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流動比率とは?計算方法や当座比率との違いなど解説!

HUPRO 編集部
流動比率とは?計算方法や当座比率との違いなど解説!

企業の財務分析のうち、安全性分析に使われる指標の一つに「流動比率」があります。流動負債に対する流動資産の割合を示したもので、短期の返済能力を判断するために用いられる比率です。この記事では流動比率の見方と、よく比較される当座比率との違いについて解説します。

流動資産・流動負債とは

流動比率について理解するために、まずは流動資産・流動負債について確認しましょう。

流動資産とは

流動資産とは、企業の本来の営業活動によって生じる資産と、決算日の翌日から1年以内に現金化が可能な資産のことを指します。

例えば、原材料や在庫、そして現金・預金のほか、預金や売掛金が分類されます。
原材料や在庫は、売れれば現金にすることが可能です。また、売掛金についても回収できれば現金になりますね。決算においては、受取が決算後になる売掛金も、請求書を発行した時点で今年度に売上があったものとして流動資産に計上します。

当座資産とは

流動資産のうち、現金を含め、直ぐに現金化することが出来、支払手段に充てることが出来る資産については「当座資産」と呼ばれます。「今すぐ現金が必要!」となった場合に用意できる金額といえるでしょう。

流動負債とは

流動負債は、営業の循環過程において生じる負債(買掛金や未払金など)と、返済期限が1年以内に到来する負債や債務(短期借入金など)を差します。

最初の借り入れが長期間であっても、返済期限が1年以内に差し迫ったものは流動負債に繰り入れられます。

流動資産・流動負債については、詳しくは以下の記事もご確認ください。

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流動比率とは?当座比率との違い

流動比率は、短期的な負債を返済する能力をあらわす指標で、以下の式で計算できます。

流動比率=流動資産÷流動負債×100

経営分析の指標の中で、最も古くから使われているものの1つです。1年内に返済の必要がある負債は、1年以内に現金にする流動資産で賄う必要があるという考えに基づいています。資金繰りをして流動負債を支払うことができなければ、キャッシュフローが悪化して会社は倒産してしまうからです。

しかし、在庫については売れれば現金になりますが、売れるかどうかはわかりませんよね。流行遅れとなってしまったり、ブームが過ぎたりした商品がなかなか売れずに「在庫処分セール」などをやっている状況を考えてみると、在庫となってしまったものを現金化するのは厳しいことがわかります。

そこで、流動資産の中から現金、預金に加え、受取手形、売掛金、短期的な資産運用のために保有している有価証券である「当座資産」について、同じように流動負債で割ったものが「当座比率」です。

当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)

流動資産のうちでも即現金化が可能な「当座資産」との比率で短期安全性を確認しようと生まれたのが「当座比率」の考え方です。流動比率よりもよりシビアに企業財務の健全性を判断します。当座比率が100%以上であれば、流動負債の返済能力が十分あり、財務安全性が高いと判断することが可能です。

流動比率と当座比率の違いについてはこちらのコラムでも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

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また流動比率の目安について、どのぐらいが適正値なのかについて疑問が生まれるかと思います。一般的には120%が一定の目安と言われますが、業界によって適正値は異なってきます。
流動比率の高さについては下記のコラムで詳しく解説しています。

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流動比率以外にも安全性分析で使われる指標

流動資産から計算される、流動比率と当座比率を見てきました。その企業にどれくらい支払い能力があるのか、倒産の可能性はどのくらいなのかを見る「安全性分析」は、他にも固定比率や自己資本比率などの指標があります。

固定比率=固定資産÷自己資本×100

自己資本比率=自己資本÷総資本 (自己資本+他人資本) × 100

固定比率は固定資産が自己資本のどの程度の割合なのかを見る指標です。不動産や工場設備などの固定資産を借り入れで購入していたとしても、会社の業績が順調な時は特に問題はありません。

しかし、企業の業績が悪化すると借入に対する返済が収益を圧迫します。多店舗展開するような事業で拡大の際は、多少の借り入れはやむを得ません。でも、家のローンと一緒で自己資金が多い方が財務が安定するのは自明の理です。固定比率については、詳しくは以下の記事もご確認ください。

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自己資本比率は、全ての資産のうち、自分のお金で賄った者の割合を見るものです。総資産に占める自己資本の割合を示す財務指標となります。

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流動比率をはじめとした指標は複数年度を確認する

企業の財務分析には、さまざまな指標が出てきます。
しかしそれらは、直近の決算の数字だけを確認してもあまり意味がありません。その前年度、さらに前々年度……と複数年度を比較して、数字の変化を確認することが重要です。

特に2020~2021年度はコロナの影響を受けた企業が多いので、コロナ前後で資産状況がどのように変化したかも見ておきましょう。

この記事を書いたライター

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