してつらいだけではなくて、安堵の気持ちが一番大きかったですね。そして資金調達に成功したことで、やらなければならないことのレベルが更に上がったと感じています。自分たちはこれからもまだまだスキルアップできる、レベルアップできるというワクワク感もありますね。

ーメンタル的にも大変だと思いますが、メンタルケアは意識していますか?

はい。調達がおわったときは放心状態が続いていたので「これ、やばいな」と思いまして。そこで代表にモチベーションが低いことを素直に伝え、少しリフレッシュしたり、いろいろな人と話したりして、メンタルケアを行いました。

普段は、マッサージやサウナ、温泉に行くなど、自分をケアする時間を作っています。あとは何もないと会社のことや仕事のことを考えてしまうので、好きな漫画に没頭して、強引に頭を切り替えることもあります。

「これをやりたい」と思ったときに出来る自分になるため、経験値を増やしたい

ー中島さんは今後5年後や10年後、どうなっていたいと考えていますか?

個人でどうなっていたいかというのは、全くありません。今から10年前、これほどスマホが流行ることを予想できた人はほとんどいませんでした。それと同じで、どうなるかわからないことを描いても仕方ありません。2、3年後くらいを描いて、あとは積み上げていくような感じです。どちらかというと、今のうちに経験値や成長を増やして、将来これをやりたいと思ったときに、それをできる状況にしておきたい。会計士の勉強も、その一環ですね。

ー会社としてはどんな風に成長していきたいですか?

家具や家電がほしいと思った時、今までは「買う」しか選択肢がありませんでした。しかし今はCLASがある、サブスクという選択肢があるということを徐々に知っていただけるようになってきたと感じます。CLASはこれから更に、一般の方にとって身近な存在、生活の基盤に入り込める会社だと思っていますし、そうなっていきたいです。もちろん、人によっては買う方が良いという人もいるでしょうが、選択できること自体がプラスですよね。そういう世界観になればいいなと思います。

ー中島さんにとって、CFOや管理部門の仕事の魅力は何だと思いますか?

CFOだけでなく経営陣全体に言えることですが、経営者は「世の中はどうあるべきか」というのを考えていかなければいけない立場です。考え続けることで視野や目線がどんどん広がっていくし、新しいことを得られるのが魅力だと思います。

また管理部門は、数字はもちろん組織や人事も含めて会社の土台づくりを担っています。土台がしっかりしていないと、会社は成り立ちません。土台をしっかりさせることで、会社のためになっているし、お客様のためにもなる。その両方を感じられるのが魅力です。

ー最後に、CLASの管理部門が求める人材を教えてください。

管理部門は、他のメンバーがいかにストレスなく働けて、パフォーマンスを発揮できる環境を整えられるかが一番の役割なので、そこを大切にしてもらえる人です。
またCLASは「“暮らす”を自由に、軽やかに」という会社のビジョンや、5つのバリューをとても大事にしています。
1.主体的であろう
2.まずは打席に立とう
3.和を重んじ、環を創ろう
4.変化にしなやかに、したたかに
5.最高以上を目指そう

これらのバリューやビジョンに共感してくれる人と、一緒に働きたいですね。

ー本日はお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。

今回お話をお伺いした、中島悠太氏が執行役員 兼 管理部部長を務める、株式会社クラスのHPはこちら! 中島悠太氏のTwitterはこちら!

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:キャリア

おすすめの記事