難関国家資格と呼ばれる公認会計士を取得できたからと言って安心する暇はありません。実は就職活動は合格発表を合図に始まってしまうのです。
今回は公認会計士に合格してからの就職について、監査法人などの人気の就職先や就職までのスケジュールについて解説します。
公認会計士は、幅広い分野で需要があり、さまざまな職場で活躍できる専門家です。
以下は、公認会計士の主な就職先です。
監査法人とは公認会計士法に基づき、会計監査を行う法人のことです。
公認会計士の約9割ほどが監査法人に就職するといわれ、最も代表的な就職先と言えます。
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公認会計士は税理士試験の全科目が免除されるため、税理士として登録し、
税務申告や税務のコンサルティングを行う税理士事務所に就職するのも選択肢の一つです。
企業の財務諸表作成や税務申告が主な仕事で、税制や会計基準が複雑化するのに対応し、企業の財務健全性を維持するためのアドバイスを提供します。
「BIG4監査法人」とは、
EY(アーンスト・アンド・ヤング)
デロイトトーマツ(デロイトトウシュトーマツ)
KPMG(ケーピーエムジー)
PwC(プライスウォーターハウスクーパース)
の世界的に有名な4大監査法人を指し、国際的な監査、税務、アドバイザリーサービスを提供しています。
日本では、以下の4つの監査法人がそれぞれBIG4と提携関係があり、日本でBIG4といえば基本的には以下の監査法人を指します。
EY | EY新日本有限責任監査法人 |
デロイトトーマツ | 有限責任監査法人トーマツ |
KPMG | 有限責任あずさ監査法人 |
PwC | PwCあらた有限責任監査法人 |
なお、日本では公認会計士の約40%がBIG4に勤務しているという実態があります。
公認会計士の多くが監査法人に就職する中で、一般企業で働く人もいます。もちろん企業からの需要は高いものの、公認会計士にとって選ぶメリットはあるのでしょうか?デメリットとあわせてみていきましょう。
一般企業は監査法人に比べて一般的には働き方が良く、ワークライフバランスが保ちやすい傾向にあります。リモートワークやフレックスタイム制度を導入する企業も多く、家庭の事情などで、働き方を重視したい求職者に人気です。
さらに、様々な業界の企業があるので働いてみたい業界での就業を実現できるメリットもあります。
そして、監査法人に比べると企業の方が給与体系が多様なので、高年収を目指せる環境があるのも魅力的なようです。
一般企業で働く場合は必ずしも公認会計士が同僚にいるとは限らないので、資格取得後初めてでも監査業務について一番詳しい状況になることがあります。そうなると監査法人とは違い自分で知識を業務に活かす必要があるので、成長できる反面、教育環境は十分でない可能性があります。
また、一般企業は部署異動の可能性が無いとは言えないので、監査をできるポジションで就職できたとしてもその後、別の部署で会計士資格がなくてもできるような業務の担当になる可能性があるのです。公認会計士としてのキャリアアップを目指す場合には、デメリットになってしまいます。
公認会計士試験には短答式試験と論文式試験があり、その両方に合格する必要があります。公認会計士試験に合格した時、就職活動の幕が開けます。
次回の公認会計士試験の日程は以下の通りです。
論文式試験の合格発表は一般的には11月中旬(次回試験は2024年11月15日に発表予定)なので、発表後に就職活動を始めていきます。
一般的な学生の就職活動に比べると遅くなります。
監査法人にエントリー後はおよそ1週間後に採用試験を受け、更にその1週間後に内定が出るといったスケジュールになります。
公認会計士が監査法人に就職する大まかな流れは以下の通りです。
エントリーする監査法人の絞り込み | 公認会計士の合否が出る前の夏の説明会でエントリーする監査法人をある程度絞り込んでおき、試験合格後スムーズな就職活動ができるようにしておきましょう。 |
監査法人にエントリー | 説明会を受けて働きたいと思った監査法人にエントリーします。本エントリーの前にプレエントリーが必要な監査法人もありますので、必要に応じてプレエントリーをしましょう。 |
Web適性テスト受検 | Web適性テストが採用フローに盛り込まれている場合は受検します。見繕った回答をすると不採用になることもあるので、ありのままで回答しましょう。 |
面接を受ける | 対面もしくはオンラインで志望動機などの質問に回答します。面接のポイントについては後述します。 |
内定通知を受ける | エントリーしてから2週間程度で試験が終わり、監査法人に求められる人材と判断された場合は、内定通知を受けます。 |
内定承諾をする | 内定承諾期間が設けられているので、内定を受けた監査法人の中で自分が行きたいところへ、内定承諾を出しましょう。 |
公認会計士は合格率10%前後の難関国家資格です。それなのに就職できない資格と言われることがあります。なぜでしょうか?
それはBig4と呼ばれる監査法人を筆頭にリーマンショックを受け、2010年~2011年に公認会計士の大規模なリストラが実施されたことに起因します。その時期の「公認会計士は就職難である」というイメージが、名残として根付いてしまっているのです。
また、公認会計士を取得するには最低でも3000時間の勉強が必要と言われています。これは一般的な就職活動に比べるとかなりの労力と時間を費やすことになりますので、相対的にみると就職までのプロセスが長いという意味合いで「就職できない」と言われることがあります。
つまり、あくまでイメージであったり、そのままの意味ではない使われ方をされているだけであって公認会計士は就職できます!
求人については、リーマンショック後のリストラによって会計士試験の受験者数が減った影響で、公認会計士の人材不足となっているのが現状です。現在は経済も回復していて求人がある状況なので、就職難ではなく、公認会計士の売り手市場となっています。
特に新規の試験合格者は金の卵として、Big4も、6割程度に内定を出しているという状況です。新規で採用できなかった場合にも、中途採用でも採用しようと画策しています。つまり、それだけの高い割合で内定を出しているため、Big4の4社の試験を受けるならば、どこかで就職ができる可能性は高いものと言えるでしょう。
Big4それぞれの実際の状況ですが、新日本有限責任監査法人(EY新日本)は、まだ人材不足で、組織が高齢化していると思われているのが現状です。
また、有限責任監査法人トーマツも、採用には成功していますが、売上・クライアント数の増加には追い付いていないようです。
有限責任 あずさ監査法人の場合についても、現在の公認会計士の一人当たりの負担は比較的少ないものの、まだ人材不足となっています。
PwCあらた有限責任監査法人の場合では、公認会計士一人当たりの負担がまだ大きい状況で、それ相応の採用がなされていないとも言われています。
つまりBig4のどこもまだ新規採用や中途採用がほしい状況にあると言えるでしょう。
結論、ほぼ公認会計士の就職に学歴はほぼ影響しません。もちろん、公認会計士試験の受験資格にも学歴は関係ありません。公認会計士資格を持っているだけで、かなりの学力があることが証明されているとみなす監査法人や企業がほとんどです。
一部、代表が難関大学OBで卒業生の採用を優先している場合などはありますが、ほぼ考慮しなくて問題ないでしょう。
公認会計士の年収は日本の平均年収より高い傾向にあります。監査法人では
年齢よりも監査法人での勤続年数や経験してきたスキルが年収に大きく関わります。法人の規模によっても変わりますが、監査法人の役職ごとの平均的な年収は以下の通りです。
スタッフ(1~4年目)…約400~600万円
シニアスタッフ(5~8年目)…約700~800万円
マネージャー(9~14年目)…約800~1,000万円
パートナー(15年目~)…約1,500~2,500万円
公認会計士の年収についてもっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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売り手市場とは言うものの、希望の監査法人に入るためには相応の準備や対策が必要になってきます。
監査法人の採用は、エントリーシートと面接の内容で決まります。
どちらにおいても鍵になってくる志望動機と自己PRについて解説します。
面接において、志望動機を固めているかどうかはとても大切になります。
曖昧にしてしまうことで面接官からの様々な質問への回答が一貫性を持たなくなってしまうからです。
以下の3つを意識して志望動機を作ることをお勧めします。
この3つを軸に志望動機を考えてみましょう。
監査法人は、外資系、金融、会計、コンサルなど、いくつかの業界に分かれています。「この業界を選んだ理由」では、自分がエントリーする監査法人の業界について研究するのが良いでしょう。
また「この監査法人を選んだ理由」も、同じようにエントリーする監査法人について研究すると良いでしょう。
「あなたを採用するべき理由」の観点では、以下のことについて固めると良いでしょう。
今までの対策の過程で、業界と監査法人の分析はできていると思います。特徴を分析することで、その監査法人がどのような人材を求めているか把握できるようになります。
その人材に必要な能力を更に分析し、自分に何ができるか考えてアピールするのが良いでしょう。
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公認会計士の就職はできない、難しいといった言葉を目にすることもあるでしょう。
しかし、スケジュールをしっかり把握して就職活動に臨み、必要な対策をとれば、2週間ほどで就職先が決まってしまう短期決戦です。
このコラムが、測り知れない努力によって取得できた公認会計士の資格が最大限活かされる職場を見つける一助になっていれば幸いです。