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心技体の充実を図り、自分自身の判断軸をしっかりと持つ。株式会社ジオコードにて専務取締役を務める吉田 知史氏のキャリアと将来像

HUPRO 編集部
心技体の充実を図り、自分自身の判断軸をしっかりと持つ。株式会社ジオコードにて専務取締役を務める吉田 知史氏のキャリアと将来像

公認会計士資格を有し、CFOとしてこれまでに2社を上場に導き、現在は東証JASDAQ上場の株式会社ジオコードにて専務取締役CFOを務める吉田 知史氏。今回は吉田氏が公認会計士を目指したきっかけやこれまでのキャリア、さらに仕事をするうえで大切にしていることについてお話を伺いました。

1994年9月 等松・トウシュ・ロスコンサルティング㈱
(TTRC;現 アビームコンサルティング㈱)入社
1999年10月 公認会計士2次試験合格、 朝日監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人)入所
2005年9月 EYトランザクション・アドバイザリー・サービス㈱ (EY TAS;現 EYストラテジー・アンド・コンサルティング㈱)入社
2012年2月 アイビーシー㈱ 入社(管理部長)
2013年12月 同社 取締役経営管理部長 就任
2015年9月 アイビーシー㈱ 東証マザーズへ上場
2016年11月 アイビーシー㈱ 東証一部へ市場変更
2018年1月 ㈱ジオコード 入社(管理部長)
2018年2月 同社 専務取締役CFO 就任
2020年11月 ㈱ジオコード 東証JASDAQへ上場

【キャリアグラフ】

公認会計士試験の勉強を続けた暗黒の20代

-公認会計士を目指したきっかけを教えてください。

出身は鋳物の街として知られていた埼玉県川口市で、実家は祖父の代から鋳物工場を営んでおり、私は長男なので、将来は三代目として家業を継ぐのが当たり前だと考え、大学は工学部に材料系のある京都大学工学部工業化学科に進学しました。

大学4回生になって瀬戸内地方のコンビナートに工場見学に行く機会があり、実際に巨大な化学プラントを見学しているうちに、装置産業において利用される専門技術分野は汎用性が低く、一度パラダイムシフトが起きてしまうと、途端に価値のないものになってしまう危険性をはらんでいるのではないかと感じるようになり、将来の自分の進路に疑問が湧いてきました。

そして、そのようなことを考えるようになって暫くして、たまたま大学生協の書籍コーナーで資格関係の本を手に取ったところ、中学・高校時代の陸上部でお世話になった先輩が、公認会計士2次試験に見事在学中に合格され専門学校の合格体験記に掲載されているのを見つけました。実家や親族が会社を経営していた影響もあって、会社経営というものが身近に感じられ漠然と興味をもっていたこともありますが、公認会計士は業種・業態を問わず汎用性があり会社経営に直結するスキルだと直感し、自分もこれを目指そうと思い立ち、進学した大学院を思い切って休学し東京に戻って資格試験の勉強を始めることにしたのでした。

-公認会計士試験に臨まれた20代の時期を“暗黒の20代”と表現されていますが、なぜそのように表現されたのでしょうか?

公認会計士資格取得に向けて勉強を始めてみましたが、それまで公式など全く暗記せずに必要な式はその場で原理原則から導いて試験に臨むタイプであったので、暗記中心の資格試験に全くと言っていいほど適性がないと痛感させられました。長期戦になることを覚悟して一回目の受験が終わった後、一度社会人「経験」ならぬ社会人「体験」をしようとリスク回避的に会計事務所系のコンサルティングファームに就職しました。

コンサルティングファームでの日々は、勤務時間も非常に長く、また、IT分野を中心に絶えず新しい知識を吸収する必要があってとてもハードなものだったので、試験勉強との両立は不可能な状況でした。そこで、一応社会人を「体験」したと思えるようになったタイミングで再度資格試験の勉強に専念することを決意し、あらためて「適性がない試験」へと立ち向かっていきました。そして、最終的になんとか試験に合格することが出来たのでした。

このように私の20代(特に後半)は、自分では一所懸命努力しているつもりでも、なかなか先に進めず、同年代の人達からはどんどん取り残されていくような焦りと、もどかしさを感じながら必死にもがいていた時期でした。まさに「暗黒の20代」だった訳です。

「公認会計士試験と相性が合わない」と感じていたのにも関わらず、辞めずに受け続けたのはなぜですか?また、試験に受かるために意識していたことや勉強方法があれば教えてください。

諦めずに勉強を続けることができたのは、家族のバックアップがあったことは大前提ですが、自分の中で公認会計士の資格を取得することで、その後の人生が大きく開けると確信していたからです。

ただし、公認会計士2次試験における暗記中心の理論科目や体感ゲームのように電卓をたたく簿記の計算問題には全く適正がないと引き続き痛感させられていたので、最後は思い切った試験対策を行っていました。例えば簿記の勉強では、それまでに解き貯めた数多くの計算問題の構造を徹底的に分析することに大部分の時間を割き、どのような問題が出題されても必ず8割回答できるような自分なりの下書き用紙を作り込みました。そして下書き用紙が完成した後は、電卓を叩くでもなく、2時間答練を受けるでもなく、ただひたすら一人で思考訓練を繰り返していました。

公認会計士2次試験に合格し、経験した数々のキャリア

-公認会計士2次試験に合格されたのち、監査法人にご就職していますが、実際に公認会計士として働かれてどのように感じましたか?

試験に合格するために大変苦労したので、監査法人でも苦労するだろうと覚悟していたのですが、意外にも監査という仕事との相性は良くて驚きました。

監査実務は、試験のように「暗記しろ」の世界ではなく、証拠を積み上げ特定の事象を検証して最終的に監査意見を形成していくプロセスなので、事実に基づき、それを論理的に積み上げて物事を証明していく理系分野では馴染みのある思考法と親和性が高く「意外に水が合う」仕事でした。

-会計士としてどのようなキャリアを積んできましたか?

公認会計士2次試験に合格して最初に入所した監査法人での初めの2年間は、上場企業でも比較的中小規模の東証2部上場企業や非上場の商法監査対象会社を現場スタッフとして担当していました。同期入所の人の中にはいきなり大企業担当として配属される人もいましたが、私の場合は、中堅・中小規模の会社を担当することがほとんどでした。
ただ、それがかえって会社全体の仕組みや動きを早い段階から俯瞰して見ることにつながり、現在、ベンチャー企業で会社経営に携わる立場として振り返ってみると、大変有益な経験であったと思います。

監査法人で3年目を迎えた時期に事業部の再編があり、金融事業部所属となりました。
縁あって金融庁特別検査対応時の大手メガバンクグループの監査チームに配属となり、それから監査法人を退所するまでの約3年間は、大所帯の監査チームの一員として質・量ともにハイレベルな監査環境で毎日を過ごし、これ以上ない貴重な経験を積むことができました。そして、ここで経験した仕事の内容や進め方、人間関係は、その後のキャリアの基礎になったと思っています。

監査法人での仕事をひと通り経験した後、次のステップとして他のBig4系の財務アドバイザリーファームに移り、M&A案件や企業再生案件における財務デューディリジェンス業務や会計コンサルティング業務に従事しました。監査法人での経験を活かして日本を代表する金融機関の大型買収案件のプロジェクトマネージャーを務めたりもしましたが、ここでも他では体験できない貴重な経験を数多く積ませて頂きました。「短期間のうちにチームを組成し、プロジェクトを遂行して目標を達成する。」というベンチャー企業のCFO業務にも通じる経験であったと思います。

リーマンショックの後、業界の潮目が変わったことを実感し次のキャリアを模索していた時、タイミングよく監査法人時代に同期であった友人から「IPOを目指しているベンチャー企業がCFOを探しているので話を聞いてみないか?」と声をかけてもらい、それが縁で、アイビーシーに転職し管理部長として上場準備を進めることになりました。

数々の試練を乗り越えながらもどうにかたどり着いた“上場”

-2012年に管理部長として入社された企業で、初めての“上場”を経験していますが、実際に上場されたときはどのようなお気持ちでしたか?

「凌ぎ切った!」という表現がいちばん近かったように思います。
業績が予算に追いつかず証券会社の最終審査が1年延期になってしまったり、毎日遅くまで仕事をしたりと激務の日々で、体調を崩し短期間に2度も救急搬送されたこともありました。そのような状況でも再度立ち上がって続けてこられたのは、「やり切る!」という執念が大きかったと思います。

培った経験が功を成したジオコードでの日々

-株式会社ジオコードには、2018年1月にご入社されたと伺いました。なぜジオコードに入社したのですか?

アイビーシーが東証一部に市場変更し、上場後2回目となる株主総会も滞りなく終え、経営管理体制の整備も漸くひと段落して2017年を迎えた頃、今度は身内に生死に関わる大病が判明しました。その後入退院を繰り返していたこともあったので、2017年6月末をもって取締役を退任させて頂き、それから半年間は身内のフォローと、私自身の充電期間に充てていました。

身内の容体が一時的に落ち着いていた2017年の秋頃からは次のキャリアに向けていろいろな人に会って話を聞くなどしていました。そして上場企業や上場を目指すベンチャー企業数社からCFOのお誘いを頂きました。報酬等の条件面ではジオコードより良いところも複数社ありましたが、最終的にジオコードに入社した決め手は、社長との相性や会社の雰囲気がとても良かったことに加え、地域金融機関をからめた地方創生に向けた新たなビジネス展開で会社を成長させるというアイディアが実現できそうで自分もビジネスに関われそうだと思えたからでした。

ジオコードには、温かみのある人たちが大勢いて、そのうえ社内の雰囲気も良く、入社から5年目を迎えた今でもとても気にいっています。そして地方創生に向けた取り組みも着実に前進しています。

-ジオコードでは入社して早々に専務取締役に就任されていますが、具体的な業務内容を教えてください。

上場するまでは、IPOを達成するための上場準備対応がやはり仕事の中心となりました。まず主力となる人材を採用して組織の整備を段階的に進めながら、決算体制や内部統制の整備、労務課題の解消、規程類の整備、Ⅰの部の作成等々を順次進めていきました。特に上場までの一年間は審査対応に加え、東証の新市場区分への移行を見越して上場市場をマザーズからJASDAQに変更することになったため急遽準備資料の追加作成等も加わり、何度も徹夜するほど働き詰めでした。
また平行して、地域金融機関とのビジネスマッチングに向けた取り組み等も推進していました。

-最終的にジオコードでも上場を達成されましたが、上場したときのお気持ちをお聞かせください。

アイビーシーの上場時、翌年の東証一部市場変更時に続き、自身3度目となる東証の鐘を鳴らすことができた時は、正直ホッとしました。ジオコードが上場に至る過程でも、1社目のアイビーシーのときとはまた違った論点や課題がいくつもありましたが、一つひとつ着実に解決していきました。入社から2年11か月目で上場まで到達できたことは、途中何度も困難に遭遇しながらも全社一丸となって立ち向かった結果得ることができた本当に大きな成果であったと思います。

自分の判断軸をしっかりと持ち、人の気持ちを理解できる人と働いていきたい

-ジオコードで働かれるうえで、共に働きたいと思うのはどのような人材ですか?

私は日頃から、人間はたとえどんなに優秀で能力があっても所詮有機物に過ぎず、何か少し大きな力が働けば簡単に壊れてしまう脆いもので、演算能力だけでいえば、どんなに頑張ってみてもコンピューターには勝てない存在であると考えています。

仕事を一緒にするうえで、頭の回転が速い、専門知識が豊富、段取りがよく処理能力が高いなどの諸要素を持ち合わせている人材であれば、大変ありがたいことに違いはありませんが、コンピューターの進歩もあって、これからは多くの部分を人工知能が代替する時代になっていくのでしょうから、人間レベルではその演算能力で差がつきにくくなるだろうと思っています。

むしろチームを組んでプロジェクトを遂行していくうえでは、「人の気持ちを理解できる」というより人間的な部分が今まで以上にクローズアップされていくのではないかと思っています。
私としても、「人の気持ちを理解できる人」と是非一緒に働いていきたいなと思っています。

-また、仕事をするうえで大切にしていることがあれば教えてください。

仕事をするうえで、特に次の2つのことを意識するとともに、大切にしています。
1つは自分の判断軸をしっかりと持つこと。そしてもう1つは心技体の充実を図ることです。

まず1つ目の自分の判断軸をしっかりと持つことについて。上場企業のCFOとして責任ある立場にあるからこそ、より実感する部分でもあるのですが、自分の判断が会社の重要な意思決定に直接的または間接的に影響を与えることから、自分の判断にブレがなく、かつ合理的で適切な意思決定ができるように、常日頃から自分自身の判断の原理原則を持ち合わせておく必要があると考えています。
私の場合は、「対象事象を説明するロジックを構築できるのか、そして公の場でCFOとして最終責任を果たすことができるのか。」ということを最終的な判断軸としています。

また、もう1つの心技体の充実は、仕事をするうえでの根底であり、基本であると考えています。私は、1社目での上場準備の途中、激務がたたって免疫力の低下をまねき、それが原因で2度ほど倒れて救急搬送され、人生初の入院手術なども経験しました。やはり体調を崩してしまっては、自身の職責を全うできませんし、その先にある大きな目標を達成することもできません。全ての基本として心技体の充実が何よりも大切であるとあらためて実感した出来事でした。

-5年後、10年後に思い描く理想のキャリアプランはありますか?

まずは、ジオコード自体の基礎固めに注力しようと思っています。上場したとはいえ、今後長期間にわたって成長企業として発展していくためには、まだまだやらなければならないことが多くあると感じています。将来の飛躍に向けて、そこに注力していくのが今の私の使命だと思っています。

ジオコードは、組織としての伸び代が大いにあり、また、Webの力で地域経済の活性化に寄与する取り組みを推進するという社会的活動面においても本当に潜在力のある良い会社だと思っています。それが5年先なのか、10年先になるのかはわかりませんが、最終的には誰もがジオコードという会社の名前を知っている全国区の会社へと発展させられれば良いなと思っています。

-最後に公認会計士を目指している方、さらには読者に対してメッセージをお願いします。

まず、皆さんに意識してほしいことは、目の前の仕事や取り組んでいることを大切にするということです。「今、目の前にしている仕事や取り組んでいることを最後まで投げ出さないできちんとやり切る」ということを、一つひとつ着実に積み上げていく。それが将来、自分自身の実績や周囲からの信用に繋がっていくのだと思います。

それから、CFOや役員等の役職を目指す方であれば、意識して人との繋がりを大切にすると良いのではないかと思います。今は新型コロナウイルスの影響もあって機会も大分減っていますが、CFOや会計士等のコミュニティーに積極的に参加して人的ネットワークを広げていくことで、それが新たな縁となって困ったときに相談にのって頂けたり、場合によってはビジネスに発展したりすることもあります。何より刺激をもらえる友人、知人に囲まれて、人生が豊かになるのではないかと思います。

最後に、公認会計士を目指されている方に対しては、会計士業界は互助会的なところがあって、職業的専門家として共通の価値観や倫理観を備える人たちが集まるグループという意味でアットホームな雰囲気があるように感じられ、とても溶け込み易い環境だと思います。そして、資格取得をスタートラインとして、自分次第で実にいろいろな方向に活躍の場を広げて行きやすい環境だと思いますので、頑張って取得する価値のある資格だと思います。

本日はお時間いただき誠にありがとうございました!
今回お話をいただいた吉田さんがCFOを務める株式会社ジオコードのHPはこちら!

この記事を書いたライター

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