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税理士にこれから求められることとは?

HUPRO 編集部
税理士にこれから求められることとは?

税理士の仕事は税務に関する業務がメインでしたが、時代とともにそれが変化しつつあります。また、税理士の仕事はAIの進化により激減するのではないかとも考えられているのです。このような中、税理士はこれからどのような役割を果たすべきなのでしょうか。今回は、税理士がこれから求められることについて解説していきます。

税理士がこれから求められる職務の変化

日本では、個人のみならず企業に関しても納税の義務が課されています。しかし税金に関する法律はとても複雑であり、法改正も頻繁に行われています。そのため、通常業務だけで手一杯の経営者から納税のサポートを依頼され、専門知識を活かして手続きを代行することが税理士の主な仕事でした。しかし、パソコンやインターネットが大幅に普及し、納税に関する知識も簡単に入手できる用になった今、税金に詳しくなくても企業側だけで納税対策をすることができるようになったのです。

そしてまた、日本企業の99%が占めている零細企業は、この納税対策よりも、経営の見直しや会社経営に関する相談を税理士に求めてくるようになりました。つまり、経営者と一緒になって会社の業績を良くするための「経営コンサルタント」の役割が求められるようになってきたのです。

税理士にこれから求めたいこと【会社の規模別】

日本の企業を「上場企業」「中小中堅企業」「ベンチャー企業」の3つにわけて解説しましょう。それぞれの企業の経営者は、税理士に対して具体的にどのようなことを求めているのでしょうか。

上場企業の経営者が税理士にこれから求めること

上場企業の経営者の場合は、従業員のリストラや解雇といった問題を税理士に相談したいと考えています。大企業は従業員が多いので、このような問題はよく発生するのです。とはいえ、従業員を簡単に解雇することはできません。考えられる経営努力をすべて行い、それでも経営が成り立たないという状況ではなければいけないのです。そこで税理士が各部署と連携を取りつつ、時には社労士や弁護士とも協力をしながら企業の経営状況の改善をすることが求められます。

また、ストックオプションについてのアドバイスも求められています。ストックオプションとは、決められた価格によりあらかじめ自社株を購入するという権利のことをいいます。ストックオプションをうまく活用して自社株を得て、株価が値上がりした時点で売却をすれば、利益が得られます。これらの利益は従業員に還元をし、従業員の士気を高めることも可能ですし、優秀な人材を確保してさらなる事業展開をすることもできます。ただ、この制度を管理するには、株主総会決議や資本政策といった専門的な知識が欠かせません。そこで、このような知識をもつ税理士に、ストックオプションの適切なアドバイスが求められているのです。

中小中堅企業の経営者が税理士にこれから求めること

中小企業は少しでも支出を減らしたいので、節税対策を行いたいと考えています。例えば、自宅で開業をしている場合であれば、水道代や光熱費を経費に経常し、節税するといったことが挙げられます。また、出張をする従業員が多い場合は、宿泊費や交通費だけではなく、日当や出張中の食費も出張旅費とすることにより、こちらも節税対策になるのです。しかし、こうした知識は、なかなか入手できません。そこで、細かな節税対策に役立つアドバイスが税理士に求められるようになってきているのです。

また、経営者個人の資産についてのアドバイスも求められます。経営者個人が所有する財産についての管理や運用についての方法を問われることもあります。そして、相続税額に関して税法上どのようにすることがベストなのか尋ねられる場合もあるのです。税理士は、節税対策をしたうえで、経営者の資産を増やすための運用方法をアドバイスする必要があります。

ベンチャー企業の経営者が税理士にこれから求めること

斬新なアイデアや技術をもとにして、これまでのかたちにとらわれることのない新しいビジネスを展開し続ける企業のことを、ベンチャー企業といいます。ただ、その今までにない新しいかたちのビジネスなだけあって、銀行や投資家からの理解が思うように得られず、資金調達に苦戦を強いられることが少なくありません。

そこでベンチャー企業が着目するのが、ベンチャーキャピタルです。ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業を中心に投資をするファンドのことですが、もちろんどのようなベンチャー企業にでも投資をするというわけではありません。そのため、ベンチャーキャピタルに投資をしてもらえるにはどのような事業計画をたてれば良いのか、どのようなベンチャー企業であれば投資先の候補として判断してもらえるのかといったことを税理士がアドバイスすることが求められているのです。

また、ベンチャー企業はまだ人脈が広がっていないことが多いです。そのようなベンチャー企業に対して知り合いのネットワークを紹介し、経営者同士のつながりを作ることも、税理士の役割になっています。税務に関する専門的なことだけではなく、このような人脈のつながりの構築も、税理士に期待されています。

まとめ

税理士がこれから求められていることは、これまでの業務内容とは変化してきています。そのため、税理士も時代の流れに応じて知識を増やしたり、コンサルタント力やコミュニケーション力を高めていく必要があるでしょう。AIの進化によってなくなるといわれている税理士の仕事ですが、このような役割を果たすことができれば、むしろ今後、ますます必要とされる存在になっていくはずです。

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