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「このままで良いだろうか?」常に自分に問い続けた。大手監査法人系アドバイザリー会社のパートナーからベンチャー企業へ。タメニー株式会社 久保理氏のキャリア遍歴

HUPRO 編集部
「このままで良いだろうか?」常に自分に問い続けた。大手監査法人系アドバイザリー会社のパートナーからベンチャー企業へ。タメニー株式会社 久保理氏のキャリア遍歴

タメニー株式会社で、経営企画部 部長として活躍されている久保理氏。公認会計士として、監査やM&Aなど様々な業務に従事。「このままで良いのだろうか?」そんな問いを常に自分に投げかけキャリアを切り拓いてきました。HUPRO編集部が久保氏のキャリア遍歴を伺いました。

1998年 早稲田大学 政治経済学部 卒業
1998年 プライスウォーターハウス(現プライスウォーターハウスクーパーズ) 入社
2001年 (現) デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 入社
2019年 株式会社パートナーエージェント(現タメニー)入社
2021年 タメニー株式会社 コーポレート本部 経営企画部長
兼 タメニーアートワークス株式会社 取締役
兼 タメニーパーティーエージェント 取締役 現職

キャリアの始まり。公認会計士として働ける

―公認会計士を目指されたきっかけを教えてください。

儲かる会社ってなんだろう?そんな単純な疑問が学生時代にありました。その時に親に勧められて簿記に触れたのが公認会計士との出会いでした。最初の頃、正直簿記はつまらないと思っていました。

しかしその先に、経営分析や、儲かる仕組みの原点となる理論があることに気づき、大学1年生の冬から軽い気持ちで公認会計士の勉強を始めました。

ダブルスクールをしながら、毎日勉強していたわけですが、周囲が飲み歩いている中で、勉強をし続ける。非常に苦労しました(笑)誘惑に負けない強固なメンタルも必要でしたね。

―見事大学3年生の時に公認会計士に合格されたのですね。

そうですね。素直に合格できたことは嬉しかったです。また最初の就職先も資格を活かした場所にしようと考えて、プライスウォーターハウスへの就職を決めました。

―プライスウォーターハウスに入社を決めた理由はありますか?

3年生で合格した後に、公認会計士の実務補助のアルバイトをしていました。その事務所の所長がプライスウォーターハウスから独立した方で、様々な助言をもらっていました。その方の影響もあり、プライスウォーターハウスへの就職を決めました。

当時は学生でしたので、正直仕事の内容など理解していません。会社の雰囲気で決めました(笑)当時恵比寿ガーデンプレイスに事務所があって、外資系でおしゃれでかっこよく感じたのも大きな理由です。

―入社3年目程で転職を考え始めていますね。きっかけはありますか?

きっかけは大きく2つあります。

1つ目は監査業務以外の仕事に興味が向き始めていたことです。若手のうちに担当する監査業務は、証拠書類と帳簿を突き合わせるなどの地味な作業が多いです。監査業務のルーティーンを繰り返していくうちに、自分は「このままで良いだろうか?」と悩みました。

その壁を乗り越えて監査を続けると、お客様とのインタラクションが増えてお客様をグリップして回していくという風になり仕事が楽しくなると思いますが、そこまで行き着くのに非常に道のりが長く感じました。

2つ目は、合併が起きたことによる組織変化です。私が入社3年目のころ、中央監査法人(C&L)と青山監査法人(Pw)が合併しました。合併後には、組織風土や業務スタイル等変わるものが多く、仕事がやり辛く感じていました。

以上2つの理由が転職の理由です。そして常に思っていたのは「このままで良いのだろうか?」というモヤモヤした疑問です。そんなモヤモヤもありながら、当時M&Aが流行り始めていました。これは是非携わってみたいと思い、デロイトトーマツで携われるポジションへと転職をしました。

M&Aの分野への挑戦!パートナーへの昇格

―デロイトトーマツでのM&A仕事はいかがでしたか?

非常に面白かったです。数字を分析するという監査業務の延長上で、様々な会社の中身を調べました。会社を値づけするとどのくらいの値がつくのか?そのような新しいことを吸収していく、アウトプットしていく全てが楽しかったです。

入った部署は立ち上げて間もなく10~15人程の規模で、自分たちで最初から作り上げている感覚が面白かったです。まるでベンチャー企業のようでした。

―具体的に印象に残っている案件等はありましたか?

具体的には、昔の案件でいうと、航空会社の統合案件にも関わりました。証券会社や弁護士など様々な人が関わっており、私も会計士として関わっていました。航空会社の人に話を聞くことも新鮮で楽しく、飛行機の機材について知れたり、非常に多様な業界と関われる機会が多く楽しかったです。

監査では財務諸表を元にコミュニケーションをしています。それに比べてM&Aの経験では、ビジネスの前線に出て、事業を理解しながら働くことが出来ました。

―ものすごく充実していたのですね!その後海外への赴任を経験されていますね。

2005年から2007年まで、部署の第一号として同僚とアメリカに行きました。仕事内容は、会社の中身を調べていく仕事を引き続きしていました。ニューヨークの事務所で働き、そこから様々な地域に出張に行きました。

アメリカの会社のあり方、働く人たちの物の見方や考え方等、異文化に触れて理解が広がり、非常に楽しく働けました。

―帰国後にさらにモチベーションが上がっていますね。

帰国後は、しばらくしてパートナーというポジションへ昇格しました。それによりモチベーションはまた高くなりましたね。働き方も変わり、マネジメントや営業の要素が強くなりました。作業に埋もれていたプレイヤーの時とは違って、お客様とのインタラクションも増えて仕事は非常に楽しかったです。

―マネジメントも営業もあまり経験がない中で大変なことはありましたか?

スキルが不足していることはもちろん、売上成果を上げることが非常に難しかったです。お客様のところに行って信頼を構築して仕事に繋げていくのですが、最初の1年は望んだような成果は出せませんでした。自分で何とかしないといけませんでしたので、セミナーにきてくれた方や問い合わせをしてくれた方などに、地道な営業を続けていました。売上のノルマは設定されているので、そのノルマを達成するためにどうすれば良いのかを常に考え続けていましたね。

人生の分岐点 自分のやりたい仕事を突き詰めた結果

―自分の将来の方向性を考え始めたきっかけなどはあったのでしょうか?

40歳を迎えて人生の折り返し地点に来た時、この先の自分の将来についてシミュレーションをしました。今の安定している状況を見て「このままで良いのであろうか?」を考えるようになりました。

なぜそう感じたかというと、良くも悪くもこの先の未来がある程度想像のつく状況であったためです。専門組織なので自分の居場所がはっきりしています。部署はだんだん大きくなっており、私が入社した当初の15人から700人ほどまで社員は増えました。

人数の増加とともに、専門性も細かくなっていき、大きな組織の中の一部署の自分という状態になっていました。この先10年20年、流れに乗って働き続けるかどうかと考えた時に、転職して更に他のチャレンジをしたいと思うようになりました。

―転職先として株式会社パートナーエージェント(現タメニー株式会社)を選ばれた理由はなんですか?

当社代表の佐藤との出会いは大きかったと思います。転職活動を進める中では、監査法人系のファームでパートナーをしていたこともあり、多くの事業会社ではなぜ君のような経歴や能力の人がうちにくるの?と驚かれることが多く、採用に至らないケースもありました。

そうした会社ではコスト面やスキルを活かす土俵がないというのが大きな理由かもしれません。そんな中でも佐藤は非常に自分に興味を持ってくれて、是非君と働きたいと私を採用してくれました。私も佐藤の人柄や考え方に共感することも多く入社を決めました。

―入社してからはどんな仕事をしていますか?

株式会社メイションをグループ化した時期で、非常にドタバタしていました。諸々の事情から、引き継ぎなく経理を担当して、帳簿を締めることから管理会計の数字の精査、投資先の管理など様々な仕事につきました。

そしてこれから新しいことに挑戦しようと考えた時に、タイミング悪く新型コロナウイルスの流行にぶつかりました。弊社としても事業の性質上ダメージが大きく、コロナ後は銀行に何度も行き、業績計画を策定し直すなど日々イレギュラーな対応に追われています。監査法人やデロイトにいた時とは違い、事業サイドであらゆる緊張感のもと今は働いています。

―そんな困難をともに乗り越えている管理部門のみなさんはどんな方々ですか?

弊社の管理部門スタッフは非常に、和気あいあいとしてチームワークが素晴らしいと感じています。弊社のサービスが接客メインでもあることから、フロントへの理解とサポートが強い組織であると感じています。そして非常に人柄が温かいと感じています。

―どんな方が御社の管理部門で働くのに向いていると思いますか?

一番大事なのは素直であることだと思います。もちろん自分の意見は大切ですが、そこに固執しすぎることなく、周囲の言うことに耳を傾けることができる人が向いていると感じます。

管理部門の仕事が「こうあるべきだ」で進んでしまうと、フロントや他部署にとって最適な運用にならない場合も大いに発生します。守るべきルールを遵守しながらも、必要な状況に応じた柔軟性を許容できる人は、弊社で大いに活躍できると思います。

答えを求めすぎない。そしてプロとして「発信力」を備えよう

―HUPRO MAGAZINEの読者に一言お願いいたします!

キャリアに悩まれた時に、答えを追い求めすぎないことは重要かと思います。キャリアに関して明快な答えが出るということはなかなか無いと思います。与えられた環境でまず、一生懸命努力して向き合うことを意識してみてください。

その中で、流れが動いたときに掴んでみると良いと思います。私自身も「このままで良いのだろうか?」と悩むことが多かったですが、行動に移したことが結果的に良い方向に働いていると感じています。

特に若いうちはインプットに集中できる大事な時期です。資格試験の勉強をすることや、ある程度決まったメソドロジーを覚えることなど、身に付けることは目的をもって時間をかけてやればいいと思います。

しかし、インプットの全てが実になるかとどうかに関して、明確な答えはありません。そのためあまりこだわりすぎることなく、柔軟性を持っておくとキャリアに対するモチベーションも幾分か明るくなると思います。

また具体的なアドバイスとして、プロフェッショナル人材として活躍するには、発信力はものすごく重要です。例えば経理領域で、「仕訳が得意です」という人はただの作業屋になりますが、課題を前にして自分なりの考えでリソースを提供できる人、課題解決方法を見つけられる人、そしてそれを恐れることなく発信できる人はプロフェッショナルとして活躍していけます。

自分が普段働く中でも、作業が得意という発信よりも自分の考え方や問題の捉え方等を発信していくことを心がけていけば、社内でも社外でも自分の価値は高まります。是非これからのキャリア形成頑張ってください。

―本日はお時間いただきありがとうございます。
本日お話いただいた、久保氏の務めるタメニー株式会社のHPはこちら!!

Tameny|タメニー株式会社のHP

この記事を書いたライター

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