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「会いたくなる、会計事務所」をコンセプトにコミュニケーションを重視して、お客様と一体となって企業を成長させてゆく、税理士・公認会計士 島村修平氏のキャリア遍歴

HUPRO 編集部
「会いたくなる、会計事務所」をコンセプトにコミュニケーションを重視して、お客様と一体となって企業を成長させてゆく、税理士・公認会計士 島村修平氏のキャリア遍歴

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツとデロイトトーマツ税理士法人で約10年間実務経験を積まれた島村氏。2019年に島村修平会計事務所を設立し、「会いたくなる、会計事務所」をコンセプトにお客さまから会いたい、話したいと思ってもらえる事務所作りを目指されています。そんな島村氏のキャリア遍歴に迫ります。

【ご経歴】

2007年 公認会計士試験2次試験合格
監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入所
2012年 税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)出向・転籍
2016年 デロイトトーマツ税理士法人 退所
2017年 大阪市内の中小税理士法人 設立
2019年 大阪市内の中小税理士法人 退社
2019年 島村修平会計事務所 設立

会計士を目指してからトーマツでの経験

―公認会計士を目指したきっかけは何ですか?
いきなりお恥ずかしい話なのですが、特に理由もなく大学を7年も通ってしまい、就職活動もスムーズにはいかずどうしたものかと考えた結果、資格を取る道を選びました。あらゆる資格の中、社会人として最も成長できる資格は何か考えた結果、さまざまな会社のことを深く知ることができる会計士という仕事に魅力を覚え、大学7年目の24歳から勉強を始めました。

―会計士試験を1発合格したとのことでしたが、当時の勉強方法を教えてください。

会計士試験の勉強を行う専門学校に通っていたのですが、専門学校の友人たちに恵まれたことが合格の一番の要因でした。クラスのメンバーで分からないところを教えあったり、勉強のストレス発散でたまに飲みにいったりもしていました。教えることは理解を深めるスピードが上がることから、私の周りの友人は皆 1~2 回目の受験で合格ができました。

会計士の試験は計算問題と理論問題があるのですが、私は理論問題が当時苦手でした。勉強当初は丸暗記に近い形で勉強をしていたのですが、応用問題に対応できなくなり、途中で5W1H を意識した、背景を理解する勉強方法に変更しました。あとは基礎的な流れ、考え方をしっかり理解した上で、その後で細かい点を覚えていく、というような勉強方法が僕には向いていたと思います。

余談ですが、現在私は関西大学の非常勤講師として、当時苦手だった監査論という科目を、会計士合格を目指す大学生に教えています。当時苦手だったものの、仕事を通じて理解し、今や教えられるレベルにまでなりました。今はもちろん、苦手ではないです。

―監査法人トーマツを選らんだ理由は何ですか?
各法人の特徴を調べたところ、トーマツは最も厳しいという話を聞きました。一方で上場準備にも強いと聞いていたので、厳しい反面いろんなことを学べるのでは、と思いトーマツに絞り面接を受け就職しました。2007 年のことでしたが、当時会計士の合格者が大変多い年で、内部統制監査や四半期レビューの開始という流れもあり売り手市場でした。試験や就職活動は時代に助けられたところが大きいです。

監査法人での業務は、上場会社や上場準備会社の監査業務、デューデリジェンス業務などの仕事がメインでした。入社同期が多かったので仕事の割り振りは重くなく、仕事量はそこまで多いとは感じず、1~2年目はもっと仕事をしたいと思っていました。

―入社以降の勉強はどのようにされたのでしょうか?
上司先輩同僚だけでなく、お客さまからも含め現場で色々経験して学ぶことが多かったです。具体的には、私が良く監査で伺う会社の経理の方が税金の話が好きで、会社の経理の方が専門家にどのような役割を期待しているのかを知ることができました。そこで感じたお客さま目線を意識した専門家業務のイメージが、その後のキャリアに大きく繋がっていますし、独立した今も、当時からのお客さまとは長いお付き合いをさせていただいていることが多いです。

―その後、方向性の悩みでグラフがやや下がっていますが、何があったのでしょうか。
監査の仕事をこのまま続けるのか悩みました。悩みというよりは今後のキャリア形成を考え始めた時期でした。そして 4 年半在籍した監査法人から、よりお客さまに近い仕事だと思えた税務業務を行うためにグループ内の税理士法人への出向を希望し、そこでも 4 年半経験を積むことができました。

出向後は税務申告書の作成、税務顧問業務としての相談対応、連結納税導入支援や組織再編コンサルティングなどを行いました。その中で、会計士と税理士の仕事の違いを大きく感じました。ここは苦労した点でもあります。会計士は大局的な目線で仕事を行う一方、税理士は緻密な業務も行う必要があるため、そのギャップに驚きました。

また、会計士試験で求められる会社法などを除き、これまで法律というものに深く関わったことがなかったのですが、出向直後に当時の事務所所長に税法六法を読み込むことを勧められ、内容は分からずとも税法を読み通すところから修行が始まりました。平成 24 年版の税法六法はマーカーだらけになっていますが、この六法は今でも宝物です。

その後、税理士法人内でマネジャーになることができました。出向当時、税理士としての仕事ができないと思われることが悔しく、法律や書籍を読んだり、色々な仕事にチャレンジしたり、色々な方とたくさん話をして、頑張った結果が認められたのかと思うとものすごく嬉しかった思い出があります。

―当時のやりがいはどこに感じていましたか?
専門的スキル、ソフトスキルのいずれにおいても自分の専門家としての能力が上がっていくことに実感が持てました。また、一緒に働いていた仲間ともタフな仕事ではあるものの、能動的に、明るく働けたことは良かったです。

約10年勤務したトーマツの退職

―独立した経緯を教えてください。
家庭の事情もありトーマツを退職し、併せて独立しました。その後半年ほどして落ち着いたときに、とある先生からお声かけいただき、共同代表として税理士法人を設立しました。そのままトーマツで頑張る楽しみもあったのですが、独立にも興味もあったので流れに身を任せる形で進んでいきました。その後共同代表の先生とは方向性の違いもあり、袂を分かつことになり、2019 年、38 歳で今の個人事務所を構えることになりました。

―個人でやっていくうえで大変な点はありますか?
私自身は不安を感じるタイプではないのですが、妻が心配していたので、独立前に家族に対して事業計画を説明する点だけ大変でした。事務所開設後は私と事務員さんの 2 人でのスタートだったのですが、事業に対してはありがたいことに色々とお仕事をいただくことができています。お客さまとのご縁は、元々お付き合いのあった方々や、ご紹介などでご契約いただくことが多いです。

―仕事に繋がるようなどのような人間関係を築かれているのでしょか?
仕事に繋ぐことはあまり意識しておらず、税金や会計といった仕事の話はそんなにしていないかもしれないです。もちろん相談されたポイントはしっかりお答えしますが、それよりも、ご相談いただく方に、この人なら安心して相談できる、また会いたいと思ってもらえるような会話・雰囲気づくりを心掛けています。

「会いたくなる、会計事務所」島村氏が目指す新しい会計事務所

―会計事務所と、もう1つ合同会社は何をされているのでしょうか?
一言でいうとコンサル会社なのですが、お客さまに対して税務顧問にとどまらず、CFO のような形で深く接するお仕事をする会社となっています。

お客さまからのご相談は、税金をひっくるめた財務や経営と多岐にわたり、特に人で悩まれている方が多いです。もちろん社労士さんなどにお任せしなければならない話もありますが、基本的になんでも話していただけるような、経営者の良き相談相手になりたいと強く思っています。

そのためには税務業務だけではなく、より経営の深いところまで関わることを意識した取り組みが大事と考えています。事務所としても、お客さまの数を増やすより、既存のお客さまに、さらにどのようなサポートが出来るかのほうを常に考えています。

―多岐にわたる仕事内容で知識のアップデートはどのようにしていますか?
専門分野は条文、専門書籍や出所の確かな記事を読み、専門知識以外はインターネット、SNS で例えば IT ツールの最新動向の確認などをしています。

―今の仕事のやりがいは何ですか?
お客さまと同じ目標に向かって仕事を行うことです。コンサルという表現だと教える側というイメージがついてしまいますが、我々の業務は教えることがメインではなく、お客さまの目指しているところにたどり着くように一緒に進む車になることだと思っています。お客さまが目指す目標にどうたどり着くかを、お客さまと一緒に考えることで、より絆が深まっていると感じます。目標に近づいているとき、そして達成したときにやりがいを感じます。

今後のビジョン、会計士を目指す人への助言

―今後のキャリアについて教えてください。
事務所を大きくしたいとは全く思っておらず、今のやり方で徐々に規模が増えていくくらいでいいかな、と思っています。その中でうちのスタッフ全員がお客様に対して未来の話がし、伴走ができ、やりがいを感じられるような事務所にしたいです。私自身は、お客さまから会いたい、話したいと思ってもらえるかがポイントだと思っていますので、そのためにどのような会計士、税理士でいたらいいか考えて続けています。

―キャリアに関して悩んでいる方にアドバイスをお願いします。
会計関係の仕事は知識経験の蓄積といった面で大変ですが、やりがいに溢れています。会計業界の仕事はもっとなりたい職業として、目立って良い職業だと思います。会計士、税理士を目指している方は、そのまままっすぐ頑張ってほしいです。

決算書を作ることなど機械的な部分もまだまだありますが、その先どのように会計情報を利用するかを考えることでお客様が喜んでくれます。決算書が作れるということは将来の計画も作れるはずなので、そういう方が増えていくと会計業界は盛り上がってくるのではと思います。

―独立と事業会社に勤めるキャリがありますが、どのような違いがありますか。
どちらも魅力的な方法ですが、一般事業会社で働いている友人を見ていると組織の中で自分の力を発揮しながら、計画的に働くことが出来ることは魅力的です。自分の好きな企業で働くなど、企業に入った目的に合う仕事が出来ると思います。

独立については、自主的に動けるので楽しいです。私の座右の書である「7 つの習慣」という本にも、自主的に行動するということが大事と書かれています。独立は自分で選んで行動していますので、周りからどう見えているかはさておき、楽しんで人生を過ごしている人が多いイメージがあります。

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。
今回お話を伺った税理士島村修平氏が代表を務める
島村修平会計事務所のHPはこちらTwitterはこちら

この記事を書いたライター

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