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シリーズAで総額8.4億円の資金調達を実施!総合商社時代に培った幅広いビジネススキルを武器に業界新時代の先駆者を目指す 株式会社Seibii 代表取締役CEO 佐川 悠 氏のキャリアとビジョン

HUPRO 編集部
シリーズAで総額8.4億円の資金調達を実施!総合商社時代に培った幅広いビジネススキルを武器に業界新時代の先駆者を目指す 株式会社Seibii 代表取締役CEO 佐川 悠 氏のキャリアとビジョン

グローバルな仕事を求めて総合商社で約10年勤務し、現在は自動車の整備・修理出張サービスSeibii(セイビー)を展開する株式会社Seibii を立ち上げ、代表取締役CEOとして活躍する 佐川 悠 氏。今回は佐川氏の起業における資金調達の際に重視したことや求める人材、今後のビジョンなどについてHUPRO編集部が詳しくお話を伺いました。

【佐川悠氏のキャリアグラフ】

佐川悠氏キャリアグラフ

グローバルに活躍できるビジネスパーソンを目指し入社した総合商社マン時代

—キャリアのスタートとして、総合商社を選ばれたのはなぜですか?

学生時代は自分で起業して事業を作っていくことへの関心があり、さらにはグローバルに活躍できるビジネスパーソンになりたいというイメージを持っていました。商社ならばグローバルに仕事ができるだろうし、事業ドメインに縛られることなく若いうちから裁量を持って大きな事業を作れるのではと考え、就職活動は基本的には総合商社に絞って活動していました。

—実際に総合商社で働いてみて感じたことは?

10年ほど三井物産で働いていた間は思っていた通りに仕事ができましたし、希望したようにキャリアを培うことができたと思います。ただ、そうは言っても大企業の中で異動は避けられませんし、事業を作ってはいても自分自身の力でやるのとはまた違う差分が大きくあるのだろうなと感じていました。一定の会社の看板の力もありますし、事業が上手くいく・いかないに関わらず給料は貰える、といったところに違和感、物足りなさを感じたというのはあります。

キャリアグラフ1

私は最初に配属された部署に5年くらい在籍していました。
社会人1年目では仕事をまだよくわかっておらず、2年目くらいで少しはできるようになって、3年目からはほぼ1人で出来るようになりました。商社は本当にあらゆることを手がけていて、各部署ごとに事業の内容が全く違うんです。部署内でも私が当時扱っていた商材に関しては、最早私が一番詳しいというような状況でした。自分の裁量や判断でビジネスができるようになった時期はとても楽しかったのですが、4年目5年目となってくると、同じことの繰り返しに飽きてきてしまっていて、もっと自分で色々やりたいと思った時に、「本当にこのまま会社にいていいのかな」と思い始めて、モチベーションが下がった時期もありました。

-当時、仕事へのモチベーションを保つための目標などはありましたか?

基本的に同期はモチベーションが非常に高い集団だったので、「モチベーション上げなきゃ」と悩んだことはありません。むしろ、憧れて入った会社でがむしゃらに働きたい、早く海外で仕事をしたい、というマインドでしたね。

実は、商社に就職する人材を表す際によく言われるのですが、商社には特定のやりたいことがない人が集まると言われています。「これがやりたいっていう特定の領域はないけれど、何かデッカイことがやりたい」とか。私自身もそうです。海外に行きたいとか、アフリカで仕事がしたいとか…でも実は「こういうサービスをやりたい」という具体策はなかったんです。

-商社勤務の10年間で何を学んだと思われますか?

総合商社の営業のいいところは、世の中の一般的な営業職とは違って個人商店のような要素が強いところです。契約書を作ったり、財務知識が必要な投資といった話も営業部が主体となって行いますし、コンサルティングのプランを作成、接待、契約のリーガルチェック、海外との交渉…と、ビジネススキルとして様々なことを広く学べました。

マインドという意味でもストレス耐性はかなりついたのではないかと思います。
あとは、商社はとにかく部署や関わる地域・国がどんどん変わったりするので常にリセットして新しいことをキャッチアップしなくてはいけません。“常に新しいことを学ぶ姿勢”というのは自然に身についたのではないかと思います。

-商社勤務時代の強烈な経験などはありますか?

商社時代にはいわゆる“創業者社長”といった方達との接点があったのですが、そういう方達と自分との間に歴然たるビジネスパーソンとしての差というものを感じていました。具体的には肝の座り方、賭けているものの差というか…やはりかっこいいな、敵わないなと思いましたね。会社員時代はその交渉で成功しようが失敗しようが、自分の給料は変わりません。でも相手にとっては違う。社運を背負っていたり、もちろん自分だけでなく社員もいるでしょうし、背負っている覚悟が全く違うんですよね。交渉時の迫力も違います。
そういう経験がボディーブロー的に積み重なって今があると言えるかもしれません。

「今やらないと一生やらない」ゼロから事業を作りたいと起業の道へ

-起業したいと考えられたのはどのようなタイミングでしたか?

「起業したい」という思いは入社当時からオプションとしてありました。
商社に入って、自分で事業を作るという経験はできましたが、本当の意味でゼロから事業を立ち上げようと思うと、やはり会社に在籍したままでは出来ないことだったので、我慢できずに飛び出した…という感じです。会社での仕事自体へのモチベーションは高かったのですが、人生のキャリアを考えた時に「今やらないと一生やらない。このまま商社勤めで人生を終えたら絶対に後悔する」ということだけは確実にわかっていたので、会社を辞める決意をしました。

―起業のビジネスモデルのアイデアというのはどこから生まれたのでしょうか?

まず、自分の社会人経験が生きる領域がいいと思い、商社時代に仕事をしていた現在の事業の領域で考えました。この領域に関する土地勘もあったし、業界構造や課題もなんとなく理解していたのでそこにチャンスがあることもわかったという感じです。
当然、会社を辞める前からビジネスモデルの計画をして「これはいけるだろう」と始めてみると…全く計画通りにはいきませんでした。

キャリアグラフ2

起業当時は、自動車解体業向けのソフトウェアサービス+越境EC的なことをやろうと思っていたんです。そこから現在の自動車の整備事業に変えたのは、再度市場全体を俯瞰して、顧客単位や課題、ニーズが明確な所に目を向けようと、市場の情報を改めてデスクトップサーチをして、仮説を持ってヒアリングをかけていくと、今のビジネスモデルだといけそうだと気がつきました。そこで、簡単なWEBサイトを作ってテストをしてみると、割と早期に売り上げが立ったんです。ここで最初に考えていたビジネスモデルとの違いを感じました。

―起業するとなると大企業の会社員という立場とは異なり当然リスクも背負うことになると思いますが、そこに心理的な壁などはありましたか?

不安が全くなかったと言うと嘘にはなりますが、仮に上手くいかなかったとして死ぬかと言われても死なないし、再就職するにしてもどこかはあるだろうと思っていたんです。そういった意味では経済的な不安はそんなに持っていなかったです。
起業が取り返しのつかない選択ではないと思っていました。

資金調達において投資家は「応援団」のような存在であってほしい

-起業資金はどのようなプロセスで調達されたのですか?

起業当初は個人資金を切り崩してという形でした。
その後、初めて資金調達を行なったのは、サービスをリリースして割とすぐにトラクションが立ったことで、赤字を許容しながらソフトウェア開発などを先行させて一気に急成長させたいという、いわゆるスタートアップ的な戦い方をしたいと考えました。そうすると個人資金だけではエンジニアを採用するといった人材補強などはとても出来なかったので、資金調達をしようと考えたのです。

当然ですがプロセスは投資してもらうフェーズ・金額・相手によって全く違っていて、弊社に関して言えば過去3回エクイティ(株式資本)での資金調達と一度だけ借入を行っており、計4回のタイミングがありました。今年2021年6月に行った第三者割当による資金調達では総額8.4億円を実施しましたが、初回の投資は数百万円レベルの世界です。事業計画も私としては自信がありましたが、投資家にしてみれば結果なんてまだ未知数なので、どちらかというと“人に賭ける”というところが強かったと思います。エンジェルラウンド・シードラウンドという段階ですね。なので、当時はエンジェル投資家と呼ばれる個人投資家の方達にアプローチをかけて「私はこういう者です、こういうことをしているので投資してください」と話をしました。1回目の資金調達に関しては、ほぼ全員の方が即断即決して下さいました。

その次のフェーズでは政策金融公庫からの借り入れを行いました。
借入先として政策金融公庫を選択したのには明確な理由があって、エキュリティファイナンス(株式を売る)というのは体の一部を削るという事なので、やるならば大きな額をやらないと意味が無いと思っていました。当時はエンジェルラウンドをしたばかりで資金に困っていたわけではないのですが、次の資金調達はもっと大きくやりたいと考えた時に、その間の資金としてなるべく借り入れで賄えるのであれば株式を放出する理由はない、と思ったのです。そこで公庫に話を持って行くと、私たちのビジネスがわかりやすいビジネスモデルだったことに加えて売り上げも伸びていたので、創業半年ほどの当時としては十分な資金(約2000万円)を借り入れることができました。その資金があったので、次の株式を使った資金調達までの枠に余裕ができ、落ち着いて頑張れたというところはありますね。

-数多くのベンチャーキャピタルの中から決め手となったのは?

その次のラウンドでVC(ベンチャーキャピタル)をメインに資金調達をしているのですが、選ぶ際にはとにかくあらゆるVCに会いに行きました。額としては2億円以上と大きな金額でもありますし、投資を受けた後に株主との関係に悩むというようなことは避けたいですよね。弊社はまだまだこれからで、今は事業に集中したいというフェーズでもあったので、相性を含めて、投資家ではあるけれど“応援団”に近い立ち位置で関わってくれるようなところがいいと思って探しました。

-資金調達の一番の難しさはどこにあると思いますか?

株主との相性というのももちろんあります。
ただ、相性だけではなく、株式には限りがあるものなので慎重かつなるべく大きくラウンドを作りたいものです。自分たちに対する信用があればあるほど条件は良くなるはずなので、そこを含めて様々な株主と会っていくうちに、何社か良いVCが見つかると思います。そこから選ぶのがなかなか難しいと思いますが、弊社の場合は応援団と言うものの、実際にどんな形で貢献をしてくれるのか、また株主間のサポートも気にしていました。

あとは担当者が変わらないというのも重要だと思います。
いわゆる企業系のVCだと担当者がぐるぐると変わることもあるので、なるべくパートナーと直接話ができるか、近い距離で上場までやれる相手か、ということを大事にしていました。

キャリアグラフ3

―現在も資金調達は佐川さんが行っていますが、今後はその業務をCFOを入れて…というような展望は考えられていますか?

今すぐにというわけではありませんが、私もファイナンスのプロではないですし、次のラウンドに挑む際はより一層難易度が上がるというか、ファイナンスの知識もさらに必要になってくると感じているので、ファイナンスに強い人材に入って欲しいと思っています。

―実際のところ、CFOにはどんな人を求めていますか?

ファイナンスの専門性はもちろんですが、弊社のようなスタートアップでアーリーフェーズの会社には課題が山のようにあります。なので、CFOとはいえ内部のことしかやらない人は求めておらず、チームを作っていくところから、事業や売り上げに関して一緒にアイデアを出してくれたり援護射撃をしてくれるような、垣根や自分の領域に拘らない人を求めています。とにかく会社を良くしよう、強くしようということにコミットできる人材、それに尽きます。

―経営者目線での御社の魅力とは?

まず、1つ目は戦っている市場が大きいということです。
2つ目はデジタル化をバックボーンに業界が変わっていくのはある種必然なんですが、その割にはそれに取り組んでいるプレイヤーがいないので、先駆者になれます。
3つ目は社会インフラに近い事業なので流行り廃りのあるビジネスではないということです。どちらかといえば、日々のスタンダードになっていくサービスであるというところが魅力かと思います。

今後のビジョン

-佐川さんが5年後、10年後に思い描くビジョンはありますか?

個人のキャリアとしては、会社の代表として大きい事業を作っていく立場でありたいと思います。会社としては、大きく上場していきたいというのが、まず一つ。あとは中長期的には海外展開もしていきたいというところですね。もちろん上場が目的ではないですが、大きな事業をするには資金調達もやはり重要なので、会社の成長の手段の一つとして上場はきっちりと通過していきたいと思います。

-読者へのメッセージをお願いいたします。

コーポレート業務を中心としながらも、事業づくりと会社づくりを一緒にやっていける人材がいれば、ぜひお話ししたいです。チームで難しいこと、大きいことを成し遂げたいという意志がある方をお待ちしています。

今回お話を伺った佐川悠氏が代表取締役CEOを務める株式会社Seibiiのホームページはこちら

この記事を書いたライター

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