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税金の面白さを一人でも多くの人に伝えたい!高橋創税理士事務所代表高橋創が打ち出すユニークな取り組みと今後目指すべく人物像とは?

HUPRO 編集部
税金の面白さを一人でも多くの人に伝えたい!高橋創税理士事務所代表高橋創が打ち出すユニークな取り組みと今後目指すべく人物像とは?

大原簿記学校で所得税法の講師を経て、所得税を実践の場で見てみたいと税理士の道へ進むことを決意した高橋創氏。現在は高橋創税理士事務所で代表を務める高橋氏に所得税の魅力、税理士のやりがい、今後のキャリアビジョンについてHUPRO編集部がお話を伺いました。

<高橋氏の略歴>

1997年 東京都立大学経済学部 卒業
1998年 大原簿記学校税理士講座 所得税法講師 (5年間)
2004年 高橋信治税理士事務所 入所
2007年 高橋創税理士事務所 開業

税理士を目指したきかっけは父親の影響

―高橋さんが税理士を目指されたきっかけを教えてください。

一番のベースは、父親が税理士だったという事です。しかし当時は父親が税理士であることは知っていましたが、税理士の仕事については全然知りませんでした。

大学の就職活動の時期に大学に行かないでいたら、タイミングを見失ってしまい、就職が決まらないまま大学が終わってしまいました。卒業後はしばらく家にいたのですが、父親が税理士という事もあり、周りに追いつくにはこれしかないと思い、卒業した年の秋から大原簿記学校で勉強を始めました。

―税理士の資格を取得されたのはいつ頃ですか?

30歳くらいです。
大原簿記学校で講師の仕事をしながら税理士になるための勉強をしていたので、税理士の試験は2年に一度しか受験しませんでした。勉強をしていた頃は税法はあまり好きではなく、さらに暗記が多いのでものを覚えるところから大変でしたね。延べでいうと、8年くらいかかりました。

大原簿記学校で愛する所得税と運命の出会い

―大原で所得税法の講師をされていたわけですがそもそもなぜ所得税を選ばれたのですか?

はじめは所得税法と法人税法を勉強したのですが、法人税は心が折れてしまったという理由が一つです。
また大原簿記学校は生徒の中から講師を探すのですが、所得税法学の方から声をかけていただいたことも理由の一つです。講師になると他の項目の学費も無料になるので、講師になることを決めました。

―教える側に立たれた事での苦労などはありましたか?

それまで人前でしゃべることがなかったので、それが大変でした。また教材なども自分で作らなければならず苦労しました。

もともと税法に興味がある方ではなかったので、分厚い条文を読むのが嫌でしたが、3年目くらいからは税法って面白いなと思うようになり、そこで初めて税理士になりたいと思いました。

―面白いと感じたきっかけはあったのですか?

毎年同じことを繰り返し勉強していく中で、3年くらいした時に自分の中で初めて学びがカチっとはまったという実感を得たことです。今となっては所得税が面白くないと言っている人の気持ちが分からないです。

―所得税の魅力とは具体的にどのような部分ですか?

私にとって所得税とは「箱庭」のようなものです。
所得税法という243条の法律の、いろいろな要素が絡み合って美しくキレイに、漏れがないように配置されているところが美しいなぁと思います。

所得税は考えれば考える程、納得がいく美しいものなので好きなのですが、周りの方には全然伝わらないんです。(笑)

大好きな所得税を実践の場で見てみたいと税理士の道へ

―ここまでお話を聞いてきて所得税への愛はしっかり伝わってきました。講師としての道もあったと思うのですが、なぜ税理士の仕事に進もうと思われたのですか?

とても面白いと感じた所得税法を、実践の場で見てみたいという気持ちが大きかったです。実際に所得税法をこういう時に使うんだというのが実感できれば楽しいだろうなと思いました。
英語をたくさん勉強した人が、海外に行って英語を使えた時の楽しさに近いと思います。

税理士資格取得後は父親の税理士事務所に入所し2年で独立

―2004年に税理士事務所に入所された時はお父様の事務所だったのですか?

税理士になりたいとは思っていましたが、経営をしたかったというわけではなく、単に所得税を実務で見たかっただけでした。

当時、父は90歳まで働くと言っていたので、自分は60歳まで働いて事務所を辞めようと思っていました。しかし、2年経った段階で「資格もあるのだから自分でやった方がいいよ」という助言をもらい、独立する決意をしました。

―独立されたことでの苦労などはありましたか?

最初にお客さんができるまではどうしたらよいのか、試行錯誤はありました。ある程度お客様ができてからは、紹介の輪が広がっていったのですが、最初はちょっと焦りました。

最初のお客様は、飲みに行っていたショーパブのダンサーでフィリピンから来たニューハーフでした。お客様から飲みの席で紹介されるというパターンが結構多くあり、今のお客様に繋がっています。

開業2年目くらいからやっている「確定申告酒場」という確定申告のイベントがあるのですが、そのイベントに相談に来てくれた人がお客様になる事もあります。

敷居が高いと思われがちな税金の面白さをより多くのひとに伝えたい

―そもそもなぜ確定申告酒場を始めようと思われたのですか?

2つ要素があります。1つは新宿のゴールデン街で確定申告のイベントを初めてやったことがきっかけで、それから定期的にイベントをやるようになったことです。

もう一つは、新聞で弁護士が「弁護士バーを開きます」という記事を見たことです。
それは、弁護士がカウンターに入ってカクテルを作り、法律相談に乗るというバーだったのですが、税理士がやっても面白いと思い、すぐにその弁護士さんに電話をかけました。

確定申告酒場は現在も開催しており、大好きな税金の話をもっとフランクに話したいと思って続けています。
税理士と名乗るだけでモテる世の中を作るためには、敷居が高いと思われている税金の話のハードルを下げて楽しいと思ってもらわないといけないと思っています。(笑)

―なぜ税理士は敷居が高いと思われるのでしょうか?

やはりお金にまつわるものなので、語りづらいというのがまずありますね。
税金の金額で所得が割り出されてしまい、プライベートな部分が絡んでくるので話づらいのだと思います。
後は言葉が難しい、税理士は年を取っているという負のイメージがあると思います。

ちゃんとしたことを重鎮が話すことも大事だと思うのですが、面白さがあった方が伝わりやすいと思います。Youtubeやバーで、「税金の話はネタとして面白いものなんですよ」ということを皆さんに声を大にして伝えたいです。

税金を払うのは私も嫌なのですが、税金について知るのは楽しいです。自分の好きなものを他の人にも知って欲しいので、どうしたら面白いと思ってもらえるかと常々考えています。

事務所運営で大切にしていることと将来の税理士像

―事務所を運営していく中で大切にされていることは何ですか?

仕事を好きにできる環境を作りたいなと思っています。
私の事務所は出勤時間や服装が自由で、一日の中で必ず会社にいなければいけないコアタイムが13:00~13:30なんです。朝9時に出社して、13:30に帰る人もいますが、働きやすい環境で働いてくれたらいいと思っています。

最近、採用の面接をされた全員に言ったのは、「人生の中心に仕事があると思わなくてもいいんだよ」ということです。余暇を充実させていただいて、僕が聞いていて楽しい話をして欲しいんです。お客様とも仕事の話ばかりをするわけではないので、引き出しがないとお客様と雑談もできません。

僕が一番大切にしている部分があるとすれば、皆がそれぞれにやりたいことができる環境を整えたいということです。

―世間一般の税理士のイメージとしては、難しい、敷居が高いというものがあると思いますが、高橋さんが考える税理士像とはどのようなものですか?

お客様に対しては、何かがあったときにすぐに相談してもらえる話しやすい人でありたいとは思っています。基本的には、お客様が9割話して、僕が1割話せばいいと思っています。

私は税理士という仕事自体がものすごく好きで、生まれ変わってももう一度税理士になってもいいと思えるほど、こんなに楽しい仕事はないと思っているんです。なぜならば、人が人生を掛けてやっている勝負や商売を間近で見ることができるやりがいのある仕事だと感じるからです。

情熱大陸の出演者がお客様のようなものなので、それをアリーナ席で見れているという感じです。インタビュアーばかりが話している情熱大陸は嫌なので、お客様に9割話してもらっています。しかも見るだけではなく、サポートもできるというのが税理士の魅力です。荷が重いこともありますが、いいギャラリーでありたいと思っています。

―すごく今のお仕事がお好きであることが伝わってきました。高橋さんは5年後10年後どのようになっていたいですか?

事務所の運営的なところでは野望はありません。昨年事務所を引っ越したばかりで、これ以上人数が増えるとまた引っ越さなくてはいけなくなるので、早い段階での拡大などはあまり考えていません。

やりたいこととしては、もっとこの楽しさを伝えられるようにしたいと思っています。
実は「桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?」という本を一冊出しています。昔話の物語に税制を当てはめているのですが、読み物としては結構面白かったという声を頂いて、税金をネタとして色々と広げ方はあるのではないかと思っています。

また、現在納税通信という雑誌で180回近く連載させていただいているのですが、内容は税金についての争いごとです。皆さん基本的に、お金の話や揉め事が好きだと思うので、そこから税金の話を面白いと思ってもらえるようにしたいです。

―税金に関する難しい言葉などが多いものをネタとして使ったり物語として書いたりされているのですね。

世の中にいる確定申告しない人に対しては、今の世間の論調では「ダメな人」になってしまいます。しかし、私も無申告者は山ほど見てきました。これだけいるということはもはや個人の問題ではなく、社会問題なのではないかと思っています。無申告の人を責める風潮を無くし、税金というものがいい形で知られるようにしていきたいです。

―最後に税理士としてキャリアに困っている方々や、税理士を目指す方々に向けてアドバイスやメッセージを頂けたらと思います。

目指す人にとっては、税理士は楽しい仕事だということを伝えたいです。
そして、資格があるからこうしなければいけないというものではなく、何をやるかは自由だと思っています。資格がある事によって、もともとの想定よりもいろいろなことができるものだという事を知ってもらいたいです。

自分なりの楽しめる環境を見出して欲しいです。僕はお客様を観察しているのが大好きで、こんなに楽しい商売はないと思っています。
本当に楽しく目指さない理由はないと思っているので、ぜひ一緒に税理士をやりましょう。

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。
お話を聞かせていただいた高橋氏が代表を務める高橋創税理士事務所のHPはこちら!

この記事を書いたライター

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