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「事業は人がつくるものであり、いかに人を動かして事業を盛り上げていくか。」ウォンテッドリー株式会社 執行役員 コーポレート担当 兼平敏嗣氏のキャリアパス

HUPRO 編集部
「事業は人がつくるものであり、いかに人を動かして事業を盛り上げていくか。」ウォンテッドリー株式会社 執行役員 コーポレート担当 兼平敏嗣氏のキャリアパス

2008年に入社された本田技研工業株式会社では主に管理会計に従事し、その後2017年には株式会社みずほ銀行に入行し、株式会社J.Scoreへ出向されて、現在はウォンテッドリー株式会社で執行役員として活躍されている兼平敏嗣氏。高い自由度を求めて、能動的にスキルアップしてきた兼平氏のキャリアパスを、モチベーショングラフに沿ってHUPRO編集部がお話を伺いました。

2008年 本田技研工業株式会社 入社
2017年 株式会社みずほ銀行 入社(株式会社J.Score 出向)
2019年 ウォンテッドリー株式会社 入社
2019年 執行役員就任

【キャリアグラフ】

ホンダで感じた管理会計の醍醐味

―まず、兼平さんがどんな学生だったか教えてください。
人にものを教えることに興味があったので、初めは教師を目指していました。教師は生徒の役に立ち、生徒が成長していく姿を見届けることができるように、人に良い影響を及ぼすことができる教師という職業に魅力を感じていました。

―初めは教師を目指されていたのですね。いつ頃から本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)に就職することを考え始めたのですか。

教師を目指すことに挫折したわけではないのですが、結果として別の道を選択することになりました。就職活動の選択肢としてホンダを考えていたのは、「車が好き」「好きなものに関わりたい」というシンプルな理由です。

―2008年に入社されたホンダでは具体的にどのような仕事をされていましたか。

日本地域の経営企画部に該当する部署に配属され、主に管理会計に関する仕事をしていました。ホンダ単体だけでなく、子会社の販売店・ディーラーの損益管理などに携わっていました。また、子会社への出向などを通じて、管理会計だけでなく、財務会計や税務会計、ガバナンスなど様々な領域に関わることができました。

―初期配属のタイミングでモチベーションが下がっていますが、これにはどのような理由がありましたか。

私自身が仕事に興味を持てなかったことが理由です。入社当初は、自分が好きなものをつくり、それを広める仕事をしたいと考えており、商品企画やマーケティングといった部署を希望していました。大学では、簿記や経営学を学んできましたが、管理会計に興味を持つことができませんでした。

―その後、仕事の醍醐味が分かるようになりモチベーションも上がっていますね。これには何かきっかけはありましたか。

周りの人にとても恵まれていたことが大きいと思います。上司や先輩が仕事の面白さに気付くことができるきっかけをくれ、辛抱強く育ててくれたことには今でも感謝しています。仕事に対して興味を持つことができず、リーマン・ショックの中で仕事が非常にハードだったこともあり、最初の半年は辞めたいとすら思っていました。

仕事に興味が持てるようになったきっかけは、ある時上司に「会計のような数字を見る仕事は定量的な情報ばかりを扱いがちだが、ただ数字を見るだけではなく、その裏側に何があるか定性的な情報まできちんと考えなさい。」と言われたことです。例えば、自動車一台の売上を見ても、購買、生産、物流、販売、そして実際の顧客など様々な人が関わっていて、さまざまな想いがあって成り立っています。そのストーリーをきちんと捉えることによって数字を正しく理解し、意味のある分析ができると学ぶことができ、そこに面白さを感じました。

子会社出向、新しいことに挑戦したい思いから一度目の転職

―子会社に出向されたことでモチベーションも上昇していますね。ここではどのようなことを経験されましたか。

福岡にある子会社に二年間出向しました。この出向は財務会計の知識・経験を得ることを目的とした人材育成の色が強いプログラムでしたが、財務会計だけでなく、これまで培ってきた管理会計を活かす場面や、経理システム導入など様々な領域に携わることが出来ました。これまでは、本体の中におり、ストーリーは想像の中でしかありませんでしたが、実際に販売の現場に入り込むことで身をもって学ぶことができたのは貴重な経験だと思っています。

―子会社での経験を通して、現在活きていることはありますか。

沢山の学びがありましたが、現在でも活きていると思うのは事業をつくるのは人だということです。経理システムの入れ替えや、管理会計を通じた効率化を行っていく中で、目的がはっきりしていて、定量的に説明できたとしても、なかなか人は動かないということを体験しました。施策を実行し、運用を担っていくのは現場の人ですが、その人たちの想いや考えを軽視したような言動をしてしまっていたのです。そのときは、社長から激怒され、目を覚ますことができたことは本当に恵まれていたなと思います。それからは、業務フローや組織を考える際には、いかに人を活かすかということを考えるようになりました。

―ここから「インプットが減り、アウトプットばかりで不安が募る」ことでモチベーションが下がっていますね。

二年間の出向を終えて、出向前と同じ部署の違う課に戻ることになりました。同じ部署ということもあり、業務内容は出向前に行っていたことと近い部分があり、また子会社で経験してきたことの延長線上にある内容だったため、新しい知識、経験のインプットがあるというよりは、これまで培ってきたことを応用してアウトプットしていく場面が多くなってきたと感じていました。アウトプットによって成果が出たり、評価をもらえたりすることは良いのですが、この働き方を続けていくよりは、もっとインプットを増やして能動的にスキルアップしたいという思いが強まり、結果としてモチベーションが低下していきました。

―「新しいことに挑戦したい」という気持ちが、その後の転職に繋がったのでしょうか。

バックボーンがない、新しい領域で、自分の力がどこまで通用するか試したいという気持ちがありました。この時は、会計や経営管理の仕事が好きになっていたので、職種は変えず、業界を変えて知見を拡げたいとも考えていたことが次の選択につながります。

みずほ銀行に入行、自由度を求め二度目の転職

―2017年、株式会社みずほ銀行(以下、みずほ銀行)に入行されていますが、今までとは環境が変わってどのような心境でしたか。

転職理由にもあるように、環境が変わったことをポジティブに捉えていました。所属こそみずほ銀行ですが、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)と共同で立ち上げたジョイントベンチャーである株式会社J.Score(以下、ジェイスコア)に出向する前提で入行しています。ジェイスコアは会社規模が30人前後だったこともあり、自分の手の届く範囲が広く、影響力が大きかったので非常にやりがいがありました。また会社設立直後ということもあり、組織もサービスも何もない状態から自分たちで作り上げていくため、やるべきことがたくさんあって、変化も激しく刺激的な局面でした。

―ジェイスコアでは具体的にどのような仕事をされていましたか。

財務経理部と経営企画部の兼任をしており、経理の仕組みを作ることから、管理会計まで携わっていました。自ら伝票を集めて仕訳を行い、銀行振込などを実行し、出来上がった試算表をベースに管理会計に数字を組み替え、予算と実績の分析をして経営会議にレポートを提出するというような一連の流れを一人で行っていました。

―この後にモチベーションが下がっていますが、「自由度が低い環境で情熱が小さくなっていく」というのはどういうことでしょうか。

自由度が低いと感じていた理由は、金融業は規制産業であるため様々なルールが厳しかったことが挙げられます。親会社であるみずほ銀行に連結するために高いクオリティが求められることや、各種業務フローにおけるルールが非常に厳しく自由度が低い環境にありました。こういった環境の中では、よりよい状態をめざして改善を重ねていくのが難しく、打ち手が限られてしまい、面白みも減少していったように思います。

―高い自由度の中で、新しい知見を得ることが兼平さんのモチベーションに繋がっているのですね。二度目の転職に不安はありましたか。

一度経験しているので、特に不安はありませんでした。一度目の転職は、子供が生まれた直後でプライベートでの環境変化も同時に起こっており、変化が激しかったことを経験していたことも大きいと思います。

ウォンテッドリーに入社、過去最高のモチベーションに

―2019年、ウォンテッドリー株式会社(以下、ウォンテッドリー)に入社されていますが、入社されたきっかけはなんでしょうか。

ウォンテッドリーから声をかけてもらったことがきっかけになります。自由な環境でゼロから業務フローや組織をつくりたいと考えていたため、未上場の企業を中心に探しており、当時既に上場していたウォンテッドリーは考えていませんでした。

しかし、実際にウォンテッドリーのメンバーと話してみると、みんな一緒に働いてみたいと思えるような面白い人たちで、また自分の考えている管理部門の設計思想とメンバーの考えが非常に近いことが分かり、自分と同じことを考えている人がいることをとても嬉しく思いました。最終的に妻の後押しもあり、ウォンテッドリーに入社することを決めました。

―ウォンテッドリーに転職されてからグラフが急上昇されていますね。転職理由の一つでもあった「自由度」が理由の一つでしょうか。

ルールが非常に厳しかった金融業からのギャップもあるかもしれません。ウォンテッドリーでは、思想や考え方で行動を規定するような組織なので、細かいルールがなく、基本的には各自が責任をもって行動を起こすことができることが魅力だと思っています。

ホンダ時代に経済危機や大規模な自然災害などの出来事に対して、企業文化が軸となり社員が一致団結して乗り越えてきた経験から、カルチャーがすごく大事だと思っています。ウォンテッドリーはカルチャーが非常に強く、浸透していることで、メンバーが活躍しています。

―ここからさらにグラフが上がって、現在は過去最高のモチベーションとなっていますね。これにはどのようなことが理由にあげられますか。

管理会計を担当するメンバークラスから、執行役員というポジションでマネジメントに携わるようになったことが理由です。責任が増えることでプレッシャーも大きくなるので大変ではありますが、意思決定の量を増やせるのはやっぱり楽しいなと思います。大企業にいたときは自分で責任が負えず、その結果意思決定をさせてもらえないという思いが強かったですが、現在は自分で意思決定をし、その責任を負うことができます。今までより深く考え、視野が広がったことを体感しているので、責任を持つことができる環境を与えてくれたことに感謝しています。

―現在、執行役員として組織をマネジメントされていますが、今後どのようなマネジメントをしようと考えていますか。

自分で組織を牽引していくというよりは、メンバーを支えていくようなマネジメントをしたいと考えています。専門性が高いメンバーが揃っているので、長所や得意領域を引き出し、アウトプットを最大化していける組織にしたいと思っています。そのためには、情報共有を丁寧に行うなど、適切な判断を行うことができるようにすることで、働きやすい状況をつくるということを重視しています。

今後のビジョン

―では、兼平さんが考えるウォンテッドリーの管理部門の強みを教えてください。

ウォンテッドリーの管理部門の人数は、上場企業としては少ないと思っていますが、少ない人数の中でしっかりと機能しているのが強みだと考えています。メンバーが高い専門性を発揮し、自律的に動いて成果を出すことができるのが良いところです。

また、行動を起こす前になぜやるのかをしっかり考えることを大事にしている点が、管理部門だけでなく企業全体の強みの一つです。マネジメントをするうえで、どの山に登るかを明確にして登り方は各自に任せるような、細かいマイクロマネジメントをしないことを心掛けています。スタート地点とゴール地点さえ定められていれば、なぜそれをやるのかといった軸がぶれることなくやっていけるので、そういった働き方が浸透している組織であることがウォンテッドリーの強みであり特徴であると捉えています。

―ウォンテッドリーの今後のビジョンを兼平さんはどのようにお考えでしょうか

会社全体で考えると、より様々な事業に取り組みたいと考えています。現在、ウォンテッドリーは採用事業に加え、従業員エンゲージメントの領域に進出しています。弊社のミッションである「シゴトでココロオドルひとをふやす」シーンをさらに作り出していくために、色々なプロダクトを増やしていくことが基本になると考えています。

管理部門としては、組織や事業が大きくなっても基本的には少ない人数で業務を回せるようにしていきたいと考えています。また、管理部門として管理するだけでなく、事業成長やお客様への価値提供を意識するようにしています。例えば、経理は数字をつくるのが仕事の1つなので直接的に事業成長に関わることはできないかもしれませんが、そこから得られる気付きをフィードバックすることで事業の成長を支えることはできると思っています。そういったマインドを維持して今後組織づくりをしたいと考えています。

―企業をマネジメントする中で、意識していることなどはありますか。

情報共有を適切に行うことは意識していますね。これはウォンテッドリーのオープンかつフラットな文化のひとつでもあります。自部門の情報にしか触れないとそれしか考えなくて良いという思考になってしまい、なおかつ、他部門の情報に興味を持っていても能動的に収集しに行くのはハードルが高く感じると思います。情報に触れる機会を提供することで、社員全体に積極的にプロダクトに興味を持ってもらうことがマネージャーの仕事だと考えています。

―今後、ウォンテッドリーの管理部門にどのような人材を求めますか。

「なんでもやってみよう」と考えられる人が良いと考えています。例えば、経理は専門性が高い領域ですが、経理だけやっていれば良いとはならない状況が多く、また、経理という領域を飛び越えて貢献する意識が高い成果を出すためには必要だと思っています。また、管理部門は保守的になることが多いかもしれませんが、現状維持をよしとせず、リスクを把握し適切にコントロールしたいと考えています。

―最後に、CFOを目指すHUPRO MAGAZINE読者に一言お願いします。

CFOの役割は、ファイナンスを中心とした専門性を発揮しながら企業価値を向上していくことだと思います。管理に留まらず、専門性を発揮し、経営に携わりたいと考えている方にはやりがいのあるポジションだと思っています。

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

今回お話をお聞かせ頂いたウォンテッドリー株式会社のHPはこちら!
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この記事を書いたライター

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