中小監査法人でも公認会計士が数人のところから300人以上の規模のところまで様々です。中小監査法人のメリットは、幅広い経験が早くから積めることなどで、デメリットは大手監査法人より給与が劣ることが多い、大手に比べブランド力がない、研修や監査マニュアルが整っていない、監査以外の仕事も多いことなどが挙げられます。
それでは、今回は中小監査法人の概要と、メリット・デメリットについて考えていきたいと思います。
監査法人の大手を除いたものが、中小監査法人です。
しかし、中小監査法人でも公認会計士が数人のところから300人以上の規模のところまで様々あります。
また、監査法人として、外国の会計事務所と提携していないところや、上場会社の監査が受託できないところも中にはあります。
上場会社の監査をしてみたい、あるいは外国の会計事務所と提携しているところがいいというようなことで、就職先として中小監査法人を考えているのであれば、上場会社の監査ができるか、外国の会計事務所と提携しているか必ず事前にチェックしましょう。
なお、中小監査法人といえば監査のレベルや研修・教育制度が気掛かりかもしれませんが、まず、監査のレベル自体は、大手監査法人での仕事経験がある会計士がほとんどのため、しっかりとしています。
また、研修や福利厚生の制度も整っているところが多くあるため、それほど心配ありません。
しかし、新人を雇用する制度がないようなところも中にはあるため、全く経験がない場合は気をつけましょう。
近年は、会社が監査を頼むときに監査法人の大手から中小に変える動きが多くなってきているため、中小監査法人の存在が高くなってきています。
監査法人の大手の公認会計士と同じように、中小監査法人の公認会計士もプライドがあり、「軽いフットワークですぐに対応します」「大手には負けません」「丁寧に一社ずつ監査します」などとアピールしています。
中小監査法人に就職したいと思っている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、中小監査法人のメリットについてご紹介します。
監査法人の大手はFASを別の会社で行っており、監査部門の主な仕事はほとんど監査になります。
また、大手の会社を担当すれば長い下積みの期間があり、単純な調書登録や監査システムの入力などの仕事を行う期間が長くなり、経験を幅広く積めないことがあります。
しかし、中堅監査法人であれば、仕事を幅広く経験できるメリットがあります。
例えば、中小監査法人では、上場監査、IPO、パブリック、アドバイザリーが経験できるということです。
中小監査法人のクライアントは、規模が小さいところが多いため、主査を早くから任される機会があります。
例えば、中堅監査法人では、規模が小さいクライアントの責任者として入社して2年目から仕事をしている人もいるそうです。
規模が小さいクライアントでも、監査の一連の流れの計画から終わりの報告会までを経験できるため、市場価値もアップするでしょう。
一方、中小監査法人は次のようなデメリットがあります。
給与について、中には大手監査法人と同じレベルのこともありますが、ほとんどは待遇面において福利厚生なども含めると劣ることが多くあります。
仕事をしていても、やはり大手監査法人の方が信頼を得やすいという面はどうしてもあります。
転職をするにしても、Big4での就業経験の有無はやはり影響してくるでしょう。特に、外資系の会社のときは、Big4のブランド力は大きくなります。
ずっと監査を行いたいという方は、最初は監査法人の大手の方がいいでしょう。
というのは、監査法人の大手は研修や監査マニュアルが整っているためです。
大手監査法人で監査の手続きを経験してから、報酬と時間の兼ね合いで手続きを削減するのと、初めから何も知らないで手続きを削減するのでは違います。
そのため、最初は大手監査法人がおすすめです。
中小監査法人としても、監査法人の大手の状況を把握したいので大手で仕事を経験した人を雇用する傾向にあります。
当然ですが、中小監査法人できちんと監査を行っているところも多くありますが、監査の正しい方法を学習するために、まず最初は大手の監査法人がおすすめでしょう。
中小監査法人ではいろいろな仕事があり、若手のときは監査以外の仕事や雑用的なことも行う必要があります。
監査法人の大手であればアシスタントや事務職の人が行うようなことも、中小監査法人では行う必要があるときがあります。
また、新人が次々と入社してくるような状態であればいいでしょうが、売り手市場で中小監査法人まで人材が回ってこないようなときは、新入社員が行うような基本的な仕事や雑用的なことを行うこともあります。
以上が、中小監査法人で働く際のメリット、デメリットとなります。最初の就業先としては大手監査法人がおすすめですが、その後の転職のキャリアとしては、自分がやりたい業務やつけたい経験などを考慮して、正しい選択を取ることが大事となります。中小監査法人でしかできない経験ももちろんありますので、転職の際には公認会計士の人脈を活かしたり、監査法人に知見がある転職エージェントに聞くなど情報収集をしっかっりとした上で選択、行動をするようにしてください。