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企業に貢献できる人間でありたい。株式会社ホットリンク執行役員、石塚悠悟氏が考えるキャリアの軸

HUPRO 編集部
企業に貢献できる人間でありたい。株式会社ホットリンク執行役員、石塚悠悟氏が考えるキャリアの軸

大学時代に家業の倒産を目の当たりにしたことから、企業の成長に貢献できる人材になるという軸を持ってキャリアを形成してきた石塚悠悟氏。トーマツイノベーション株式会社、PwCコンサルティング合同会社でのコンサルタント経験を経て、2016年に株式会社ホットリンクに入社してからも、自社およびクライアントの売上に貢献することにコミットし続けています。そんな石塚氏の現在に至るまでの経歴やキャリアを築く中で大切にしている考え方などについて、HUPRO編集部がお話を伺いました。

【略歴】

2012年4月 トーマツイノベーション株式会社 入社
2015年7月 PwCコンサルティング合同会社 入社
2016年10月 株式会社ホットリンク 入社
2019年4月 株式会社ホットリンク執行役員就任、現在に至る

【キャリアグラフ】

家業の失敗を目の当たりにし、企業に貢献できる人材を目指す

-最初にご自身のキャリアについて考え始めたのはいつ頃のことでしたか。

大学2年生の時ですね。実家が茨城県で納豆メーカーを営んでいたのですが、倒産してしまったんです。当時学生だった私にできることは何もなく、家業が潰れていくのをただ見ているしかありませんでした。その時に、無力感が大きかった反面、将来は企業を救える、企業の成長に貢献できる人材になりたいと強く思いました。

そこからキャリアについて真剣に考え始め、IT企業やベンチャー企業で長期インターンをしたり、学生主催の起業サークルに入ったりしました。この活動を通して、事業に関わることやサークル組織をまとめる経験を積みました。

-新卒での就職先にトーマツイノベーション株式会社を選ばれたのはなぜでしょう。

新卒で就職先を決める際に自分の中にあった軸は、企業を成長させて支えることのできる人材になることでした。とはいえ、どのような領域で、どんなスキルをもつ人になれば具体的に企業に貢献できるのか、そこまでは新卒時に決めきれませんでした。様々な企業の課題を解決できる人材になるためには、コンサルタントが近道かと考えました。トーマツイノベーションは特に中小・中堅企業向けのコンサルティングを行っていたので、実家のような中小企業を支援できると思い、就職先として選びました。

-実際に入社されて、どんな経験をされましたか。

主なクライアントは中小・中堅企業の経営者でしたが、最初の頃は話を聞くことしかできませんでした。「こういう課題があって上手くいっていない、困っている」と相談されても、力量不足だった私には何も提案できず、役に立てないことが苦しく、悔しかったです。

それからは、インプットとアウトプットを繰り返しながら場数を踏みました。日々の継続的なインプットや業界・クライアントに関する調査、先輩コンサルタントとの壁打ちを通して仮説や解決策の精度を高め、アドバイスしてみる。上手くいかないときは、戦略や方向性が間違っているのか、実行段階で行き詰まっているのかなどを考えながら課題解決の打ち手を再考し、上手くいくまで経営者と並走することを心がけていました。

2-3年目になってクライアントの経営者から「石塚さんのお陰で上手くいった」「会社が良くなってきた」というお声をいただくことが徐々に増え、クライアントに貢献できている実感とともに、やりがいも感じました。

入社前に考えていた通り、コンサルタントの面白さは、様々な企業における経営課題解決に携われることにあります。企業規模や市場環境、経営・事業フェーズによって経営課題は変わりますが、その多様な課題解決に携われたことで、自分が貢献できる幅を広げることができました。

-PwCコンサルティングに転職されたのは、どうしてですか。

中小・中堅企業と大企業では経営課題も異なれば、課題解決の打ち手やプロジェクトの進め方も異なります。
コンサルタントとしてより力量をつけるために、大企業向けのコンサルティングの経験も積みたいと思い、PwCに転職しました。

PwCでは大企業向けのコンサルティングや官公庁と共に進めるプロジェクト、M&Aにおける企業価値算定や組織統合支援など、前職では経験できなかったプロジェクトの経験を積めました。

当事者として課題を解決するために、コンサルティング会社から事業会社へ

-ホットリンクへ転職した背景をお聞かせいただけますか。

コンサルタントの仕事にやりがいを感じてはいたものの、経営課題解決における当事者・実行者はクライアントであり、コンサルタントはあくまで支援者という立場です。支援者として関わるだけではなく、当事者として経営課題を解決し、企業成長に繋げることをしていきたい思いが強くなっていきました。その中で、多くの企業が悩む売上アップ領域の事業であったこと、今後ソーシャルメディア活用がより求められる時代になっていくと感じたこと、ソーシャルメディアのビッグデータを保有し優秀なデータサイエンティストが多数いたことに魅力を感じ、ホットリンクへ転職しました。

-コンサルティング会社から事業会社に転身されて、実際どうでしたか。

2016年10月に入社して、12月までは人事や経営企画などのコーポレート業務を専任でやっていました。ホットリンクの事業と組織をいかに良くしていくかを考える中で、最初に注力したのは組織と採用領域です。それまではエージェントを通した採用活動をメインで行っていたのですが、採用コストを削減しつつマッチ度の高い人材を採用できるよう、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用を推進しました。

他には事業部門のサポートや課題解決に取り組んでいたのですが、採用が上手くいっただけでは、すぐには会社の売上増加にはつながりません。ホットリンクに対していかに貢献できるか、ホットリンクを通して多くの企業に貢献できるかが私のモチベーション、やりがいの一番大事なところであるのに、経営や事業に対して大きなインパクトを出せていませんでした。

コンサルで培った知見があるものの、戦略や打ち手を考えても組織や人を動かす実行フェーズがうまくいかないことの悩みが大きかったです。特に、課題解決を進める際に「やるべき」だけでは何も進まず、「やりたい」と意思と熱量を持って主導しないと進まないことを体感し、支援会社と事業会社での違いに戸惑うこともありました。このような事業会社の課題解決の奥深さ、難しさに直面し、当事者として実行する面白さがある反面、言い訳ができない大変さも実感しました。

-その後営業本部ソリューション営業部を兼任されますが、どんな取り組みをされたのでしょうか。

プロダクトの責任者としてプロダクトを良くして新規の契約を増やし、解約を減らして売り上げを上げるという活動をしていました。プロダクトはSNSの口コミ分析ツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」だったのですが、責任者になって既存のクライアントにヒアリングをして回ったところ、プロダクトを使いきれていない方が多いことが分かりました。データを分析してモニタリングをして終わってしまっていて、データをもとにその先のマーケティング活動に活かせている会社が少なかったことに直面しました。カスタマーサクセスなどの活用支援にも注力しましたが、プロダクト単体の改善や活用支援だけではクライアントへの貢献は限定的だと感じました。

-そこから新規事業を開拓されたわけですね。

はい。データや分析領域だけで貢献するのではなく、データ分析・活用を強みに自社でマーケティング戦略・戦術までを支援することがデータの価値化に繋がるなと感じたのが、事業転換のタイミングです。そこで、SNSのデータ分析に加えて、分析したデータを活用してマーケティング戦略の策定から打ち手の実行支援に至るまでを、トータルで行うマーケティング支援事業を立ち上げました。現在ではこの事業が弊社の主力事業になっています。

-事業責任者としてのやりがいを感じるのはどんな時ですか。

具体的には二つあります。

一つ目は、推進している事業を通して、クライアントに貢献できている時。支援しているクライアントから「ホットリンクに支援してもらって売り上げが伸びた」「ホットリンクをパートナーに選んで良かった」と言っていただく時にやりがいを感じます。

二つ目は、事業・コーポレートの責任者として、ホットリンクの事業成長や売上増加に貢献できた時。その事業活動の根源となる組織構築に貢献できたと感じる時にやりがいを感じます。

順番としては、まずクライアントに貢献する事業とサービス提供ができ、その結果としてホットリンクの売上が上がり、最後にはホットリンクの企業価値に繋がっていくと思っています。

新しいことに挑戦して偶発性を掴み取る

-これまでのキャリアで一番大切にしてきたことは何でしょうか。

仕事をする中でこだわってきたのは、まずは自分が与えられる役割の中で目の前の仕事に全力でコミットし成果を最大限出すということです。そのつぎに、役割の中では自分の成果は出せたけれども、結果として組織や事業があまり上手くいっていない時は、自分の立場に囚われず、役割や組織を超えて新しいことに挑戦をしていくということを意識してきました。

ホットリンクでも、データ分析の事業からマーケティング支援事業に挑戦してクライアントへの貢献度を高めることができています。今後も個人・事業共に新しい挑戦を繰り返しながら、貢献度を高めていきたいと思っています。

-将来のビジョンや今後の展望をお聞かせいただけますか。

ホットリンクが現在目指しているビジョンは「ソーシャルメディアマーケティングにスタンダードを創る」です。ソーシャルメディアマーケティングの活用においては、まだまだスタンダードや戦略を考える上で参考にするロジックが確立されておらず、その結果、SNS活用をしているけれど成果につなげられてないという企業が多いです。目の前のクライアントの成果を最大化するのはもちろんですが、ソーシャルメディアマーケティング業界全体にも貢献し、牽引していくことを目指しています。

個人としては、今できることをやっているだけでは、自身のキャリアにも組織の成長にも繋がらないと考えています。今の自分にはできなくても、未来に必要な領域に挑戦し、自己成長を続けていけば、結果として企業への貢献にも繋がります。この貢献の価値を大きくし続けることを心がけて、この先も企業、クライアント、業界に貢献する仕事をしていきたいです。

-Huproマガジン読者で転職を考えている方に向けて、アドバイスをいただけますか。

私がキャリア設計の中で共感している考え方に、計画的偶発性理論というものがあります。計画を立ててビジョンから逆算してキャリアを歩むことは大事ですが、キャリアが変わるタイミングには偶発性が8割ぐらい影響しているというものです。

偶発性を掴み取るには、キャリア設計を考えるだけではなく、新しいことへの挑戦や冒険が大事です。今の仕事の中で新たな取り組みをしてみたり、自分が知らない領域を学んでみたり、普段交流している人達以外に交友関係を広げたりと、日々の業務からあえて逸脱する行動を少しずつ積み上げることが大事です。

自分が経験してきた領域だけで仕事を探す、業界内だけで転職するというように自分で枠を決めつけない方がいいと感じています。枠を超えて学んだり実践したり、外部の人に会ったりしてみると、結果として良いコラボレーションが生まれて、キャリアの可能性がより広がっていくと思います。

-本日は興味深いお話をありがとうございました。

本日お話をうかがった石塚氏が執行役員を務める株式会社ホットリンクのHPはこちら!

この記事を書いたライター

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