士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

夫婦だからこそ“察する”のではなく“言葉にする”ことを大切に。 「ふたり税理士」としてともに人生をデザインしていく 伊沢隆裕税理士事務所 伊沢 隆裕さん、祥子さんのキャリアとビジョン

HUPRO 編集部
夫婦だからこそ“察する”のではなく“言葉にする”ことを大切に。 「ふたり税理士」としてともに人生をデザインしていく 伊沢隆裕税理士事務所 伊沢 隆裕さん、祥子さんのキャリアとビジョン

夫婦で税理士の「ふたり税理士」として顧客に寄り添い税務をサポートする、伊沢隆裕税理士事務所 伊沢 隆裕さん、祥子さん。
今回は事務所開業への道のりや、夫婦で働く上で大事にしていること、今後のビジョンなどについてHUPRO編集部が詳しくお話を伺いました。

【略歴/伊沢隆裕氏】

1999年 栃木県立真岡高等学校 卒業
2003年 専修大学経営学部経営学科 卒業
2008年 栃木法律会計事務所 入所
2013年 白鴎大学大学院 法学研究科 卒業
2014年 税理士登録
2014年 伊沢隆裕税理士事務所 開業

【略歴/伊沢祥子氏】

2000年 豊島岡女子学園高等学校 卒業
2004年 早稲田大学商学部 卒業
2006年 税理士法人加藤事務所 入所
2008年 福田朗税理士事務所 入所
2009年 税理士登録
2016年 伊沢隆裕税理士事務所 入所

ともに家族の影響を受けて志した「税理士」への道

―いつごろから税理士を目指されたのでしょうか?

隆裕:父が会計事務所に勤めていて、ぼんやりと税理士という職業に興味を持っていました。大学は経営学部に進学したのですが、まだ明確に税理士を目的としていたわけではなく、結果として在学中に将来の職業について考え始めた際になんとなくチャレンジしてみようかなと思ったのがきっかけです。

そこで、大学3年生の頃から大原簿記学校に通い始め、2年間ほど大学と専門学校のダブルワークという形でした。とはいえ、大学の単位はもうほとんど取り終えていたので、税理士の試験勉強に専念することができました。卒業後、5~6年ほどかけて何科目か合格したのですが、当初は「2年間くらい真面目にやれば取れるかな」と気軽な気持ちでチャレンジしたものの、そんなに甘くはない世界でした。もう引くに引けない状況だったので、がむしゃらに勉強しましたね。

祥子:私は父が税理士で事務所を経営しており、母も手伝っている姿を子どもの頃から見ていたので自然と「税理士になりたい」と思っていました。小学校6年生のころにその気持ちを伝えると、両親がすごく喜んでいたのを覚えています。大学を卒業してから1年間は別の税理士事務所でアルバイトとして働きながら資格の勉強を続けていました。

-学業と資格試験勉強のダブルワークに関するアドバイスなどはありますか?

祥子:あまり大きな声では言えませんが、夫も私も大学の単位は早めに取り終えていたので4年生はゼミといくつかの授業を受ける程度でほとんど通わなくて済みました。大学生の方は1~2年生で早めに単位を取っておくことは結構重要かなと思います。あとは、私は商学部だったのもあり、周りに税理士や会計士の受験生がたくさんいたんですね。そうした環境で刺激されながら大学の授業は最小限に、あとの残りは資格試験に充てる、と効率的に勉強に取り組んでいました。

-隆裕さんは一度、法律会計事務所に入所された後に大学院に再び進学されたのはなぜですか?
隆裕:5科目中4科目までは合格していたのですが、残り1科目が何度か試験を受けても合格できない状況が続きまして…そんな中で、ありがたく結婚してもらえて(笑)結婚して1年目の年もまた不合格だったんです。そこで、意地になって試験で5科目取るよりも、大学院に進めば2年間という時間はかかりますが、確実に1科目分免除になるということで方向転換して大学院に進むことを決めました。

-祥子さんは東京の事務所で勤務された後、お父様が経営する税理士事務所に在籍されていましたが、実の家族だからこそ難しかった部分などはありますか?

祥子:業務の内容が地域によって結構違うのだなと感じました。前職の東京にある事務所では周りの方々が優秀な方ばかりで、なかなかのプレッシャーの中で正直ついていくのに必死だったところがあるのですが、地元の栃木に戻ってきてからは小規模企業を担当することが多かったので、のびのびとやれるようになったという感覚を覚えています。ただ、きちっとやるという意味では実の父なので衝突する場面もありましたし、お互い遠慮しながら上手くやるということは心がけていました。今思うと、多分「娘」と「父」だから上手くいったところもあるのかなと思います(笑)

-東京と栃木、両方を経験されたからこそ今に活きている部分ってありますか?

祥子:税理士によって得意・不得意な分野があると思います。大企業を担当するのが絶対にすごいというわけでもないし、中小企業だから仕事が小さいというものでもないので、税理士の仕事の中でもその人に合った場所でやることでより毎日楽しく、お客様ともやりとりできるのかなということを感じました。これは両方を経験したからこそ実感できたことで、東京で一人暮らししながら仕事をしたということ自体もそうですし、栃木では担当することのないような大きな会社とやりとりできたこともいい経験でした。

―いつごろから税理士を目指されたのでしょうか?
隆裕:父が会計事務所に勤めていて、ぼんやりと税理士という職業に興味を持っていました。大学は経営学部に進学したのですが、まだ明確に税理士を目的としていたわけではなく、結果として在学中に将来の職業について考え始めた際になんとなくチャレンジしてみようかなと思ったのがきっかけです。

そこで、大学3年生の頃から大原簿記学校に通い始め、2年間ほど大学と専門学校のダブルワークという形でした。とはいえ、大学の単位はもうほとんど取り終えていたので、税理士の試験勉強に専念することができました。卒業後、5~6年ほどかけて何科目か合格したのですが、当初は「2年間くらい真面目にやれば取れるかな」と気軽な気持ちでチャレンジしたものの、そんなに甘くはない世界でした。もう引くに引けない状況だったので、がむしゃらに勉強しましたね。

祥子:私は父が税理士で事務所を経営しており、母も手伝っている姿を子どもの頃から見ていたので自然と「税理士になりたい」と思っていました。小学校6年生のころにその気持ちを伝えると、両親がすごく喜んでいたのを覚えています。大学を卒業してから1年間は別の税理士事務所でアルバイトとして働きながら資格の勉強を続けていました。

-学業と資格試験勉強のダブルワークに関するアドバイスなどはありますか?
祥子:あまり大きな声では言えませんが、夫も私も大学の単位は早めに取り終えていたので4年生はゼミといくつかの授業を受ける程度でほとんど通わなくて済みました。大学生の方は1~2年生で早めに単位を取っておくことは結構重要かなと思います。あとは、私は商学部だったのもあり、周りに税理士や会計士の受験生がたくさんいたんですね。そうした環境で刺激されながら大学の授業は最小限に、あとの残りは資格試験に充てる、と効率的に勉強に取り組んでいました。

-隆裕さんは一度、法律会計事務所に入所された後に大学院に再び進学されたのはなぜですか?
隆裕:5科目中4科目までは合格していたのですが、残り1科目が何度か試験を受けても合格できない状況が続きまして…そんな中で、ありがたく結婚してもらえて(笑)結婚して1年目の年もまた不合格だったんです。そこで、意地になって試験で5科目取るよりも、大学院に進めば2年間という時間はかかりますが、確実に1科目分免除になるということで方向転換して大学院に進むことを決めました。

-祥子さんは東京の事務所で勤務された後、お父様が経営する税理士事務所に在籍されていましたが、実の家族だからこそ難しかった部分などはありますか?
祥子:業務の内容が地域によって結構違うのだなと感じました。前職の東京にある事務所では周りの方々が優秀な方ばかりで、なかなかのプレッシャーの中で正直ついていくのに必死だったところがあるのですが、地元の栃木に戻ってきてからは小規模企業を担当することが多かったので、のびのびとやれるようになったという感覚を覚えています。ただ、きちっとやるという意味では実の父なので衝突する場面もありましたし、お互い遠慮しながら上手くやるということは心がけていました。今思うと、多分「娘」と「父」だから上手くいったところもあるのかなと思います(笑)

-東京と栃木、両方を経験されたからこそ今に活きている部分ってありますか?
祥子:税理士によって得意・不得意な分野があると思います。大企業を担当するのが絶対にすごいというわけでもないし、中小企業だから仕事が小さいというものでもないので、税理士の仕事の中でもその人に合った場所でやることでより毎日楽しく、お客様ともやりとりできるのかなということを感じました。これは両方を経験したからこそ実感できたことで、東京で一人暮らししながら仕事をしたということ自体もそうですし、栃木では担当することのないような大きな会社とやりとりできたこともいい経験でした。

不安よりも「やってやる!」という勢いで開業。

背中を押してくれた妻と歩み始めた“ふたり税理士”のカタチ

-税理士登録をされてからのキャリアはどのように描かれていましたか?
隆裕:まずは独立をして、なんとか食べていけるようにとがむしゃらなスタンスでスタートしました。開業への思いは税理士試験の勉強をしている段階から持ち続けていました。資格を取ったからには開業して、自由に働けるというイメージに憧れていたので、勤務税理士という形で落ち着こうとは思っていませんでした。不安がなかったわけではありませんが、10年くらいかけてやっと取れた資格でもあったので勢いがあったといいますか…もう不安よりも「やってやるぞ!」という気持ちが勝っていたという感じですね。
ただ、独立する上ではもちろん妻の了解も得なくてはいけません。今となっては不思議ですが、そんな状況でも妻が背中を押してくれたということは大きかったです。

祥子:夫が独立を決めた頃、私は父の税理士事務所でバリバリ働いていました。
夫から独立の話を聞いた時も、父が事務所を経営しているのであまり不安などはありませんでした。当時、私は別の職場で働いていたので、共働きしていれば大丈夫でしょ、と安心して背中を押してあげることができました。

隆裕:振り返ってみれば、その独立が冷静な判断だったかというと正直わからないですね(笑)やはり大きな決断には勢いも必要だと思っていて、はじめは収入もさびしいものでしたが、二人でやっていけば、派手な暮らしをするわけでもないのでなんとかやっていけるという不思議な自信がありました。

-「ふたり税理士」として一緒にやろうと思ったきっかけはなんでしたか?
隆裕:独立当初よりは仕事も増えてきて、妻の手を借りた方がスムーズになってきたことと、夫婦内でやっていれば外への出費を抑えられるということ、さらに子どもが小さかったので子育てもしながら働きやすいと思ったのがきっかけですね。

祥子:私は両親の姿を見ていたので、いずれは二人でやっていくだろうなというイメージは初めの頃から持っていました。出産前は父の事務所に在籍してはいましたが、産後はお手伝い程度の働き量というか…その時期は子ども優先でいこうと考えていて、税理士を続けるかどうか自体も悩んでいた時期でした。ただ、そのタイミングで夫の事務所で人出が足りない状況になり、父の事務所を弟が手伝い始めて、もう弟に任せていいよねという思いもあったので、夫の事務所に移籍しようということになりました。

-事務所内でのお二人の役割は?
隆裕:一応、私が代表税理士でして直接お客様と対面する仕事はほとんど私です。妻は私のバックアップやサポート役を担ってもらっています。仕事内容としては、税理士は毎月のように試算表を作る業務があるのですが、その試算表を作るための下準備、お客様から必要なデータをいただくような業務は主に妻に担当してもらっています。出来上がった資料を基に二人で検討しています。育児との両立という面でも、このような形で落ち着きました。他の事務所のように完全に二人で担当を分けるやり方ではなくて、二人が担当者でありお客様の顧問税理士ですよというスタンスです。

-夫婦だからこそ、仕事をするうえで苦労することは?
隆裕:もちろんケンカをすることもありますが、業務に関してはそうした問題はないです。
私や妻のどちらかが上ということはなく、夫婦だからこそ同じ立ち位置で言い合える関係なので、結構思い切った改善もできるなと感じています。

祥子:私が心がけているのは「“察する”は無い」ということです。「夫婦だから阿吽の呼吸ですよね」と言っていただけることもあるのですが、少なからずそういう面もあるとはいえ、自分が何か溜まっているものがあったり、意見を持っているのなら必ず言葉にして伝えるようにしています。

-夫婦で一緒に仕事をするようになって5年、当初と現在で変化はありますか?
隆裕:同じ仕事をしているし、子育ても同じくらいの比率でやっているので、よりお互いのことを分かり合える、話し合える関係を結婚当初よりも築けていると思います。

祥子:そうですね。入所当時はまだ私の方が子育ての比率が重くて、仕事に関しては本当にお手伝い程度だったんです。それが、ある時に仕事が上手く回らないぞということがあって、そこからはより「私のお客様」として取り組もうと思いましたし、逆に子育ては主人に頼む部分もあるという風になって、今はすごくバランスが取れてきたなと感じています。

-夫婦で税理士事務所をやっていく中で感じるやりがいは何ですか?
隆裕:「仕事」はもちろん大事なのですが、やはり「家庭」を大事にしたいという気持ちがあるので、近くに妻や子どもがいてくれて…大事にしたい家族の笑顔がすぐに見られる距離は何にも代えがたいですよね。あとは、仕事ってありがたい話がくるとどんどんやりたくなるじゃないですか。でも、やりすぎると今度は家族の笑顔が失われてしまうところもあって…近くに妻がいてくれるからこそ、そのバランスにすぐ気づかせてくれるのでありがたいと思います。

祥子:二人だけでやっているから、何かトラブルやミスが起きたときにすぐに改善することが出来て、常に新しいことを取り入れていけるプロセスにはとてもやりがいを感じます。

隆裕:たしかに。結構大胆な変化もやっていこうという気持ちになれるし、二人で決めたことだから、もし失敗しても笑って次にチャレンジしていこうと言えるんです。そうしてチャレンジしたことは、今のところ失敗はないですね。

-公私ともに夫婦円満の秘訣とは…?
隆裕:やはり、「阿吽の呼吸」ではなく面倒でも口に出して話し合うことだと思います。

祥子:私もそう思います。お昼も一緒に食べるので、話す時間はすごく多いです。

隆裕:コロナ禍の影響でお客様と対面する機会が減った分、リモートでお話をする機会が多くなっているので、より二人でいる時間が増えていますね。

祥子:それでも、まだ話が足りていないことがあるんですよ!前日にお客様のところで話してきたことを、通常なら翌日に二人で話し合いたいのですが、案外それを忘れてしまっていたりして…今はその「話し忘れ防止」をより強化したいと思っています。

夫婦として、仕事のパートナーとして。二人が思い描くこれからのビジョン。

-今後のキャリアについてどんな風に思い描いていますか?
隆裕:これまでもそうですが、色々新しいことにチャレンジして常に過去の自分から変化していきたいです。やはり変化って誰にとっても恐いことだと思うのですが、妻と一緒ならば恐れることなくチャレンジしていけると思っています。私自身が興味津々で色々チャレンジしがちなところを、妻が上手くコントロールしてくれるというか…。でもなんだかんだ挑戦をし続けている今の「ふたり税理士」という形をこれからも続けていきたいですね。

祥子:私も同じくです。これから色々な人生のステージがあると思うのですが、その都度変化を恐れずに対応していけば、事務所を大きくすることだけがキャリアアップではないので、人生のステージに合わせた自分たちの事務所の経営の仕方、人生の送り方を見つけられればいいなと思っています。

-お二人が思う「税理士」の魅力とは?
隆裕:やはり、税理士の資格を持っていると社会的信用を得やすいと感じています。例えば銀行や新しいお客様にも「信用力」があるので、自分でチャレンジする気持ちさえあれば、色々な道が拓けると思います。

祥子:女性目線で考えると、資格があれば開業でも勤務税理士でも働く形態や場所の選択肢が広がるので、子育てをしながら仕事を続けやすいところが魅力だと思います。あとは、私自身も出産して夫に養ってもらっている時期もありましたが、資格があることで自分に自信を失わずにいられたところがあるので、ぜひ女性にもおすすめしたいです。

-最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
隆裕:「こうありたい」という強い気持ちが前提条件ですが、税理士の資格があることできっと自分らしい生き方をデザインできると思います。独立をためらっているだけでは何にもならなくて、一歩踏み出すか、踏み出さないかの違いです。私たちも開業当時から変化していることは多々ありますが、たとえ上手くいかなくてもまた戻ればいいだけのことです。常に人生は「変化」あるのみです。

-本日はお話を聞かせて頂き誠にありがとうございました。

今回お話をお伺いした伊沢隆裕氏、祥子氏が務める、伊沢隆裕税理士事務所のHPはこちら! 伊沢隆裕氏のTwitterはこちら!

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:キャリア

おすすめの記事