株を購入する場合の指標はいくつもありますが、今回ご紹介するPCFR(株価キャッシュフロー倍率)もその1つ。その企業の株価が割安かどうかを判断するための指標です。PERやPBRに加え、株の購入を検討する際の判断材料として、ぜひ押さえておきましょう。
PCFRとはPrice Cash Flow Ratioの略で、そのまま訳すと「株価キャッシュフロー倍率」となります。1株当たりのキャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)の何倍まで株価が買われているかということを示す倍率です。つまり、その企業の何年分の営業キャッシュフローで株価に投資した元本が回収できるかということを表しています。
キャッシュフローは、税引後の利益に、利益から引かれた減価償却費を再び加えた金額です。有形でも無形でも固定資産は減価償却により、取得した原価を耐用年数に応じて年度ごとに費用配分しますが、減価償却については、平成19年4月1日より前に取得したものと、その後に取得したものでは計算方法が異なるほか、設備投資を積極的に行っている企業はそのぶん減価償却費が大きくなり、見た目の利益が減ります。
どこで、減価償却費をあえて利益に足しこむことで減価償却費が異なる企業の収益力の比較を可能にしています。
こうして求められるキャッシュフローは、国ごとに異なる会計制度の影響を受けにくい指標として、企業の国際比較などに用いられることが多いのです。
それではPCDRを求めてみましょう。計算方法は以下の通りです。
PCFR=株価 / 1株当たりのキャッシュフロー
この式に数値を当てはめるためには、まずは一株当たりのキャッシュフローを求める必要があります。一株当たりのキャッシュフローについては、全体のキャッシュフローを発行済み株式数で割ることで求められます。
1株当たりキャッシュフロー =キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)/発行済株式数
※キャッシュフローは会社四季報や企業の決算短信または有価証券報告書の「キャッシュフロー計算書」で調べることが可能
※発行済み株式数は会社四季報やYahoo!ファイナンスなどで入手できます。
また、もっと簡単な計算方法としては、
PCFR = 時価総額 /キャッシュフローとして計算する方法もあります。
時価総額は株価に発行済み株式数を掛け合わせた数値なので、全体で割ることにより、1株当たりのキャッシュフローを計算する手間が省けます。
こうして求められたPCFRの倍率が高い(数値が大きい)ほど株価が割高、PCFRが低いほど、株価に対するキャッシュフローの割合が多いため、株価が割安と判断することができます。
例えば、減価償却費用として利益から引かれている設備投資をキャッシュフローでは盛り込んでいるため、設備投資を行なっている企業ではPCFRの値が低くなります。
設備投資を行っているということは、今は利益が低くてもこれからの将来性が見込めるということです。
PCFRは「何倍以上なら割高」といった目安はありません。というのも、業種によって設備投資に投じる額は異なるからです。そのため、PCFRについては、市場全体の数値だけでなく、その銘柄の過去のPCFRや、同業他社や業種平均などと比較をすることが重要です。
実際にスクリーニングを行う場合は、楽天証券やカブドットコム証券など、ネット証券会社がこうした指標の活用に優れた機能を持っています。証券会社の機能は、実際に投資を行わなくても口座登録すれば使えますので、いろいろ試してみてください。
PCFRはあくまで単独で投資判断に使うのではなく、様々な視点から株価を見るための一つの指標です。
こうした指標に使われるもので、最もメジャーなものは以下の2つです。
・PER(株価収益率)
・PBR(株価純資産倍率)
PERは株価収益率といい、株価を1株当たりの利益で割ったものです。
PER=株価 / 1株あたりの利益(EPS:Earnings Per Share)
PERでは、株価が1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見ることができます。当然ながら、利益より株価が高い場合はその株は割高となるため、PERは低いほど割安という判断になります。
投資した株価を回収するのに、どのくらいの時間がかかるかということを表しています。例えばPERが15倍であれば、純利益の15倍まで株が買われているため、株価分の利益を得るためには15年かかるということになります。
しかし、PERについては利益が基準になっていることから、積極的に設備投資などを行っている会社は低くなりがちです。そのため、その会社の過去のPERにあわせて同業他社との比較をしたうえでの割安かどうかの判断を行います。
続いてPBRは株価純資産倍率といい、株価を1株当たりの企業の純資産(株主資本)で割ったものです。
PBR=株価/ 1株あたりの純資産(BPS:Book value Per Share)
PBRでは、株価が1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見ることができます。仮に会社が解散するとしたら、清算は純資産から行われるので、こちらも低い倍率の方が割安と判断されます。目安としては1倍未満の場合に割安と判断されますが、0.1倍のようにあまりにも低い倍率の場合は、財務状況の悪化により株価が下がっている可能性があるので注意しましょう。
PBRを見る場合は、純資産の数値も併せてチェックしておくことが必要です。
PCFRはPERを補う役割を果たすとて最近注目を集めはじめた指標です。そのため、証券会社でもスムーズに計算できる機能を提供しているところは少ない状況ですが、割安株を発見するのに有用な指標であることには間違いありありません。PER/PBRと共に活用して、新たな投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。