Switch税理士法人で働く鈴木氏は、在学時より税理士試験を受験し、卒業後、国内最大手の辻・本郷税理士法人に入社。法人国際部で最年少での部長職まで勤める。同税理士法人で培った国際税務のスキルを活かして現在も国際税務に関わることも多く土台となっている。今回は、税理士を目指したきっかけから今後の税理士事務所の在り方などの展望など、様々なお話をHUPRO編集部が伺いました。
ー税理士を目指したきっかけについて教えてください。
実はたいした理由がありませんでした。リーマンショック当時大学2年生になるくらいのときに周りの先輩方の就職が白紙に戻っていること見て焦りを感じました。その時に簿記2級を取得していたこともあり、この調子で税理士を目指してみようと思ったというのがきっかけです。
ー簿記を取ろうと思ったのですか。
会計学科だったということもあり、簿記の授業が多かったので取得しました。
ー簿記を使った仕事に就きたかったのですか。
正直、何でもよかったかも知れません。言い方もありますがお金が稼げれば何でも良かった部分はありました。その中で私の取れる選択肢の中で公認会計士に比べて税理士は受験回数が少ないですが、ある種潰しがきき、在学中に1科目でも合格すれば就職活動が有利になるかなと思い税理士を選択しました。
職種の内容などに魅力を感じて選んだわけではなかったですね。もちろん、その後の受験生活や就職活動を通じて、税理士という仕事に魅力を感じるようになりましたが。
ー大学在学中に税理士試験を受験始めたそうですが。
大学2年生から講座に通い始め、大学3年生の時が初めての受験でした。遊ぶ時間がほとんどなくて、ただひたすらに遊びたいなと思いました。1回目の受験で簿記論と財務諸表論に合格しました。最終的には卒業して1年後の24歳の時に、受験回数合計4回目で税理士資格を取得しました。
ー合格後に辻・本郷税理士法人に入社されていますが理由は何ですか。
元々開業したいという意識がありました。その為にはそれなりに大きい事務所で開業のための経験をつめるところを探しておりました。会社説明会で辻・本郷税理士法人が求める人材は「お客様と常に一緒に成長したいと思える人材」という点に感銘を受けて入社を決めました。他の事務所の選考もう受けましたが、すごく感動していたので「ここに入社するしかない!」と思いました。いまでもこの言葉は自社の企業理念として生きています。
ー受験回数が4回とのことですが勉強法とか苦労したことを教えて下さい。
学生だったこともありバイトもしていましたので、時間の捻出が大変でした。勉強をしつつ、学費も稼がないといけなかったので、飲食店のバイトから朝のバイトに切り替えました。当時は朝5時半に起床しバイトをし、そのまま自習室にこもり夜は講義を受けたりしていました。
大学4年生のときには居酒屋のバイトも始めて掛け持ちをしていました。休む暇もなく、今より忙しかったかもしれませんね。当然、友達は減りましたね。
ーそのような目まぐるしい毎日を1年、2年と続けられる秘訣はありますか。
早く受かりたいという気持ちですかね。受験期間が長くなってしまうと、どうしてもだれてしまうと思います。長期間モチベーションを維持することは難しいと思います。私と同じタイミングで受験していた人たちのなかで、受験が終わっていない方々の中には当時と科目数が同じぐらいの方もいます。みんな中途半端な気持ちではないと思いますが、その中でも本気で取り組んでいくことが大切だと思います。短期間で集中して勉強を頑張ったほうが早く合格できると思います。
ー辻・本郷税理士法人での業務内容を教えて下さい。
法人国際部に配属されました。国際課税をメインにしていました。ただ、当時国際課税のニーズが今ほどあったわけではなかったのか、国際取引のある会社がこの部署に集まってきていたのだと思います。そのため、小さい会社から上場会社、オーナー会社等様々なお客様を担当させていただきました。国際課税とは関係のないオーナー様の資産税関係も携わりました。
ー法人国際部では最年少の部長とのことですが大変なことはありましたか。
お客さんごとに案件が進んでいくので忙しい時期が重なるとオーナー企業の相続税の申告と上場企業の決算スケジュールや年末調整が同時に重なったときは大変でした。
ー法人国際部では初めてのことが多かったですか。
社会にでたことが初めてだったので、ほとんどのことが初めてでした。元々英語が苦手で税理士を選んだところもありました。入社から退職までの5年間、ずっと同じ部署だったので様々なことを経験させて頂きました。初めてのことも多かったので鍛えられましたね。自分で勉強もしましたが、元々受験で培ったものと実務の勉強、そしてひたすら税制改正を追っていました。
ー国際税務を今の仕事にどのように活きていますか?
以前に比べて個人事業主のような方でも国際取引を行うケースが増えています。私の事務所は特殊な職種が多く、同人作家さんなどの個人事業主として国際取引をされている方も多いので法人国際部での経験はとても活きています。海外のダウンロードサイトなどの電子取引が増えているため、国際課税を経験しておいてよかったと実感しております。
ー現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
現在は代表社員として働いています。今までは実務畑での税務処理がメインでしたが、ここ1年くらいはコロナの影響もあり自社の内部の仕組み作りの構築をしたりしています。
現在、実務では同人作家さんの確定申告から上場企業の税務処理まで幅広く携わっております。
ー仕事をする上での苦労はありますか。
経営者として内部での仕組み作りも大切なのですが、実務が好きなのでバランスを取るのが難しいですね。自分の時間は限られているので、忙しくなると仕組み作りなどはおざなりになりがちです。
ー現在の会社規模やマネジメントについて教えて下さい。
現在は平均年齢が30歳前後、スタッフの人数は20名ほどになったのでマネジメントするのも大変になってきました。手探りで模索しているところが大きいです。一度マネジメント会社をいれたり、セミナーに参加したりして手探りで進めています。フランクな社風なので取り入れられる部分を見つけるのが大変ですが、セミナーで学んだことを参考にしつつ変えていかなければならないところを変えていっています。
ーやりがいを教えて下さい。
お客さんに喜んでいただくことはもちろん前提にあります。この事務所ではスタートアップ企業が多く、辻・本郷税理士法人時代に目標にしていた「お客様と常に一緒に成長したいと思える」をより強く実感できることがあります。お客様のステップアップと弊所のステップアップをともに感じていけるので辻・本郷税理士法人時代とは違ったやりがいを味わえるところです。
ーお客様と一緒に成長を感じられる部分はどこにありますか。
同時期に設立した会社だと人数が増えたり、売り上げの対前年比が増加したりと目に見えて具体的な数字をみるとお客様の成長とともに、やりがいも感じられます。比較的大きな会社にかかわることが多かったので、自分の得意な分野での提案やアドバイスを行えるようになったときも特に成長を感じました。
ー今後のキャリアに関して、5年後10年後どうなっていたいという展望があれば教えて下さい。
プライベートのことも含めてですが、以前は地方に行って仕事がしたい、地方での雇用創出に貢献したいと考えていました。今後の働き方に関してはAIの進化やコロナの時代にテレワークが当たり前になり、むしろ地方に拠点を置く必要もなくテレワークを通して地方にいながら本社で仕事をできる環境を推奨していきたいと思っています。
その先に私がリゾート地で働いたりして半分仕事、半分遊びとワーケーションをしていければいいなと思っています。
会社として独自の福利厚生制度として社内独立制度があります。これはイソ弁(居候弁護士)のように、会社に所属しながら個人事業主として税理士業務ができるような制度です。こういった制度を進めていくことで、少人数ながらも総合型税理士法人として認知されることを目指しており、今後入社してくれる方が会社の弱い部分を補ってくれることを望んでおります。お客様としては一つのフェーズが終わると別の規模の税理士法人へ依頼することが多いです。会社としてはそこで縁が切れるのも残念です。外部協力者がいれば解決できる問題もありますが自社内で完結できるのがよいと思っています。元々、総合型税理士法人を経験していたこともあり、この事務所に頼めば大丈夫という安心感を提供できればと思っております。
ー今後士業を目指している人に向けてアドバイス、応援メッセージをお願いします。
私自身も開業するタイミングに悩んでいた時期がありました。
ぼんやりとしたタイミングは意識していましたが思っていたタイミングより1年早い開業となりました。
開業することは本当に大変ですが、弊所のような半独立のできるような事務所で仕事をするものありかな、と思っています。
「税理士」という職業につく方々が口を揃えて「やりがいはお客様に感謝して頂けること」と言えることが改めて凄いことと感じております。お客様に業務を提供して感謝されて、報酬をもらえて喜びを感じる仕事は他にないのではないかと思います。
これから税理士を目指されている方は暗い受験時代を抜けると楽しい税理士ライフが待っているので頑張って欲しいです。
今回お話させていただいた、鈴木 雄平氏が代表を務める
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