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会計を「活かす」ことで、経営に対して影響を与えたい。中小零細企業に寄り添い、支援する。税理士山中氏が語る経営管理の重要性とは?

HUPRO 編集部
会計を「活かす」ことで、経営に対して影響を与えたい。中小零細企業に寄り添い、支援する。税理士山中氏が語る経営管理の重要性とは?

地元の茨城県・神栖市の税理士事務所に8年間勤めた後、山中税理士事務所を独立開業。現在は「会計を経営に活かす」という軸のもと、中小零細企業を支える山中氏にHUPRO編集部がお話を伺いました!

2010年 大学卒業後半年間勉強に専念
同年 地元の税理士事務所に入所
2018年 税理士試験に合格
2019年 follow accounting 山中税理士事務所を開業

税理士試験合格までの道のり

―まず、税理士を目指されたきっかけを教えてください。

高校生の時に、漠然と将来に不安を覚え、自分はどんな職に付けばよいのだろうなと考えた時がありました。

その時にたまたま目に留まったのが「税理士」でした。
調べてみると「収入面の条件も良いし、安定している。税理士という響きもかっこいい。税理士を目指しても良いのでは?」と単純な理由で目指し始めました。

その後、簿記の勉強をするうちに「会計」のことがどんどん好きになってしまい、「税理士になる」という意思が明確に固まっていきました。
大学3年の夏にWeb通信の資格予備校に申し込み、本格的に税理士の勉強をスタートさせました。

―税理士になるためには、どのような勉強をされたのですか?

在学中に簿記論と財務諸表論の2科目に合格しました。
9月に税理士試験があるため、大学卒業後は就職せずに、法人税法に絞って勉強を行い、一発で合格しました。

その後、税理士事務所に週3勤務のアルバイトとして雇って頂き、働きながら所得税法の勉強を続け、こちらも一発で合格しました。

ただ、ここからが大変でした。

「所得税法」合格後は、税理士事務所でフルタイムの勤務となったのですが、自身にお客様に対して商品を提供&提案するスキルが足りないという想いがあったため、勉強よりも実務で必要なスキル習得に力を入れるようになりました。

結果、勉強時間の確保が難しく、勉強していた「消費税法」科目でなかなか合格することができませんでした。

実務にも慣れてきて余裕が出てきたころに、「消費税法」の勉強がおもしろくなかったこともあり、科目を「相続税法」に変更しました。相続税法は3年間勉強して合格することができました。

地元の税理士事務所で8年間勤務

―税理士事務所で8年間働いたとのことですが、勉強で学んだことと実務のギャップを感じたことはありましたか?

実務を行う上で会計や税法の知識は土台として必要なので、税理士試験は実務と直結する内容だとは思いますが、試験勉強の場合、必要な数字が初めから与えられています。

しかしながら実務では、試験で与えられていた数字を、まずは集めるところから始める必要があります。この点に大きくギャップを感じました。

「数字を集める」というスキルは実務で学んでいくしかありません。私も税理士事務所にて働く中で、だんだんと身に着けていきました。

―実務を通してスキルを身に着けたとのことですが、勤めていた税理士事務所ではどのような仕事をしていましたか?

私が勤めた事務所では、「税務書類の作成」や「記帳代行」などの一般的な税理士補助の仕事以外にもさまざまな業務を経験させて頂きました。

例えば、お客様へ提供する「経営支援サービス」の設計から立ち上げまでに携わせて頂いたり、「事務所の業務効率化の内部改革」の担当リーダーに選出して頂きました。

新しいことにチャレンジしやすい環境だったと思います。ここでの経験は私の土台となり、独立後の今も業務に活きています。

―その事務所をえらんだきっかけ・理由は?

税理士事務所は地元の茨城県・神栖市にある事務所を探しました。
神栖市には税理士事務所自体が少なく、HPがある事務所は2.3件ほどしかなかったことを覚えています。

探すタイミングでは独立をイメージしていたため、「税理士として独立するために、実務を積めること」を第一に、規模の大きいお客様の多い大手事務所ではなく、中小零細企業をお客様として幅広くスキルを学べる事務所を選びました。

中小零細企業を支援するために独立

―税理士事務所で8年間勤めたのちに独立されたということですが、なぜ独立しようと考えたのですか?

「会計を経営に活かすことのできる中小零細企業を増やしたい」という気持ちが強く、これを自分のやりたいように成し遂げたいと考えたためです。

組織にいると、どこかで自身の考えのままに行動することができない場面に直面します。「自分のやりたい事を自由に前に進めたい」と強く感じた段階で、独立に向けての行動をスタートしました。

―現在はどのような仕事をされているのですか?

会計を経営に活かすということを軸として、主に3つの業務を行っています。

①決算や税金関係の手続き代行や税金の相談、提案を行う「税務支援」
②毎月の会計数字の作成、経理業務の効率化、会計ソフトへの入力代行を行う「経理支援」
③経営計画を一緒に作成し、効果のある運用を行う「経営管理支援」

特に③「経営管理支援」は幣事務所のミッションに直結した特徴的なサービスです。

「経営管理支援」は経営計画をお客様と一緒に作成し、効果のある運用を行います。
会計に関して、一般的な税理士事務所の仕事(通称:作る仕事)ではなく、経営に「活かす」仕事になります。

経営面に関しては、将来や周りを見ながら考え、課題を出し、解決するために意思決定をするきっかけの場を提供することで、経営全体をよい方向に進めるための流れを生みだします。
会計面に関しては、経営に会計視点を加えることで、より安全に経営をよい方向へ進めることができるようにします。

変化が激しい現代では、ビジョンや計画なしに経営を行っていると世の中から取り残されてしまうかもしれません。

効果や必要性を知っている大企業は、会計のプロと一緒に経営管理を行っていますが、中小零細企業にはまだまだ広まっていないのが現状です。そのため、中小零細企業にも先を見据えた経営をしてほしいという想いのもと、サービスを提供しています。

―独立後、大変と感じることありましたか?

すべてを自分で行う必要があるため、独立当初は商品の仕組みを作るのが大変でした。
この仕組み作りは、前の税理士事務所で携わった「事務所の業務効率化の内部改革」の経験が活きました。

大変なこともありましたが、方向性を自分で決められるためやりたいことを自由にできています。

「経営管理支援」に関しても、前職も含め運用開始から5年ほど経ちました。提案や運用を行うたびに、成果を生み出すためのプロセスやコンセプトが固まっていくのを実感しています。

ーやりがいを感じる瞬間はどんなときですか?

経営に対してよい方向に影響を与えることができた時です。

経営に正解はないですし、やってみないとどのような影響が出るのか分かりません。
自分が存在していたことによって、経営の分岐を与えられ、お客様の経営がよい方向に進んだときはやりがいを感じます。自分が居なかったら、その分岐自体が生まれていないので、それを実感できた時は嬉しいですね。

「経営管理支援」を全国に

―5年後、10年後、どのような展望を考えていますか?

「経営管理支援」をオンラインで全国に広げたいと考えています。現在、新型コロナウイルスの蔓延やリモートワークの導入により、Webを活用する機会が増えています。

これをプラスに捉え、「経営管理支援」をオンラインで全国の中小零細企業へ提供するサービスを開発しました。

今後は会計を経営に活かすことのできる中小零細企業を1社でも多く増やすために、オンライン環境を活用し、経営管理の必要性を広めていきたいと考えています。

―事務所の運用としてはどのようなこと展望を考えていますか?

現在は1人で税理士事務所を運営していますが、今後は人材を採用して活動の幅を大きくしていきたいと考えています。
以前、地元で大きくしたいと考えたのですが、神栖市は人口が少なく、なかなか人材が集まりませんでした。

そこで今後は、地元だけではなく、全国から完全在宅(フルリモート)で働ける人材を増やしていこうと考えています。
これは「経営企画支援」をオンラインで販売している弊事務所だからできる取り組みです。

オンラインで商品を販売し、フルリモートで働ける環境で全国から商品を提供できる方を採用し、経営管理支援を広く提供することのできる組織を目指しています。

―最後に、今後士業を目指す方に向けたメッセージをお願いします。

昨今の税理士業界ですが、「税務」や「会計」の作る仕事は、クラウド型の会計ソフトのように「自動化」が進み、単価が下がる傾向にあります。

そこで弊事務所の「経営管理支援」のように、新しい取り組みやサービスを提供する事務所が増えています。作る仕事の自動化が進むことにより新しいニーズも生まれ、作る仕事以外にも新しい仕事が生まれているように感じます。

もちろん「税務」や「会計」の作る仕事も経営にとってなくてはならない重要な仕事です。しかし、作る仕事以外のニーズが生まれていることも確かですので、作る仕事以外に何か強みとなるものが持てると強いと思います。高度税務、経営支援、業務効率化支援、税務会計に関連があってニーズがあるものであればなんでもよいと思います。

作る仕事以外の強みを持つためには、試験勉強だけでなく、研修や本、実務などから積極的に情報を収集し学ぶことが大切です。

自動化の流れにより、仕事がなくなるどころか、新しい仕事が生まれている。税理士の将来は決して暗くないです。

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

今回お話いただいた、山中恭平氏が代表を務めるfollow accounting 山中税理士事務所のHPはこちら!
follow accounting 山中税理士事務所

この記事を書いたライター

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