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税理士になるにはどうすればいい?様々なケースや税理士試験について解説!

HUPRO 編集部
税理士になるにはどうすればいい?様々なケースや税理士試験について解説!

税理士になるにはどうしたらいいの?っといった疑問は税理士を目指す時に誰もが抱く疑問です。税理士を目指す人の中でも、働きながら目指す人、主婦の人など人によってケースは様々です。

この記事では、これから税理士を目指す人のために、税理士のなり方や様々なケースにおける税理士への最短ルートを紹介します。 また税理士を目指す上での疑問についてもお答えします。税理士を目指している方は是非ご覧ください!

税理士になる方法は?

税理士になる方法は、大きく分けると以下の3つです。

・税理士試験合格と2年以上の実務経験
・公認会計士か税理士の資格を取得する
・税務署で23年以上の実務経験を積む

参考:税理士の資格取得|日本税理士会連合会

この中では、税理士試験に合格し、実務経験を積むことで税理士を目指すケースが一般的です。すでに公認会計士か弁護士の資格を取得している場合は、税理士試験に合格していなくても税理士として働くことができます。

また、税務署で23年以上働いている場合も、税理士試験を受けずに税理士として働くことが可能です。税務署で定年まで働いた後、定年後に税理士事務所を独立開業するケースもあります。

税理士になるには

税理士試験を受けて税理士になるには

税理士試験に合格し、会計事務所や税理士事務所などで所定の業務の実務経験を2年以上積むことで、税理士になる資格が得られます。税理士試験を受けるためには一定の受験資格を満たしている必要があり、11科目の中から5科目を選択し合格することで、税理士試験に合格できます。

税理士試験の特徴と受験資格、試験合格後の実務経験についてご紹介します。

税理士試験の特徴

税理士試験は、公認会計士試験や司法試験などとは違い、出題科目をすべて受験する必要はありません。11科目の中から5科目を選択し、それぞれの科目ごとに合否が決定されます。つまり、税理士試験に合格して税理士になるには、5科目の合格だけで良いということになります。

税理士試験の試験科目は以下の11科目です。

◆会計学に属する科目
・簿記論
・財務諸表論

◆税法に属する科目
・所得税法
・法人税法
※所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択

・相続税法
・消費税法
・酒税法
・国税徴収法
・住民税
・事業税
・固定資産税

これらの中から5科目を選択するのですが、その選び方にはいくつか条件があります。まず、会計学に属する簿記論と財務諸表論は必須科目として扱われるので、すべての受験生が受験しなければいけません。

次に、税法に属する科目のうち、所得税法と法人税法は選択必修科目として扱われるので、どちらか1科目は受験しなければいけません(もちろん、2科目とも受験して差支えありません)。そして、残りの1科目ないし2科目を、相続税以下の7科目の選択科目の中から選択します。

税理士試験についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください、
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税理士試験の受験資格

これから税理士試験を目指すという人は、税理士試験の受験資格に注意が必要です。というのも、税理士になるには税理士試験を受験しなければいけませんが、税理士試験を受験するためには一定の資格要件を満たさなければいけないからです。

そこで、以下では、税理士試験を受験するための受験資格について説明します。ご自身がどの資格要件を充たせそうか、しっかり確認しておきましょう。
税理士試験の受験資格は、以下の4つの要件のいずれかを満たすことによって得られます。

【学識による受験資格】
・大卒or短大卒or高専卒で法律学or経済学を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上取得した者
・一定の専修学校の専門課程修了者で、法律学or経済学を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者

【資格による受験資格】
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者

【職歴による受験資格】 
・法人又は事業を行う個人の会計に関する事務(複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務等)2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士、弁護士、公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

【認定による受験資格】
・国税審議会の個別認定を受けた者

税理士の受験資格についてはこちらのコラムでも詳しく紹介しているのでご一読ください。
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税理士になるには実務経験が必須

税理士になるには税理士試験に合格するだけでは不十分です。税理士試験への合格と以下のような一定の実務経験を2年以上経てはじめて税理士登録が出来るという仕組みが採用されています。

・税務官公署での事務や、その他の官公署や会社などでの税務事務 ・貸借対照表勘定と損益勘定を利用し、会計についての計算などを行う会計事務
・仕訳帳等から各勘定への転記事務
・元帳を整理し、日計表または月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
・決算手続に関する事務
・財務諸表の作成に関する事務
・帳簿組織を立案し、原始記録(売上伝票やレジペーパーなど)と帳簿記入の事項を照合点検する事務

ここで重要なことは、これらの実務経験は税理士試験に合格する前のものでも役立つということです。つまり、税理士試験に合格してから2年の実務経験を経るのではなく、税理士試験にチャレンジする期間内に、実務経験を2年分こなしてしまえば良いということになります。

税理士になるためのQ&A

高卒の人が税理士になるには?

高卒の人が税理士になるには、どのような資格要件を充たす必要があるのでしょうか?

まず、高卒である以上、【学歴による受験資格】を得ることはできません。学歴による受験資格は、大学などにおいて専門性の高い授業の単位を取得していることが条件とされています。

そこで、高卒の人が税理士になるためには、【資格による受験資格】【職歴による受験資格】のいずれかの要件を満たす必要があります。【認定による受験資格】も理屈上は考えられますが、個別事情によって左右される不確実なものなので、可能な限り前2社の方法で受験資格を得るようにしましょう。

例えば、高卒であったとしても、日商簿記1級などの難関資格を取得しておけば税理士試験を受験することができます。また、高卒後、一般企業に入社し、【職歴による受験資格】に該当するような業務に2年以上携わっていれば税理士試験を受験できます。

「高卒だから税理士試験は無理」「大卒の人ばかりの中で合格できるか不安」という人も、まったく不安になる必要はないのでご安心ください。

高卒で税理士になるための方法とその後のキャリアプランについては、こちらの記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください!

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法学部や経済学部出身ではない人が税理士になるには?

よくある勘違いとして、税理士試験を受験するには法学部や経済学部の出身でなければいけないというものがあります。しかし、税理士試験の受験資格には、出身学部による制限は一切ありません。大学在学中に、法律系の単位か経済学系の単位を取得しておけばよいだけなので、所属学部は問われません。

ちなみに、年齢や国籍による制限もありません。税理士試験における受験資格の制限は、あくまでも税理士という専門性の高い職業における一定の能力水準を維持する目的で用意されているに過ぎないのです。

社会人が働きながら税理士になるには?

社会人でも働きながら税理士になることは可能です。税理士試験の受験資格を満たした後に、税理士試験合格を目指す形になります。ただし、働きながら税理士試験合格を目指す人にとって最大の問題点は勉強時間の確保になってきます。

働きながら合格するための方法については以下の記事で詳しく解説しています。

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主婦が税理士になるには?

主婦が税理士を目指す場合に大変なことは、家事・育児と税理士試験の勉強の両立、実務経験の確保です。短期間で合格を目指すのではなく、数年かけて科目合格を目指すと良いでしょう。

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税理士になるのに年齢制限はある?

税理士には年齢制限はなく、年齢にかかわらず税理士になれます。ただし、税理士試験に合格しても、2年以上の実務経験が必要です。税務署で定年まで働き、定年後に税理士になった人もたくさんいます。

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税理士になるために費用はどのくらい?

税理士となるためには、大手の予備校に行くなど、専門学校に通って勉強するのが最も効率的で、短期間での合格が可能となります。5年間でおよそ100万円程度、1年ではおよそ20万円程度の費用が必要です。

各種専門学校・専門予備校に通わずに、独学で税理士試験の突破を目指す場合、費用は5科目に合格できるまでおよそ50万円程度で済みます。

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税理士になるには

最短で税理士になるには?おすすめの受験科目と勉強法を紹介

では、これから税理士を目指そうという人が最短で税理士になるにはどのような方法を選択すれば良いのでしょうか?

最短で税理士になるにはどの受験科目がおすすめ?

税理士になるには、全11科目の中から5科目を受験しなければいけません。ただ、先程説明したように、ある程度自由に試験科目を選択できることから、最短合格を目指す場合には、科目選択の戦術も重要となります。

参考までに、令和元年度及び平成30年度の税理士試験の科目ごとの合格率を紹介します。
参照:令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)

・簿記論(令和元年度合格率)17.4%(平成30年度合格率)14.8%
・財務諸表論(令和元年度合格率)18.9%(平成30年度合格率)13.4%
・所得税法(令和元年度合格率)12.8%(平成30年度合格率)12.3%
・法人税法(令和元年度合格率)14.7%(平成30年度合格率)11.6%
・相続税法(令和元年度合格率)11.7%(平成30年度合格率)11.8%
・消費税法(令和元年度合格率)11.9%(平成30年度合格率)10.6%
・酒税法(令和元年度合格率)12.4%(平成30年度合格率)12.8%
・国税徴収法(令和元年度合格率)12.7%(平成30年度合格率)10.7%
・住民税(令和元年度合格率)19.0%(平成30年度合格率)13.5%
・事業税(令和元年度合格率)14.8%(平成30年度合格率)11.0%
・固定資産税(令和元年度合格率)13.7%(平成30年度合格率)14.9%

ご覧頂ければ明らかなように、科目ごとに合格率にバラつきがあります。もちろん、受験生のレベルや試験内容の難易度差もバラバラなので一概には言えませんが、単純な合格率だけを指標としてある程度合格しやすい科目を選択するのは一つの方法です。

税理士になるには、5科目の合格が必須です。そのため、各科目の合格率に注目して、比較的合格率が高い科目を選択するのは賢い方法ではあります。

一方で、同じように考える受験生が少なくないことから、必然的にライバルが増えるというデメリットがあります。また、税理士に合格したあとのキャリアに一切必要のない科目に合格しても転職やキャリア形成の中で有利には働かないリスクもあるでしょう。

したがって、ある程度科目ごとの合格率は考慮したうえで、合格後のキャリア設計を見据えた選択科目の選び方をするのがおすすめです。

最短で税理士になるにはどんな勉強法がおすすめ?

税理士になるには、独学で試験にチャレンジするか資格スクールなどの予備校を利用する方法の2つの勉強法からいずれかを選択する必要があります。

独学で税理士試験に挑戦するなら、費用を抑えながら自分で勉強スケジュールを柔軟に立てられるというメリットがあります。ただし、最新の税制に関する情報が入ってこなかったり、自分でモチベーションを上げ続けなければいけないというデメリットがあります。

資格スクールになどの予備校に通う場合には、授業のカリキュラムに沿って勉強すればある程度の合格までの道筋を知りやすいという点が挙げられます。同じように税理士試験を目指すライバルと競争できるので、モチベーションも維持しやすいでしょう。ただ、予備校代に数十万円の費用がかかったり、仕事と並行しながら資格スクールに通う労力が負担になるリスクがあります。

ご自身の現在の環境の中で、最適な方法を選択しましょう。

税理士試験の勉強時間などについて下記の記事でも解説しています。ぜひご参照ください。
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科目合格制を利用して働きながら税理士合格を目指そう!

「どうせ税理士になるのなら、一度の試験で5科目すべてに合格してやろう」という意気込みは素晴らしいですが、実際に一度に5科目すべてに合格する人はほとんどいません。数年に1人出るかどうかという状況です。

つまり、現実的に最短合格を目指すのであれば、着実に毎年合格を重ねながら、2~3年で5科目の合格を目指すのが適切と考えられます。実務経験をこなしながら企業における会計や経理・財務の流れを知り、それと並行して税理士試験の勉強をしましょう。

このように、働きながら税理士の最終合格を目指せる科目合格制が用意されているのですから、これを利用しない手はありません。

まとめ

税理士になるには、以上のように税理士試験及び実務経験をクリアしなければいけません。ただ、闇雲に試験に挑戦するのではなく、いろいろなデータに基づいて正しい戦略を立てることができれば、最短での合格を目指すのは決して難しくはありません

現在、税理士は税務の専門職としての活躍だけではなく、企業の中で経理部門や財務部門の要職として働いたり、ベンチャー企業において税務コンサル業務を担当したりするように、働き方に多様性が生まれている仕事でもあります。

ご自身のキャリアプランを実現するには最適の資格ですし、誰しもが合格を手にできるものでもあります。ぜひ今後のキャリアのためにお役立てください!

この記事を書いたライター

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