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自分自身の心が燃え、やりがいを感じているかどうか、楽しさを感じているかどうかを大事にしたい 大島会計事務所 代表税理士 大島 悠臣氏のキャリア遍歴

HUPRO 編集部
自分自身の心が燃え、やりがいを感じているかどうか、楽しさを感じているかどうかを大事にしたい 大島会計事務所 代表税理士 大島 悠臣氏のキャリア遍歴

高校生の頃から経営やお金に興味を持ち始め、公認会計士という資格に出会う。その後監査法人や税理士法人でキャリアを形成し、2021年に独立開業。CPA学院で非常勤として公認会計士のキャリア支援にも従事する大島氏のこれまでと、これからについてHUPRO編集部がお話をお伺いしました。

2014年 公認会計士論文式試験合格
2015年 早稲田大学教育学部卒業
2015年 有限責任あずさ監査法人入社
2019年 税理士法人(不動産投資税務専門)入社
2021年 独立開業

父の影響を受け、資格取得の重要性に気づいた高校生時代

ー公認会計士を目指したきっかけは何でしょうか?
高校生のときに、将来何をやりたいか?と考えた際に、経営者やお金の動きに興味があったことから、大学では経営学部や商学部に行きたいと思っていました。

また、父がとある裁判に関わる資格を保有し、仕事をしていたことから、資格を持って何か自分の強みとなるものを得る重要性を当時から感じていました。そんな時に、経営学部や商学部の方が挑戦する資格に公認会計士というものがあることを知り、公認会計士を目指してみたいと思うようになりました。
さらに、当時大学受験の為に通っていた予備校のチューターの方が、公認会計士という資格について詳しく教えてくれたことも大きかったと思います。

ーお父様は裁判に関わる資格を持っていらしたとのことですが、同じ道ではなく公認会計士を目指したのはなぜですか?

昔から父と逆のことをする性格でした。父がやっていた野球をやれと言われたにも関わらずサッカーを習い始めたくらいなので(笑)。
進学の際も、父は法学部を勧めてきましたが、法律よりお金に関わる仕事がしたいと伝え、商学部を目指しました。父の影響を受け、資格を得ることの大切さを学び、公認会計士という資格に出会えたことには感謝しています。

大学とCPA会計学院のダブルスクールが始まる

ー大学入学後はどんな学生生活を送られていましたか?
大学受験では浪人をして第一志望の早稲田大学の商学部を目指していたのですが、合格することができず、早稲田大学の教育学部に入学しました。入学後は商学部に行くことができなかったという釈然としない思いを持ち、さらにせっかく苦労して入学した大学での授業が自分にとって面白くないと感じていました。このままでは4年間、ただ遊んで終わってしまう、何も得ることができないまま卒業してしまうと感じ、以前から目指していた公認会計士の資格を取ろうと考え、CPA会計学院に入学しました。もし大学受験で第一志望に合格していたら、燃え尽きて大学生活は遊びまくっていたかもしれないので、むしろ合格しなくて良かったと思っています(笑)。

ー大学と専門学校を両立する生活が始まったのですね。
大学1年の5月からCPA会計学院に入り、勉強をスタートしたのですが、サークル、バイトとの両立に苦戦し、勉強が疎かになっていました。

大学1年の9月に、会計士という資格を取ることによるメリットが明確に見えていなかったこと、2年後の合格では目標が遠すぎてモチベーションの保持ができなかったことから、父へ相談し、「受講料はバイト代で返すから、会計士の勉強はやめて簿記一級に切り替えたい。」と伝えました。そのときに父からかなり怒られて、「自分でやると決めた資格勉強をここでやめたら、一生途中で投げ出す癖がつく。もうちょっと頑張ってみてから決めなさい。」と言われ、勉強を続けてみる決意をしました。今振り返ると、父のこの言葉がなかったら今の自分はいないと思いますし、当時諦めなかったことは今でも自信へと繋がっています。人生における成功体験の一つとなり、途中で投げ出さず最後までやり切る力が身についたと感じています。

しかし、その後も勉強とサークル、バイトの両立がなかなか上手くいかずに大学1年の12月になっていました。CPAの講師の方からも何回かお𠮟りを受けていて、勉強仲間を作った方がいいと言われ、同じコースのCPA生との飲み会に参加しました。勉強仲間ができたことで、その後は離脱することなく、勉強を続けることができたので、あのときに私を見捨てないでくれた講師の方には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。同じ目標を持つ仲間を作ることはとても大事だと感じています。

一緒に頑張る仲間ができてからはあまり辛いと感じることはありませんでした。しかし、大学4年生の時に受けた論文式試験の前2ヶ月間は疲労とストレスがピークに達したのか、吐き気や気持ち悪さに襲われました。病院を受診し、薬を服用してなんとか乗り越えました。また、試験当日は腹痛に襲われ、論文式試験3日間、何度もトイレに駆け込みました。人生がかかっていると思い、かなりのストレスがかかっていたんだと思います。よく合格できたなと思います(笑)。

勉強方法で言うと、モチベーションの維持が大切だと思います。実際に私は日曜日の午後4時から8時までは自由時間とし、きちんとメリハリをつけていました。直前期は流石に勉強漬けでしたが、そうでない時はオンとオフをしっかりつけて勉強をしていました。

公認会計士試験合格後は監査法人へ入社

ー公認会計士試験合格後のキャリアについて教えてください。
会計士になったからには独占業務である監査を学びたいと思っていて、有限責任あずさ監査法人へ入社しました。当時、明確に「将来はこれがやりたい!」というものがなかったのと、今監査を経験しなかったら、いつか「あのとき監査を経験しておけばよかった」と思うのが嫌だったので、監査法人に入ることを決めました。
元々人に何かを教えることが好きなので、指導的機能の比率が高いIPO支援業務に携わってみたいと思い、IPO事業部を志望し、監査法人では上場企業の財務諸表監査やIPO支援業務、リクルートプロジェクトに従事していました。

ー監査法人の経験から今に活きていることはありますか?
本当にたくさんありますね。社会人の基礎を学べたこと、偉大な先輩方から学ばせてもらったこと、先輩、後輩、同期、クライアントも含めたくさんの方々との出会い、興味あることをたくさん経験させてくれたこと、リクルート業務に携わることができたことなど、本当にたくさんのことを学ぶことができ、今に活きていると感じます。

今私は税理士として業務を行っておりますので、監査の知識が直接活きているわけではないのですが、監査で得た問題解決能力や提案力などは活きていると思います。

また、新卒で入社したので何から何まで教えていただき、社会人としてのマナーやITスキル、タスクの管理方法など、「社会人としての働く上での基礎」を学べたと思います。
そして、リクルートプロジェクトでリクルーターリーダーも担いましたので、プロジェクトマネジメントスキルやコミュニケーションスキル、ファシリテーションスキル(目的共有、全体俯瞰、情報整理、意見方針のまとめ)を培うことができました。
今、税務業務やCPAでの業務で、監査法人での経験すべてが活きていると思います。

ーその後、転職されたんですね。
独立を見据え、不動産投資税務を専門としている税理士法人に転職しました。そこには2年勤めました。
不動産投資家のお客様の税務を担当しながら、経営企画部マネージャーとして、法人の経営(人事、採用)、プロジェクト管理、ITツール導入などをしていました。

心が燃えて、やりがい、楽しさを感じる仕事がしたい

ー現在のお仕事の役割や仕事内容について教えてください。
事務所経営に関わることすべて1人で行っています。集客、提携業社への営業、お客様質問対応、仕訳入力、申告書作成、契約書・請求書送付、資料返送などすべてやっています。
集客に関してはこれまで全くやったことがなかったので、とても苦労しています。まだ明確な方法は見つかっていませんが、失敗を繰り返しつつ徐々に自分のものにしていければいいなと思っています。

また、CPA会計学院でも非常勤で業務を行っていて、主にCPASS(公認会計士の生涯支援)に従事しております。公認会計士のロールモデルとなるような方のインタビュー記事の作成やキャリアイベントの開催、公認会計士にとって有用な専門知識やソフトスキルの記事を作成しております。公認会計士の方々が、やりがいがあって個性や能力を活かした業務に携わることや、公認会計士のネットワークを広げ、様々なシナジーを生み出すことによって、皆様自身が幸福になり、それが社会の活性化に繋がり、ひいては公認会計士という資格の価値向上になると信じておりまして、そのような世界に向けて必要なことを考えて、様々なプロジェクトを走らせているイメージです。

監査法人に勤務している方の中には、自分がどういう場所で活躍できるか分からないから今いる安定した場所で働き続けているという方もいるのではないかと思っています。そういう方々に対して、こんな選択肢もありますよと提案することで公認会計士の活躍の場を広げ、公認会計士という資格の価値向上、さらには社会貢献に繋がるようなプロジェクトを考え、実行しています。

ー仕事をする上での苦労は何ですか?
会計事務所は私一人しかおらずすべて一人でやっているので、繁忙期はきついです(笑)。また、論点があったときに議論する相手がすぐ近くにいないのもきついですね。あと、やりたいことが多すぎて、時間が足りないなと常に思っています(笑)。

ー仕事でやりがいを感じるのはどんな時でしょうか?
税務はお客様と同じ方向を向いて業務にあたっていきますし、様々なアドバイスも行いますので、お客様から感謝される機会が多く、やりがいになっています。また、税務の知識を身に付けると自分自身にも役に立つことばかりなので、一石二鳥だなと思っています(笑)。特に私のお客様は個人の方が多いので。

CPAに関して言いますと、監査法人時代にリクルートプロジェクトに従事した際に、公認会計士のキャリアに関わる仕事に対し、責任を深く感じると共に、大きなやりがいを感じていました。現在の業務も公認会計士のキャリアに関わる業務なので、同様にやりがいを感じています。元々プライベートでもイベントを企画したり、友達を集めるのが好きなので、「シンプルに楽しい」というのもやりがいに繋がっていると思います(笑)。

ー独立と監査法人どちらも経験されましたが、独立した理由は何だったのでしょうか?
ただただ自分の城を作りたかったからです。年功序列や昔からのルールなどに縛られず、自由にやりたいという気持ちで独立しました。独立当時はお客様ゼロからのスタートだったので、不安はありました。しかし、公認会計士は監査法人の非常勤として勤めることもできるので、失敗したらまた違うことをやればいい、なんとかなるという気持ちで挑戦しました。公認会計士という資格があることで、臆することなく挑戦することができました。
私のキャリア選択における軸でもある、「心が燃えて、やりがい、楽しさを感じる仕事をする」を考えた時に独立という選択になりましたね。

資格取得は最強のセーフティーネット

ー今後のキャリアに関して教えてください。5年後や10年後はどのようになっていきたいですか?
私は今年の2月から独立開業したばかりで、様々な新たな挑戦をしているので、5年後、10年後にどうなっているのか想像がつかないというのが本音です(笑)。
私自身としては、抽象的にはなってしまうのですが、5年後、10年後も、自分自身の心が燃えていて、やりがいを感じているかどうか、楽しさを感じているかどうかを大事にしていきたいと思っています。

会計事務所としては、急速な拡大はせずに集客をしていき、従業員の方を雇い、徐々に拡大していきたいと考えています。個人的に会計事務所の従業員の方の平均給与は低いと思っているので、従業員の方にしっかり還元していきたいです。給与面だけでなく職場環境というのも大事だと思うので、しっかり管理体制を構築していって人を増やしていきたいと思っています。ただ、大きくしても10名程度で少数精鋭チームを作るのがいいのかなと今は考えています。
ビジョンという観点でいうと、自分自身どうしたいのかは常に考えながらも、あえて固く決めすぎないようにしているところもあります。CPAでの業務もそうですが、ご縁のおかげで色々なことができているので、人とのご縁を今後も大切にしていきたいと思っています。

ーキャリアに関して悩まれている方への応援メッセージをお願いします!
偉そうに言える立場ではないのですが、一つ言えることは転職などを考えていなくても外にどういう業務があるのか、どういう活躍の場があるのかを知るだけでも今の業務のモチベーションに活きてきたりすると思うので、色々な方の話を聞いてみるのがいいのではないのでしょうか。視野が広がると思います。私自身ももっともっと色々なキャリアを知っていきたいと思っています。

キャリア選択の中で大切なのは自分が何に対して情熱を捧げるか?を考えることだと思います。たとえ報酬が良くても仕事がつまらないと心が辛くなり、きっと長続きしません。長い目で見ると、自分が楽しくて、ある程度でも満足いく報酬が得られる仕事を見つけることが一番いいと思います。その為に自分の好きなことをひとまず書き出してみて、それらに関わる仕事に挑戦してみる、または他の人の様々なキャリアを見て参考にするなど、面白い、楽しそうを原動力にキャリアを選んでいいと私は思っています。

ーHUPRO MAGAZINEの読者の方に激励のメッセージをお願いします!
会計士という資格は最強のセーフティーネットであると思います。路頭に迷うことがなくなり、たとえ失敗しても、何かしら働き口はあります。なので、私のように様々なことに挑戦したい方にはうってつけの資格だと思います。社会人になる前に、「これをやりたい!」と決めている方は少ないと思います。決めていなくてもいいと思います。働いてみて初めてわかることもたくさんあるので、様々なことに挑戦していけるよう、最強のセーフティーネットである公認会計士の資格をとっておくことをお勧めします。資格を取ることによって自分の世界も広がると思います!

ーこの度はお話を聞かせて頂き、ありがとうございました!

今回お話をお伺いした大島 悠臣氏が代表税理士を務める
大島会計事務所のHPはこちら/大島 悠臣氏のtwitterはこちら!

この記事を書いたライター

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