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デューデリジェンス費用はいくら?相場について

公認会計士・税理士 金森 俊亮
デューデリジェンス費用はいくら?相場について

M&A等を行う際に必要となるのが、デューデリジェンスです。デューデリジェンスには、財務や法務をはじめとした様々な対象物があります。
M&Aというのは、企業にとって特殊なものです。M&Aが発生するということ自体珍しいことではないでしょうか。

また、M&Aは秘匿性が非常に高い業務です。世の中に情報が出回ることはほとんどありません。そのため、費用面が不透明になりやすいと思います。

そこで、今回の記事では、デューデリジェンスの費用は大体いくらくらいを見積もったら良いのか、相場感について記事にしたいと思います。
初めてM&Aの業務に従事される方の参考になれば幸いです。

デューデリジェンスの費用の決め方は複数ある

そもそもですが、各種専門家に支払うデューデリジェンスの費用の決め方は様々な方法があります。
一般的には、以下の方法があります。

タイムチャージ式

1時間あたりの単価を設定し、そこに実際にかかった時間を乗じることで、報酬を算定します。
見積もりの段階で、大まかな時間を提示することで、見積もり額を出してきますが、場合によっては、時間を超過することで、見積もりよりも高くなることがあります。
逆に、見積もり時間に到達しないことで、見積もりよりも安くなることもあります。

日数で計算

期間にかかる日数を算出し、その日数をベースに報酬を決める方法です。
デューデリジェンスは対象企業の規模にもよりますが、2週間から2ヶ月程かかることが多いです。その範囲内で、日数を算出して、見積もりを提出してきます。

一定時間(or日数)までは固定報酬でその後はチャージ式

タイムチャージと日数計算のハイブリッド形式になります。
一定時間や日数までは固定としており、もし、追加で作業が必要な状況が生じた場合に追加でチャージすることを定めています。

まずは、自社にくる見積もりがどれに該当するかは確認しましょう。
しかし、どの方法を取るにせよ、専門家としては、時間当たりの単価を決めており、それを積み上げて見積もりを作成することが一般的です。
そのため、どの方法にしても総額は大きくは変わらないことが多く、妥当かどうかは時間当たりの単価にしてみると良いでしょう。

デューデリジェンスの相場

デューデリジェンスには、いくつかの種類があります。
財務、法務、税務、労務、ビジネス等です。これらのデューデリジェンスは、それぞれ公認会計士・弁護士・税理士等、専門家が異なりますが、専門家の種類ごとに単価が大きく変わるわけではありません。

その中で、相場としては、1人1時間あたり15,000円から100,000円となります。
非常に幅が広く感じられるかと思います。

100,000円を請求してくるのは、大手の会計事務所や弁護士法人のパートナーです。また、この方達は、長時間のチャージをするわけではありません。
現場で作業する方たちであれば、15,000円から30,000円くらいだと認識してもらえれば良いと思います。

大きなところに頼めば、高くなっていきますし、個人の事務所であれば、安くなることが一般的です。(ただし、個人でも専門性が高ければ高くなることもあります)
1人1日あたり12万から50万位になるでしょうか。
総費用には、この単価に日数を乗じます。先述したように日数に関しては、対象会社の規模によって変わってきます。短ければ、2週間、長いと2ヶ月程度です。
単価に日数を乗じることで、大まかの予想が立てられます。

デューデリジェンスの費用は高くなる傾向にある

そもそもデューデリジェンスにかかる費用は高くなる傾向にあります。
これは、単発の仕事でかつ短納期が多いためです。
顧問契約等の長期的な仕事に関しては、クライアントのキャッチアップの時間も長めに取れます。また、専門家としてリスクに対して対応を取ることが可能なことも増えるでしょう。

一方、デューデリジェンスの場合はそうはいきません。短時間でインプットをして、報告書のアウトプットまで仕上げる必要があります。また、リスクも高くなるために、単価が高くなる傾向にあります。
なお、デューデリジェンスに限らず、緊急性の高い業務に関しては、どの専門家も同じような傾向にあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
デューデリジェンス費用は高いなと感じられる方も多かったのではないかと思います。
確かに、我々専門家から見ても、通常の業務よりは少し高めに見積もりを出すことになるため、高いという点には同意です。

しかし、M&Aは実施後にサプライズを出さないことが必要です。また成功させるためにも、デューデリジェンスは必須の作業です。
費用を下手にケチって後々に手痛いしっぺ返しを食らう位なら、少し高くてもしっかり払って予防をするのが良いと思います。
病気は発症すると、お金だけでなく時間も多く失ってしまい、コストがかかります。予防は発症と比較するとはるかに安価で済ませることができます。

デューデリジェンスは予防です。そのため、適切に費用をかけることが必要と考えられます。
また、場合によっては相見積もりをすることで、自社に適切な費用はいくらなのかを確認するのも良いと思います。
この記事を読んだ方が適切な費用でデューデリジェンスを実施できれば幸いです。

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この記事を書いたライター

公認会計士・税理士。大手監査法人で10年、監査とアドバイザリー業務を経験し2020年7月独立開業。現在は会計コンサル業務を中心に業務を行い、徐々に税務業務を開拓中。小規模監査法人パートナーも兼務。多摩地域を盛り上げたいと思っている。
カテゴリ:コラム・学び
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