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自分で「言語化」することで成長ができる。スタディプラス株式会社CFO中島花絵氏のキャリア遍歴

HUPRO 編集部
自分で「言語化」することで成長ができる。スタディプラス株式会社CFO中島花絵氏のキャリア遍歴

大学在学中に公認会計士として監査法人に入社し、現在は学習管理プラットフォームを展開するスタディプラス株式会社でCFOとして活躍する中島花絵氏。
今回は中島氏が公認会計士を目指したきっかけや働く上で大事にしていることについてHUPRO編集部がお話を伺いました!

2004年3月 一橋大学商学部経営学科卒業
2007年8月 公認会計士2次試験合格
2008年6月 株式会社カカクコム入社
2011年7月 証券アナリスト第2次試験合格
2013年4月 株式会社カカクコム経営企画室室長
2014年4月 株式会社カカクコム財務経理部長兼企画IR室長
2018年1月 スタディプラス株式会社入社 管理部部長
2018年3月  当社取締役CFO就任(現任)

【キャリアグラフ】

キャリアイメージが湧かない。公認会計士に出会えたきっかけ。

―公認会計士を目指したきっかけはなんですか?

高校時代までずっと北海道の田舎で過ごしていたので、自分の将来については明確には描けていませんでした。ただ、「東京には出てみたい」という憧れはあったので、いい大学に合格すれば親に費用を出してもらえるのでは…という単純な動機で受験勉強を頑張りました。

大学進学後、周囲が当たり前のように大手企業を目指して就職活動をする中で、私の親戚や身近にそのようなキャリアを歩んでいる方がいなかったためか、あまり自分にはそのキャリアイメージが湧きませんでした。

その中で会計士ならば、「受験」をすれば資格という強い武器を得て、働くことができると考えて、イメージが湧かない就職活動をするよりも、資格試験の方がキャリアの方向性がフィットすると感じ公認会計士を目指すことにしました。

-医師や弁護士など、試験で得られる国家資格というのは他にもある中で、
 公認会計士を選ばれた理由はなんですか?

一番コスパがいいと思ったのが大きな理由です。医師も弁護士も在学中に資格を確定させるのは実質難しいと思うのですが、会計士は専門の学部や大学院に進学しなければならないという、大きな意志決定を伴わずに目指せるので良いなと思いました。

-公認会計士の試験勉強は順調にいきましたか?

周囲の支えもあり順調に進めることができました。受験を共にする“仲間”と支え合い、高め合いながら勉強ができたので、当時の私にとって勉強は辛いものではなく、前向きに取り組めるものでした。大学2年生から公認会計士の勉強を始めて、4年生で合格をすることができました。

会計士として働く中で得た、「プロ」としての責任感

-在学中に監査法人に入社されましたが、ここでの仕事はいかがでしたか?

監査法人の合格発表が10月で、在学中の半年間はアルバイトとして所属していました。配属された国際部の部内同期は10名程で、私だけが在学期間中は研修のみで現場に出ていない中、年齢が上だった他の同期たちは現場で働いているのを見て、少し焦りを感じていました。

また受け持っていたお客様はかなりの大手企業で、仕事の全体像も見えず…何が起きているのかわからないまま時が過ぎていく日々でした。シニアに昇格後も、成長実感のない焦燥感は続きました。

-その後、初めての転職に事業会社を選ばれたのはなぜですか?

会社の意思決定という部分に興味が沸いたからです。

会計士は「会社の実態や意思決定の背景を知ることが重要」と聞いてはいましたが、あまり働く中で実感できず「企業の中から見ればわかるのでは?」と興味が湧きました。事業会社の一員として働いて、会社の意思決定に携わってみたいとカカクコムへの転職を決めました。

-最初の転職に不安はありませんでしたか?

不安はありました。会計士が事業会社に行って何ができるのか?会計士として働いても成長実感を得られなかった中で、一体私に何ができるのだろうと思っていました。

しかし実際働いてみて、会計士として働いた経験が自分にとって大きな財産であり、どこでも活躍できる自信になっていることに気づきました。

会計士は「プロ」として年次関係なく、確実なアウトプットが求められます。私自信も専門家として、お客様のために成果に責任を持ち働くスタンスが自然と根付いていました。

IRを軸にあらゆる業務に取り組み、プロとしての責任ある仕事を評価していただくことが多かったです。社内でも「最後どうにかしてくれる」そんな立場で信頼をいただいていたと思います。

-若くして部長職に抜擢されているのですね!ただ成長実感は落ちているように見えますが。。

部長職に就任して様々な経験をさせてもらったのですが、仕事を”こなす”ようになっている自分に気づきました。会社の中で誰に話を通せば、自分のやりたいことができて、承認がもらえるのか?そのポイントを把握して自分が関わる人を絞っていました。仕事を通じて大きな困難を経験することなく、全て”こなす”という感覚で仕事をしていたので、成長実感が減ってきていました。

-そんな中で再度転職を考えられたと。

そうですね。転職のきっかけでもあるのですが「課題」を自分で見つけたいという思いが強くありました。今まで、会社や上司が見つけてくる課題を解決して出来る気になっていたけれど、実は課題を見つけてくる方がより難しいと思っています。どこに課題があるのか?なぜそれが課題なのか?頭を使い考える仕事に、自分が関われていない気がしていました。

自分で「課題」を発見する働き方をしてみたい。CFOへの就任

-スタディプラス株式会社への転職の決め手は,「課題」を見つけるポジションへのチャレンジといったところですか?

そうですね。「課題の発見」に責任がある経営層のポジションに就きたいと考えていたのでCFOという役職には比較的こだわって探しました。また、サービス業界でという思いもありました。カカクコムではプラットフォームとしての意義、「ユーザーファーストへの思い」を大事にしているところが魅力であると、私は感じていたので、同じようにユーザーファーストを大事にしている会社である、スタディプラスに共感して転職を決めました。

-転職の際は悩みましたか?

少なからず悩みはありました。自分の待遇や年収も大きく下がることにはなりますし、社員規模も20人程でここまで小規模な組織で働いたことは過去になかったので。今まで働いた環境とは違うことへの不安は少なからず感じていたと思います。

-そして転職後3カ月でキャッシュアウトという危機に直面しますが…

そうですね。入社後3ヶ月で資金がショートしました。お金が無くなるということはわかっていたので、すぐ資金調達を始めましたが、実際資金調達には数カ月かかります。その間に資金が回らなくなり、一時的に監査役に資金を借りるなど本当に色々大変な時期でした。今振り返ってもスリリングな経験だったと感じています。

-CFOとしては具体的にどんな業務を行われていますか?

CFOとしては資金調達とその資金投下の判断を行っています。
当社の業態だと、お金を使うところは人材費か広告宣伝費といったところですが、結果的に人件費に資金の多くを投下する意思決定をして、採用や待遇改善に力を入れました。

また管理部長も兼務して、管理部門の管理監督という役割も担っています。
その後、上場を具体的に目指せるフェーズに入ってくると「会社をどう見せるか」「どこにコストをかけるか」を考えることがCFOには求められてきますので今はそこに取り組んでいます。

-転職の際に思い描いていた「課題発見」への手ごたえはありましたか?

そうですね。携われていると感じます。
わかりやすい例で言うと、社内の人事制度を新たに設けました。

組織の課題は何か?と考えた時に、人件費の使われ方に曖昧な部分があると感じました。財務的な視点で言うと、「使った人件費」が会社の中長期の成長に対する投資になる必要があります。具体的には、「長期に渡って働いてくれる」とか「社員が成長し活躍できる」ということが実現できることが重要です。そしてそれを実現する役割を持つのが、人事制度です。

しかし人事制度が明確に決まっておらず、評価の際に評価軸を考える等、場当たり的な対応をしている現状がありました。そこを解決するにあたって様々なアプローチを並行しながら、比較的短期間のうちに人事制度を作り上げました。

また最近では管理職の育成が行えていないことに課題を感じ、「360度評価」に近い制度を導入しました。リーダーや部長が成長するきっかけとなるよう、メンバーから匿名でアンケートをもらえるといった内容のものです。

課題を発見して、解決するためのアプローチを考え実行できる立場にいられることは非常にありがたいと感じています。

-今現在の仕事のやりがいは何ですか?

まだまだ小さい会社なので、意志決定の影響がどれくらい会社やユーザーに及ぶのかがわかりやすく面白いと感じます。CFOというポジションはサービスを広げていくことに対して結構自由に動けますし、コーポレート業務としてどの部署にも関わっていけるのでやりがいに感じます。

またすべての社員の幸せにも結びつく仕事がダイレクトにできるので、そこにもすごくやりがいを感じています。

「学んでいる人が主人公」公認会計士試験を乗り越えたからわかる、スタディプラスの魅力

-スタディプラスの魅力を教えてください!

自分で設定した目標をやり切るための伴走者がスタディプラスです。

目標達成のためにやりきるという経験は人生の中でも大きな意味を持つことだと思います。それを肯定してくれる場所としてスタディプラスを広めることに意義があると思っています。スタディプラスの魅力は、「勉強を頑張る仲間」がいることだと思います。私自身も大学受験や公認会計士試験をやり切れたのは、周囲の”勉強を頑張る仲間”の存在が大きかったと感じています。

よりもっと多くの人に使用していただくためにも、今後は塾や学校経由など様々な切り口で使えるサービスにしていきたいと思っています。私達のサービスのコンセプトは「学んでいる人が主人公だ」という思いです。

学校でも塾でも今は多様な学習コンテンツが溢れていますが、勉強の記録の全てをスタディプラスに紐づけて記録することで、自分が頑張った記録という財産を見える化できればと考えています。

自分がこれだけやりきったという自分をほめる機会を作る、努力や成功体験を可視化するというのは社会全体でも必要だと思っているので、そうした意味でもサービスの更なる発展に尽力していきたいと考えています。

自分で「言語化」することで成長ができる。

-HUPROMAGAZINEの読者にメッセージをお願いいたします!

仕事をする上で重要なのは、本質的に理解して取り組む意識だと思います。
そのため仕事を「自分の言葉で言語化できる」状態を常に意識するとよいと思います。
上司から言われたから、ここはこう決まっているからではなく、今やっていることは何のためにしているのか?何がゴールなのか?を自分の言葉で言語化できることは非常に重要です。なぜなら自分の言葉化する過程で、最初は気が付いていなかった課題の本質を見つけることができるからです。

自分がCFOになってみて思うのは「仕事は基本任せてはもらえない」と言うことです。当たり前ですが「本質的に理解してない」人に大事な仕事は任せられません。ではどうしたら「本質的に理解できている」と上司があなたに感じるか?前述した通り自分の言葉で説明できるかどうかが一つ大事な指標になると思います。

キャリアを考える上でも「自分の言葉で言語化できる」を実践していくと自分がどうしたいのかを明確にできるので迷いも、悩みもより解決に近づきます。是非これからのキャリア形成頑張ってください!

本日はお話をいただき誠にありがとうございます!
今回お話をいただきましたCFO中島氏が務めるスタディプラス株式会社のHPはこちら!
スタディプラス株式会社のHP

この記事を書いたライター

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