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内部統制実施基準の目的・基本的要素をザックリ解説!

HUPRO 編集部
内部統制実施基準の目的・基本的要素をザックリ解説!

2009年以降、金融商品取引法により財務報告に関わる内部統制報告(評価と監査)が上場企業を対象に義務付けられました。今回は内部統制の目的、基本要素について解説していきます。

内部統制とは

内部統制とは、「健全で効率的に企業が事業活動を続けるためのルールや仕組み」のことをいいます。ここで言われているルールは、雇用形態に関わらず、全ての従業員が従うことを義務付けています。どんな会社でも内部統制の導入を必要としている訳ではありません。
内部統制の導入が必要とされているのは、一般に一部上場企業と呼ばれている会社です。
会社法では大会社(資本金が5億円以上または負債の合計が200億円以上)に該当する会社に義務化されています。

内部統制の目的

内部統制には、次の4つの目的があります。

1:業務の有効性および効率性
2:財務報告の信頼性
3:事業活動に関わる法令などの遵守
4:資産の保全

その内容について解説します。

1:業務の有効性および効率性

内部統制をする1つ目の目的は「業務の有効性および効率性」です。
業務をするために経営リソースと呼ばれる「ヒト・モノ・カネ・時間」を合理的に活用することは重要です。これらのリソースを最大限に活用できていない場合、会社の経営状況の悪化につながるため有効性、効率性の再構築は必須といえるでしょう。

2:財務報告の信頼性

内部統制をする2つ目の目的は「財務報告の信頼性」です。
投資家や取引をする金融機関、企業などに損失を与えないように、財務報告書が適切に作成されることは重要です。財務報告が不透明だと、利害関係者との良好な関係を築くことが困難になります。信頼関係を保持し続けるためにも、財務報告書の信頼性の確保は必須といえるでしょう。

3:事業活動に関わる法令などの遵守

内部統制をする3つ目の目的は「事業活動に関わる法令などの遵守」です。
さまざまな社会活動をするために、法令を遵守することは重要です。利益を追求しすぎてしまい法令違反を犯すと、法的な責任を取るだけではなく、社会的な信用がなくなります。法令順守は、経営存続のために欠かせない要素といえるでしょう。

4:資産の保全

内部統制をする4つ目の目的は「資産の保全」です。
会社は投資家などが出資した資産で、事業活動をします。資産がなくなれば、事業の継続はできなくなるため資産の保全は重要です。資産の取得・使用・処分を適正な手続き、承認のもとで行われることは、会社の経営状況を安定させるため不可欠だと言えるでしょう。

内部統制

内部統制の基本的要素

先ほどの内部統制の4つの目的を機能させるために、6つの基本要素が不可欠となります。

1:統制環境
2:リスクの評価と対応
3:統制活動
4:情報と伝達
5:モニタリング
6:ITへの対応

この基本要素について解説します。

1:統制環境

統制環境とは、経営者、従業員の意識を高め「ルールを守ろう」「不正経理はしない」など社内の雰囲気を高める環境です。
従業員個人の意識だけでなく、システム面など物理的な視点から内部統制環境を整えることも重要になってきます。

2:リスクの評価と対応

「リスクの評価と対応」とは、内部統制の目的4つを達成するためにリスクマネジメントすることです。
事業活動に関するさまざまなリスクを把握・分析・排除する対応を迅速に行なうくことが求められます。

3:統制活動

「統制活動」とは、会社の全ての従業員が社内ルールを正しく守り、業務を正確に実践する方針と過程のことです。
ひとりの従業員に業務を任せることは、不正やヒューマンエラーにつながる確率が高まります。複数の従業員で業務を分担し、内容のチェック業務をプラスすることで、ヒューマンエラーを早く見つけ出すことができ、不正防止対策として有効です。「リスク評価の対応」と「統制活動」は一緒に機能する要素といえるでしょう。

4:情報と伝達

「情報と伝達」とは、社内だけでなく社外に対しても適切な情報が伝達される過程のことです。
適切な情報を従業員が取得でき、情報の取扱いや処理について正しく理解することで不正防止対策につなげることが可能になります。社外の人に対しても会社の経営状況を正しく理解してもらうことで、多くの人たちに対する信用につながるでしょう。

5:モニタリング

「モニタリング」とは、正しく機能しているかを定期的にチェックし、内容を評価、改善をすることです。
内部統制は1度取り組んで、必要とされる資料を作成し終わる作業ではありません。モニタリングは、大きく2つの視点でチェックしていきます。
1つ目は、通常業務をリアルタイムでチェックする日常モニタリングです。
2つ目は、業務に関係のない外部の人が別の視点でチェックする「独立評価」があります。
この2つの視点でモニタリングすることで、時間の経過、環境の変化に対応できるルール作りができるようになるでしょう。

6:ITへの対応

「ITへの対応」とは、会社運営に必要なIT技術を導入し、情報伝達の迅速化、セキュリティの整備をすることです。
業種に関係なく経理をはじめ販売、製造など多くの場面でITは利用されています。先に述べた他の基本的要素の有効性を確保するため適切な管理が求められるでしょう。

まとめ

今回は内部統制の実施基準について簡単に解説しました。上場を目指す会社はもちろん、義務化されていない会社でも内部統制は必要な取り組みです。業務プロセスを整え、リスクを減らすルール作りをすることで会社が成長のきっかけとなり、大きな結果につながるでしょう。

この記事を書いたライター

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