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「税理士補助」はなぜきつい?9つの理由を徹底解説!

藤野 みいこ
「税理士補助」はなぜきつい?9つの理由を徹底解説!

これから税理士業界に進もうとしている方で、「税理士補助はきつい」という話を聞いて本当にこの業界に飛び込んでいいのか悩んでいる方はいませんか?

税理士補助は、これからご紹介する9つの理由で「きつい」と言われています。

これから税理士を目指そうとしている方、専門職で手に職をつけたい方には税理士補助は魅力的な仕事です。しかし、求人を探す前に、「税理士補助はきつい」と言われる理由をしっかり押さえておきましょう。

そしてこれらの理由を理解したうえで、ご自身のキャリアに必要であれば飛び込んでみましょう。

経理、会計、税務をやるうえで、税理士事務所での勤務経験は確かなスキルになります。

「税理士補助は」デメリットと同時にメリットもある仕事です。そのため、デメリットをしっかりと把握して「こんなはずじゃなかった」と後悔しないようにしましょう。

そもそも税理士補助とは

では税理士補助はどんな仕事でしょうか?

税理士補助は税理士のアシスタントをイメージしてもらうとわかりやすいです。

会計の資料作成、会計ソフトへの記帳業務、申告書作成準備、税務署への提出書類関係の雑務、コンサルティングなど、税理士の業務のお手伝いをする仕事です。

主に会計事務所、税理士事務所、税理士法人などで雇われ、アルバイト、パート、正社員などさまざまな雇用形態の人々が税理士の補助をしています。

法律の勉強をしなければならない

税理士補助は、税金の知識が必要な仕事です。

一般的な会計処理や消費税の申告には消費税法、年末調整や給与計算などには住民税、償却資産税の申告には固定資産税、個人の確定申告には所得税法、法人の確定申告には法人税法。それぞれの知識が必要です。

会計事務所によっては、セミナーや研修、税理士からの指導、税務関係の書籍が職場にある場合もあります。しかし、まったく勉強のための援助がない事務所もあるため、独学で勉強しなければいけない場合も多いです。

税法は、ある程度条文を読めたり、体系を理解していたりしないと難しいので、全く土台がない段階において、独学で勉強するのはハードルが高いです。

税理士受験生が税理士補助の仕事をやる場合は、ある程度税務の知識があるケースもありますが、受験勉強をした科目以外の実務で必要な知識は勉強する必要があります。

勉強が好きではない、苦手な場合は「きつい」と感じやすいでしょう。

放置されることが少なくない

小さい税務事務所で働いてみたら、「過去のファイルを見て、真似してやってみて」と放置された。なんてことも少なくありません。基本的にはOJTで、マニュアルがないのは当たり前です。

小さい事務所の税理士補助をやる場合は、ある程度放置されることは覚悟しておきましょう。

わからないことは付箋をはって、あとでまとめて確認する、など工夫して主体的に仕事をする必要があります。

なんでも教えて欲しいという人には「きつい」仕事と言えるでしょう。

繁忙期は土日も働く可能性がある

決算及び所得税、法人税、消費税の確定申告、年末調整、償却資産税の申告が重なる12月から3月までは、税理士や税務事務所は忙しいです。

法人の場合は3月決算が多いため、抱えている取引先次第では5月の確定申告まで繁忙期が長びく可能性もあります。

この期間、残業が増えて、土日祝も出勤なんてことも税務事務所では珍しい話ではありません。

そのため、繁忙期に休みがなくて「きつい」と感じる方が多いでしょう。ハードワークに耐性がない場合は、職場の面接で1人あたりの仕事のボリュームや残業について必ず面接官に確認しましょう。

地味な事務作業が多い

税理士補助は、いわゆる税務周りの雑務をやる仕事です。レシートをひたすら糊付け、税務申告書を国税局まで提出しにいく、税務署まで納付書を取りにいく、など地味な事務作業が続くこともありえます。

これらの雑務に対して、苦痛を感じる方もいるため、黙々と作業を続けることができない方は「きつい」と感じるようです。

評価制度や給与形態が曖昧

税務事務所によってはしっかりと評価制度があったり、給与形態もその評価に紐づいたりする場合はあります。

しかし基本的には、地域密着の税務事務所は中小企業のようなものです。大企業のような評価制度はないと考えた方がいいでしょう。

正当に評価されているのかもわからず、上司の鶴の一声で給与があがったり、まったくがんばりが評価されなかったりする可能性もあります。

その場合、がんばりを評価されないことに対して不満をもつ可能性があります。また、評価がされないということは給与があがる見込みもないということです。

学生のうちや、見習い期間ならまだしも家庭をもつようになって、年収が上がらないことを理由に税理士補助をやめて別の会社に就職する人もいます。

ある程度属人的であったり、コンプライアンスが上場企業に比べて緩かったり、は小さい会社の宿命ともいえます。

評価制度や給与が心配な場合は、大きい会社の税理士法人の税理士補助、などある程度成熟した企業を狙うのもひとつの手段といえるでしょう。

受験と並行で「税理士補助」をする場合は時間が足りない

税理士受験生は、仕事が終わった後に受験勉強。というパターンが多いです。

仕事が忙しく、思ったように受験勉強が進まない。休日も勉強だらけで休まる時間がない、など税理士補助と勉強の両立が「きつい」と感じる方も多いでしょう。

そのため、最初から正社員として税理士補助をやるのではなく、アルバイトで時間を区切って税理士補助をやる方も多いです。

これから取得したい税理士科目のボリュームに応じて、仕事の時間もコントロールしていきましょう。

税理士補助としてのみではキャリアを積みにくい

税理士になる前の練習期間として税理士補助をやる分には勉強になります。しかし、税理士補助としてのみ何年間も仕事をしていると、同じ仕事の繰り返しのように感じてしまう人もいます。

税理士科目の5科目合格ができないことで、いつまでも「税理士補助」以上にステップアップできないことを「きつい」と感じる人もいます。
所属している会社で「税理士補助」として続けることに迷いがある場合は、「税理士科目」の取得のための計画の見直しや、事業会社で経理をやる、税理士補助を続けるにしても別の会社への転職など、路線変更をしてみてもいいでしょう。

コミュニケーション能力が必要

また税理士補助として働くにあたって、コンサルティング業務など、取引先との仕事上の付き合いがある場合もあります。

その際、お客様への対応を間違えると、取引先を失うことにもなりかねません。

ある程度のコミュニケーション能力が必要ですが、人付き合いが苦手な人は「きつい」と感じるようです。

雑談力や聞く力など、トークが苦手な人でも覚えられるテクニックを勉強することもときには必要となります。

会計処理を間違えられない

勘定科目を間違えれば、そのB/SとP/Lの資料に信用性がなくなりますし、費用や売上の過剰な計上もれがあれば、税務署に修正申告を出すことになって取引先に迷惑をかけることになります。

緊迫感のある職場のため、プレッシャーを感じて「きつい」と感じる人もいるようです。

お客様の会計処理をすることと、経理部門として自社の会計処理をやるとではプレッシャーが違います。

大雑把な性格の人は、慎重さを身に着ける必要があるでしょう。

税理士補助

まとめ

いかがでしたでしょうか?税理士になるための前段階として「税理士補助」を志す人はいますが

・法律の勉強をしなければならない
・放置される
・繁忙期は土日も働く可能性がある
・地味な事務作業が多い
・評価制度や給与形態が曖昧
・受験と並行で「税理士補助」をする場合は時間が足りない
・税理士補助としてのみではキャリアを積みにくい
・コミュニケーション能力が必要
・会計処理を間違えられない

以上の理由により「きつい」と感じる人もいます。

しかし、税理士試験の受験生は、実務に触れることができるというメリットがありますし、パートで専門性の高い仕事をやってみたいという方にも税理士補助はおすすめできる仕事です。

職場環境が自分とあっている、など事務所との相性もあります。

「税理士補助」を志す方はぜひご自身の目的と照らし合わせて、勤務形態や、事務所の方向性などからご自身と相性のいい事務所を探してみましょう。

「税理士」にならなくても、「税理士補助」としてそのまま勤務を続ける方もいます。

また、放置されるなどネガティブな面にも見えますが、そこで主体性を身につけて、勉強や仕事の面で活躍する人もいます。

あなたにとっての天職になる可能性もあるのが、「税理士補助」です。ぜひあなたも税金の勉強をして、税務についての知見を増やしていきませんか?

この記事を書いたライター

元税理士受験生で簿記論・財務諸表論合格後、消費税法と法人税法、相続税法の勉強をしながら税務事務所に勤務。その後税理士業界から事業会社に魅力を感じ、インフラ、アパレル、リフォーム関係の会社で経理財務を経験し、ベンチャーを中心にキャリア形成。
カテゴリ:業務内容

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