フォースタートアップス株式会社の取締役兼コーポレート本部長の菊池烈氏は、新卒で有限責任監査法人トーマツに入所し、国内外の企業の法定監査業務等に従事。その後2018年にフォースタートアップス株式会社の監査役、執行役員を経て、現在は取締役兼コーポレート本部長に就任。同社に入社されるまでのキャリアパスや入社の背景、同社での経験、今後の展望などをHUPRO編集部がお話を伺いました。
【ご経歴】
2010年9月 | 有限責任監査法人トーマツ入所 |
2017年10月 | 公認会計士登録 |
2018年7月 | フォースタートアップス株式会社 監査役 |
2018年12月 | 同社執行役員兼コーポレート本部長 |
2019年6月 | 同社取締役兼コーポレート本部長(現任) |
―公認会計士を目指した経緯を教えてください
大学時代特にやりたいことがなく、大学2年生の初め頃に、たまたま目にしたパンフレットで公認会計士の資格を知り、とりあえずやってみるかと勉強を始めました。勉強自体も性にあったことと、お決まりの営業トークではあるのですが「複数の会社に関われること」と「経営に近い立場で仕事ができる」という点に公認会計士の資格の魅力を感じ、大学3年生の夏に公認会計士試験に合格しました。
―大学在学中に資格の勉強することで、集中して勉強するためにしたことはありましたか?
勉強を始めたことをきっかけにサークルなどには一切行かず、ノイズが入ってこないようにはしていました。また予備校に行くことでコミュニティを強制的に変えられたことも大きいと思います。自分の性格上決めたら突っ走るタイプなので、周りはほとんど気になりませんでした。
―キャリアのスタートとして、監査法人トーマツに入所した経緯を教えてください。
試験に合格した当時、J-SOXで公認会計士が足りない状態で売り手市場だと知っていたので、在学中に就職活動しなくてもいいのではないかと思い、就職活動はしませんでした。そんな時にリーマンショックが起き、一気に採用枠が絞られたので、就職活動は非常に難航し、大手・準大手・中小の監査法人にことごとく落ちてしまいました。3ヶ月前にできたような監査法人だけ内定を得ることができ、そこに行くか悩んでいたところ監査法人トーマツから内定連絡が来て、入所を決めました。それがなかったら、今のキャリアはなかったと思います(笑)
―キャリアグラフのスタートからモチベーションが高い理由はなんですか?
最初は、同期に「お前は補欠だよ」言われ、ふざけるなと反骨心で頑張れたことですね(笑)。
担当する業界が多岐にわたっていて、中小企業が多かったこともあり、速い段階から経営者の方と直接コミュニケーションを取る機会が他の人と比べて多くあったことで仕事を楽しむことができていました。
―当時の仕事のやりがいなどはどういった時に感じましたか?
クライアントに対して常にどんな付加価値を提供できるのか常に考えながら働いていましたので、クライアントに提案することにやりがいを感じていました。また、会社の業績が悪くなると社内の雰囲気が悪くなるなども如実に感じることができて、会社の健康状態が変わっていくことを見ていけることは楽しいと感じていました。
―順当にキャリアを積まれてきた秘訣などはありますか?
公認会計士試験に合格してから2年間ほどのブランクがあったので、知識のレベルがかなり低くなっていることに入社したタイミングで気づいて、最初の1年は通勤時間をフルで使って勉強をしてキャッチアップしていました。また、いかに早く仕事を終わらせ、時間を作るかを一番に意識していて、それは今にも繋がっていると思います。特に何か目標をおいていたわけではなくて、常に目の前の仕事に本気で取り組んでいました。
―キャリアグラフで唯一下がっている時があるのですが、なぜですか?
将来のキャリアに悩んでいたからですね。理由は二つありまして、一つ目は年功序列が強い企業なので、マネージャー以上のキャリアップを目指すとなると、絶対的な時間が必要なことです。二つ目は相手にするお客様の変化です。最初の頃は比較的経営に近い中小規模のクライアントを中心に働けたが、経験を積んでいくと、より大きな企業やテクニカルな仕事ができるものの、クライアント経営者との距離感がでてきたことがあります。やはりクライアントのパートナーとして働きたい思いが強かったので、そういう意味でモチベーションが下降していました。
―転職活動はどうでしたか?
2ヶ月で終えることができました。何のためにビジネスしているのだろうと悩んでしまったことがあったので、ポジション・年収というよりは、「なんのために仕事をしているのだろう」「この会社はどういう方向性に向かっていくのか」ということを重視して活動していました。そんな時にフォースタートアップスの社長の志水に出会いビジネスに対する熱い想いを聞き、直感で即入社を決めました。また、上場を目指している段階ではあったので、今までの経験を活かせることはできるだろうなと思っていました。
―同社に入社されて、どんなお仕事をなさっていたのですか?
最初は少し変わっていて、常勤監査役として入りましたが、経営体制の変更があり執行役員としてコーポレート全般を管掌するようになりました。ビジネス上、資金調達を多額に行う必要はないので、ウエイトとしてはコーポレート業務全般になります。
―同社に入社されてから、キャリアグラフは常に上昇していますが、辛い時期はなかったですか
低迷期はないですね。変化が早いことで、振り返る時間がないことと、上場すると決心していたので、そこまでは是が非でも達成するという想いで働いていたからだと思います。今の会社に入るときに、覚悟はきまっているので、だったら藻屑になるまでチャレンジしてやろう、この会社が成長するためのことは全てやるというスタンスで働いているので、今後もキャリアで悩むことはもうないと思います。
―順調に上場できた秘訣はありますか?
優秀な仲間に恵まれたことが一番大きかったと思いますね。たかだか自分は監査法人で働いていただけで、その他のことは未経験領域が多い中、チームメンバーの協力なしにはやってこられていなかったなと思います。
―最短速度で上場して、数年で人数が非常に増えたと思うのですが、組織体制を作るにあたっての課題点や工夫した点を教えてください。
新しい人が次々入っていく中で、大事にしているカルチャーが薄まってきてしまうことがあって、全員で何かを考えたり議論したりする場を時間をかけて作ることにより、浸透を維持する取り組みをしています。
―監査法人比べて、今の仕事のやりがいはなんですか?
監査法人と比べると、ものすごく変化が起きていくことですね。というのも、素早く意思決定が進んでいきますし、仲間がどんどん増えていく、また自分のやった仕事の結果がきちんと会社の成長に何かしら関わっていると感じられることは、非常にやりがいを感じます。
―これからはどんなことをしてきたいと思っていますか?
フォースタートアップスをさらに大きくさせる一択ですね。フォースタはもっとメジャーになっていくべきだと心の底から思っていて、そのためにできることは全てやるし、自分のアッパーがどこかで来るかもしれませんが、自分のやれることがなくなるまでは全力で取り組んでいきたいですね。まだまだ社員数が100名程度と少ないので、社員数を増やしていくことや、全てのステークホルダーに対して、企業の信頼をもっともっと厚くさせていきたいです。
同社のミッション「(共に)進化の中心へ」は、バックオフィスからすると、フォースタを進化の中心にいかに早くいかせるかが大事だと考えています。
そういう意味で日常業務に追われることも当然あるのですが、その中でも会社を一歩前進させる、それも素早くということを意識して、新たな取り組みをしていくことをやっていこうと考えています。
―菊池様がそこまでして大きくしたい御社の魅力はなんですか?
ビジョンの壮大さだと思っています。ビジョンがダメな会社を探す方が難しいとは思う程どの会社のビジョンも素晴らしいのですが、フォースタの「日本をより良くしたい」という非常にマクロなビジョンを持っていてかつ、熱量が伴っているところが魅力的だと感じます。
また私個人で言うと、その当時はベンチャーに行く頭がなかったし、自分の周りも大企業に行くのが良いことだと常識として考えられていました。それはベンチャー企業をあまり知らなかったこともありますが、おそらく親の教育からバイアスがかかっていたことも一要因としてあると思います。
フォースタのタレントエージェンシーサービスは現役世代である30代40代を中心にスタートアップにアサインしているのですが、そこで成功体験を積んでいただき、次世代につなげていくことができると思っています。また、投資事業やオープンイノベーションサービスも始まっていて、エコシステムの発展に寄与していけることがこの会社の好きなところですね。
―拡大させるのに人が多く必要だとおっしゃいますが、どんな人と働きたいですか?
基本的にはフォースタのビジョンに強く共感している方、覚悟を持って働ける方がいいですね。逆にスキルや技術は後から自然についてくるものなので。まずは熱量持っていることと、現実的に働く上で必ず壁には何度もぶつかっていくと思うので、それを乗り越えられるか人であるかが大事です。特にコーポーレートの採用に関しては、自分の考えをしっかり持っている方を求めています。YESマンは全く求めていなくて、経営の意思決定に関してどれだけ選択肢を与えられるかが、コーポレートの大事なことだからです。
―最後にこれから管理部門で働くことを考えている読者にメッセージをお願いします。
会計士は多方面に活躍している人が多い印象です。固定概念に囚われず、色々なメディアや人の話から多くの情報を手に入れることが大事と思っています。公認会計士さんだなと言われることは個人的には好きではなく、アドバンテージを活かしつつ、固定概念に囚われずに自分なりの生き方を探し、チャレンジしていくことが大事なのではないかと思います。これから社会に出る方は、何を学ぶのかをしっかり決めて、目の前のことをしっかりやっていくことが大事と思います。
―本日は貴重なお話ありがとうございました。
今回お話しさせていただいた、菊池氏がコーポレート本部長を務める
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