法人や個人事業主は資産を利用して継続的に経営をしていきます。その中でも固定資産は長期的に利用する為、会社経営において中心の資産です。
ですが、固定資産と耳にすることはあっても固定資産台帳の内容について知る人は少ないと言えます。
今回は、固定資産台帳の基礎である作成目的や記載内容について解説していきます。
固定資産台帳とは、事業において利用する固定資産を記載して管理を行う台帳です。固定資産の管理に必要である適切な記載をしていきます。
固定資産とは取得価額10万円以上で、長期にわたり使用していく資産です。固定資産には土地・建物・車両などの有形固定資産や、ソフトウェアなど形のない無形固定資産、投資有価証券などの投資その他の資産が含まれます。
税務上では20万円未満の固定資産を3年で償却することが認められており、中小企業限定で30万円未満の資産(1事業年度につき合計300万円まで)を取得した際に損金算入できる場合もあります。
一括償却資産や少額減価償却資産の場合のように、通常の償却資産と異なる取り扱いをする資産もあるので注意した方が良いでしょう。
取得した固定資産は固定資産台帳に記載を行い、減価償却していかなければなりません。会社では多種多様な固定資産を利用しているので、管理するためには明瞭に記載しておく必要があるのです。
税務調査が入った場合には、どのような固定資産を利用して減価償却してきたのかなど、誤った会計処理を行っていない証明にもなります。
固定資産における詳細な情報は、『貸借対照表』や『損益計算書』には記載がありません。財務諸表からは当期における減価償却費と期末における帳簿価額しか分からないのです。
固定資産台帳に記載を行っておけば、固定資産ごとにおける詳細な情報を即座に把握することができるようになります。
また、固定資産台帳の記載により会計帳簿上の固定資産が紛失などせずに存在しているか、逆に現実に利用している資産が適切に会計帳簿に記載されているか、実在性と網羅性について確認することができるようになるのです。
固定資産台帳は基本的に記載内容に決まりはありません。業種による違いなどを反映して管理が行いやすいように記載していくことが大切です。
一般的には、購入日及び使用開始日や取得価額、減価償却費、期末帳簿価額などの記載を行います。
出来る限り詳細な記載を行っておくことで、過去にどのように処理がなされたのか、見返した際に分かりやすい固定資産台帳を作成することが可能です。
固定資産を取得した際に、取得価額で費用に計上することは会計的に適切な処理とは言えません。
なぜなら固定資産は事業の遂行に従い、価値が減価していくと考えられるからです。
固定資産が毎期徐々に減価していくので、実態に合わせて各期に取得価額を費用として配分しなければなりません。
ですが、土地については減価するという概念がないので、減価償却が行われないことに注意が必要です。
一般的な減価償却の方法には、定額法と定率法があります。
定額法は、固定資産の取得価額を耐用年数にわたり定額で減価償却する方法です。
定額法による減価償却費は、取得価額を耐用年数で除して算出します。
耐用年数にわたり減価償却費が毎期変動することなく、一定額償却されることになるのです。
定率法では、帳簿価額に償却率を乗じて、耐用年数にわたり毎期定率で減価償却する方法です。
定率法による減価償却費は、取得価額より過去の減価償却の累計額を控除し、償却率を乗じて算出します。
定率法で償却を行った場合、償却額は早期において多額になり、徐々に減少していくのです。
今回は、固定資産台帳の基礎である作成目的や記載内容について解説してきました。
固定資産台帳には、『損益計算書』や『貸借対照表』にはない、固定資産に関する詳細な情報を記載します。
現実にある固定資産と会計帳簿に計上されている固定資産の実在性と網羅性を確認できるようにする必要があるのです。
固定資産台帳による詳細な固定資産に関する情報は、事業において重要な固定資産を管理できるようになるのみならず、税務調査において誤った会計処理をしていない証明にもなります。
固定資産とは一般的に10万円以上かつ長期にわたり利用する資産であり、土地以外の固定資産は利用することで減価するので、適切に会計処理しなければなりません。
定額法または定率法により減価償却を行い、各期に費用を配分していくのです。
このように、固定資産台帳には取得価額のみならず減価償却費なども記載します。後に誰が見ても分かるように詳細に記載していくことで、固定資産の管理が適切にできるようになるのです。
今回ご紹介した内容が、固定資産台帳の基礎である作成目的や記載内容の理解の一助となれば幸いです。