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税理士の魅力は「自由さ」。仕事もプライベートも充実させる三輪有香氏のキャリアとビジョン

HUPRO 編集部
税理士の魅力は「自由さ」。仕事もプライベートも充実させる三輪有香氏のキャリアとビジョン

慶應義塾大学経済学部卒業後、大学院を経て税理士事務所に入所。事業会社でアメリカ・サンフランシスコの勤務やM&A業務などに従事。その後BIG4税理士法人での勤務経験をした三輪 有香氏。

現在は1児の母で、(株)ウェルス・パートナーで税務サポートを行っている三輪氏の豊富な経験や働き方への葛藤などについてHUPRO編集部がお話を伺いました。

2012年 慶應義塾大学経済学部 卒業
2014年 國學院大学大学院 卒業
2014年 某会計事務所 入所
2016年 税理士資格取得
2017年 一般事業会社 入社
2019年 デロイトトーマツ税理士法人 入社
2020年 株式会社ウェルス・パートナー 入社

将来を見据え、充実した日々を過ごせた学生時代

―慶応義塾大学経済学部に入学されていますが、当初から税理士を目指していたのですか?

入学前から税理士を目指していたわけではありませんでした。
経済学部に入学した理由は、幼い頃からオーナーを勤めていた父親の背中を見ていたこともあり、経済に興味を持っていたからです。

大学3年生の終わり頃に将来について考えた際、長い人生自分で選択しながら自由に働くためには手に職をつけたほうがいいかなと考えました。また、マネーリテラシーに関する話も早いうちから聞くことが多く、雇う側と雇われる側の両方を聞く機会が多かったことも関係していると思います。

―その中で、なぜ税理士を目指されたのですか?

税理士にこだわったというよりは、どの業種にいってもお金回りはついてくるので、お金回りを知っておくと世界に共通して役立つと思ったのがきっかけです。その上で手に職をつけるためには「税理士」と「会計士」のどちらかになろうと考え、「税理士」を目指すことを決意しました。

税理士を目指すこととした理由は2つあります。1つ目は、業務の特性が自分に合っていると感じたからです。大会社同士の中立を取る監査業務よりも、納税者有利の立場で個人の相談にも乗れる税理士業務に魅力を感じました。また、プライベートも充実させたいという想いがあり、将来的には独立して自分の範囲内でできる仕事をしていきたいと考えていたからです。

2つ目は、試験自体の特性です。会計士試験はゼロか百かの勝負で一気に知識を詰め込まなければならないですが、税理士試験は一科目ずつ積み上げることができます。私は学生時代もそれなりに充実させたかったので、比較的自分のペースで勉強をすすめられる「税理士」を目指すことにしました。

本格的に学習するために、ダブルスクールの形で勉強をすすめました。勉強量が増え大変でしたが、同じ目標に向かって勉強する仲間にも出会うことができてよかったと感じています。

ー大変な生活だったと思いますが、どのように気持ちを保っていたのですか?

とにかく「食」と「運動」は一切我慢せずに、趣味のゴルフも試験後と合格発表後には行い、リフレッシュしていました。
少しでもメンタルが落ちないように気を使いましたね。また、「これは自分で決めた道。成功するのも失敗するのも自分次第。とにかくやるしかない」と常に言い聞かせていました。

勉強にもメリハリをつけ、具体的には短期・中期・長期的な勉強の達成目標を定めました。例えば短期的には「今日はここまでやる」と決めてから毎日の学習をスタートさせていました。定期的に復習し、特に、1回目の税理士試験受験後は、基礎を固めることを意識して勉強していました。また年明け早くから過去問に取り掛かることで、解くべき問題を見極める力がついたと感じています。

―覚悟をもって勉強されていたのですね。大学卒業後、会計事務所に入所されているのですが、これはどのような意図があったのですか?

大学卒業後、BIG4系税理士法人と中小の会計事務所とどちらも内定をもらっていたので、どちらを最初の就職先にするか悩みました。しかし、将来的に独立することを考えていたので、若いうちに任せて頂ける仕事量、及び税務関係の一連の流れの両方知ることができる中小の会計事務所の方を最終的に選びました。当初は世界4大監査法人グループの「BIG4」に就職したい気持ちもありましたが、選択した中小の会計事務所の所長がBIG4監査法人出身の会計士であったため、結果的に学ぶことがとても多く、先輩たちにも恵まれ幸運でした。

会計事務所時代では、法人所得、消費税、相続税などに関する業務を10~15件担当し、先輩から手厚いサポートを受けました。残業も少なく、税理士資格の勉強にも集中できました。
その後、皆さんのサポートのおかげで税理士資格の入手に成功しました。

会計事務所を退所し一般企業へ。挑戦の日々がはじまる

―税理士資格を入手後、一般企業へ入社されていますがどうしてですか?

20代のうちに「海外」へ挑戦し、さまざまな価値観に触れてみたいという気持ちがあったからです。

当初は次の就職先を外資系企業へと考えていたのですが、会計事務所の所長さんから「海外にも拠点をもつ一般企業に入って組織というものを知っておいた方が良い。そこから海外へ挑戦するのも遅くない」と助言を頂き、一般事業会社に入社しました。

転職先の会社には当初から海外配属を希望していたため海外事業部に配属して頂きました。場所はアメリカ・サンフランシスコだったのですが、自分が考えていた通り、そこでの出会いは後の人生にもプラスとなりました。ブラジル人の弁護士や韓国人の医師等、色々な国の優秀な方々とのコミュニケーションを通じて、多様な価値観を知ることができたと感じています。

―すごい経験をされていますね。その後、日本に戻っていますがどのような業務を担当したのですか?

経営企画室で新規事業の立ち上げやM&A業務などに従事しました。
事業計画のチェックでは、ビジネスのスキームに併せて計画を作成し、マクロな視点で物事を見るスキルが培われました。自分たちの判断が会社の事業につながるという緊張感の中で、ひとつのビジネスを進めるか戻すのかを本気で考えることが楽しかったです。

複合的に展開している企業だったので、食品ミールキット事業や化粧品事業などの立ち上げに携わることができました。
「先方の橋渡しになれる事業が何か?」「先方の利益につながることは何か?」を考え、充実した毎日を過ごしていたと感じています。

―充実した毎日を過ごしていたとありますが、その後、二度目の転職をされていますね。どうしてでしょうか?

そうですね。未だに世界4大監査法人グループの「BIG4」で一度働いてみたいという気持ちを持っていたからです。

「BIG4」で働くには自分の名前代わりになる大きな実績が必要だなと考えていたのですが、30歳という節目を迎える前に事業会社での仕事を通じてデロイトトーマツ税理士法人のパートナーの方から声がかかりました。転職するなら今のタイミングだなと思い、転職を決意しました。

デロイトトーマツ税理士法人でのメイン言語は英語で、国際税務・移転価格税務等を担当していました。

ー言語も違いますし、業務になれるまで大変だったと思いますが、どのように勉強されたのですか?

とにかく入社前後は本を読み漁りました。
あとは先輩社員のやり方を見様見真似で学びました。正直、デロイトトーマツ税理士法人には新卒で入らなくてよかったなと思いました(笑)

研修制度はとても充実しているのですが、環境も最先端で座る席もフリーデスクでしたので、最初は誰に聞けば良いのか、そもそもどこに先輩がいるのかなどがわからないときもありました。もちろん仕事をしていくうちにわかるようになりますが、新卒の立場だったら困惑していたと思います。そのため、私としては最終的に良いタイミングで入ることができたと感じています。

働き方に関する考えへの変化。(株)ウェルス・パートナーへ

ーその後、(株)ウェルス・パートナーに転職されていますね。

この転職に関しては「妊娠」が大きなきっかけでした。
妊娠した際に、家族のためにプライベートと仕事のバランスを考えるべきだと感じ、働き方に関する考えが大きく変わりました。世の女性の多くが感じることだと思います。また、国際税務を経験してみたものの、このままずっと組織の一員として働くことでいいのかなとも考えていました。そのタイミングで代表の世古口さんからのお話を頂きました。(株)ウェルス・パートナーの考え方は「日本全体のマネーリテラシーの向上」を掲げる、自分の理想とマッチしていましたし、すぐに返答をしました。

ー出産と転職の同時は大変だったのでは?

正直、産後の忙しさをなめていました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークが増えたのは助かりましたね。

その際に、産後すぐの復帰は難しいとも思いました。
「挑戦への思い」よりも「プライベートとのバランス」を重視したいという考えが強くなっていたので、フレキシブルに働けるのはとてもありがたいですね。

税理士のキャリアは変幻自在。自分でキャリアを作る

ー三輪さんにとって税理士のやりがいとは何ですか?

自分の強みを活かした助言ができた時や知識をブラッシュアップしていく瞬間にやりがいを感じています。
また、税理士資格を取得したことで、全てを説明しなくても自分が会計・税務の得意な人間であるということを説明できる時がとても嬉しいですね。また、私は手に職をつけると決めた時から仕事とプライベートのバランスを取りたいと考えていたので、特に大きい企業に所属して業務はこれだけと思わずに、自分で決めていけるところに楽しさを感じています。

ー10年後のビジョンを教えてください。

今後の展望としては、2つあります。
1つ目は、総合的なプロデュースのご提案を行うことです。
税務会計は入り口であり、そこからITや金融といった広い範囲で、その人たちが知りたい情報をカスタマイズしてご提案できるのが理想だなと思っています。個人の税理士としても、ウェルス・パートナーの中でも、證券や不動産についても学びながらもお客様の人生に寄り添い、総合的にサポートしていきたいと考えています。一般企業を見たからこそ、組織の大変さにも理解を示しつつ、企業又は個人の利益は数字を見ながら、各人の本当に知りたい部分をアドバイスできるようになりたいですね。

2つ目は、早期マネーリテラシー教育に興味があります。子供たちにお金は悪ではないということ、社会保険や税金などを知って自分のスキルに変えていくということは楽しいことだということを伝えていきたいです。
正しい知識を一個ずつ整理して学生時代に簡単でいいので入れておかないと、大人になったときに苦労する人も増えてしまうのではないかと考えています。アメリカでは幼少期からモノポリーといったボードゲーム等を通じてお金の教育をしていきます。マネーリテラシーは生きていく上で必要なことなので、中高で歴史を勉強するように一科目でも教育に取り入れてもいいのではないかと思いますね。

ーこれから税理士を目指す方にアドバイスはありますか?

税理士のキャリアは自分で自由に作ることができます。そのためにはさまざまな経験を積むことをお勧めします。転職はひとつの手段でしかないですが、転職する度に色んな経験が積めるので、どんどん成長できます。海外では転職をステップアップと考える方が多いです。転職は決してマイナスではありません。試験勉強中は、とても大変で苦しく感じる時もあると思いますが、適度に息抜きしながら、“自由”な働き方を目指して頑張ってください。

ー本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

本日お話をお伺いした三輪有香氏がポートフォリオマネージャーを務める、株式会社ウェルス・パートナーのHPはこちら!

この記事を書いたライター

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