企業会計の貸借対照表において、長期間にわたって保有する資産を固定資産といいます。
固定資産は有形固定資産と無形固定資産といった種類に分類され、それぞれについて減価償却の認識など正しく会計処理を行う必要があります。
今回は有形固定資産と無形固定資産の違いについて解説していきます。
固定資産とは、貸借対照表に表示される資産のうち長期間保有する資産を指します。
固定資産には有形固定資産と無形固定資産などの分類がされており、それぞれにおいて区分されて貸借対照表上に表示されます。
固定資産とは、会社が長期間にわたって保有する資産、あるいは1年を超えて現金化・費用化される資産のことを指します。
資産のうち、通常の営業取引における過程で発生した資産は流動資産として分類されますが(正常営業循環基準)、1年以上継続的に保有される資産が固定資産として定義されます。
流動資産は現金に換金しやすいことに比べ、固定資産は換金が難しいことも特徴の1つです。
有形固定資産と無形固定資産の違いは、その名の通り「形が有るか無いか」ということです。
有形固定資産は建物など、形として残るものです。
一方で、無形固定資産は営業権のように形としては表現できないものです。
いずれの場合であっても、適切に管理して適切な会計処理を行わなければなりません。
固定資産は「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」という3つの分類に分けられます。
・有形固定資産
・無形固定資産
・投資その他の資産
「有形固定資産」とは、その名の通り形の有る資産のこと。代表例として、土地や建物、機械装置など。
「無形固定資産」とは、形の無い資産のこと。代表例として、営業権(のれん)や特許権、ソフトウェアなど。
「投資その他の資産」とは、企業が長期保有目的で保有する有価証券や債券などを指します。
有形固定資産は、形があり、目に見える資産を指します。
土地や建物などは企業の所有物であるため、企業の資産として認められるのです。
有形固定資産の資産価値を測定する際、資産の取得にかかった費用を資産価値とする「原価主義」が一般的です。
無形固定資産は、形がなく、目に見えない資産を指します。
無形固定資産は経済的な収益力や法律によって特別に認められた権利などが挙げられます。
目に見える形で残る資産ではないものの、企業に経済的な収益として還元されることが特徴です。
無形固定資産の資産価値を測定する場合においても、原価主義が採用されるのが一般的です。
投資その他の資産は、投資目的で保有する有価証券や長期貸付金など、固定資産のうち有形固定資産にも無形固定資産にも分類されない資産のことです。
固定資産は取得時に一括費用処理せずに、減価償却という形で期間按分するのが一般的です。
これは、費用収益対応の原則により、固定資産を使用する期間に応じて費用認識する必要があるためです。
固定資産は長期に亘って使用するため、減価償却費の取り扱いに注意する必要があります。
減価償却とは、固定資産を耐用年数などの指標によって期間按分して費用計上する会計処理のことです。
有形固定資産であっても、無形固定資産であっても、償却性資産であれば価値の減少を測定し、減価償却をすることが求められます。
非減価償却資産とは、減価償却の対象とならない固定資産のことです。
代表例として、土地や借地権などが挙げられます。
時の経過や使用によって価値が目減りしないため、減価償却をする必要がありません。
また、建設中の建物などは未完成の部分については非減価償却資産となります。
少額減価償却資産の特例とは、中小企業等に認められている制度です。
取得価額が30万円未満である減価償却資産(少額減価償却資産)を取得した場合に取得価額に相当する金額を一括して損金と扱えます。
通常、減価償却資産として当期に損金として扱えない金額を損金算入できるため、節税対策として有効です。
固定資産の価値(収益性など)が著しく減少している場合、帳簿価額を回収可能額まで減額する「減損会計」がされる場合があります。
減損をするかどうかの判定は、減損の兆候を判定し、減損損失の認識を判定します。
有形固定資産の場合でも無形固定資産の場合でも減損会計の対象となり、固定資産の価値について減損を判定する必要があります。
有形固定資産と無形固定資産の違いや、固定資産の会計処理における注意点について見ていきました。
有形固定資産は形のある資産ですが、無形固定資産は形のない資産といった違いがあります。
いずれの場合でも、長期間にわたって企業が保有する資産であり、正しく管理する必要があります。
固定資産は減価償却や減損など、費用の計上をしっかりと把握していなければなりません。
固定資産の取り扱いを押さえておき、正しく会計処理をしていきましょう。