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「多くの人は“仕事”ではなく“作業“してしまっている」グローバルウェイCFO赤堀政彦氏が仕事において大切にしていることとは

HUPRO 編集部
「多くの人は“仕事”ではなく“作業“してしまっている」グローバルウェイCFO赤堀政彦氏が仕事において大切にしていることとは

株式会社グローバルウェイの取締役コーポレートサービス本部長赤堀政彦氏は、新卒でサイバーエージェントの子会社のシーエー・モバイルに入社し、資本業務提携を担当されました。その後セレンディップ・コンサルティングに転職し、投資先でCFOとしてご経験を積み、同社取締役にも就任されました。そして、2020年にグローバルウェイ取締役に就任。同社に入社されるまでのキャリアパスや入社の背景、同社での経験、今後の展望などについてHUPRO編集部がお話を伺いました。

【ご経歴】

1985年 愛知県出身
2009年3月 慶應義塾大学 経済学部卒
2009年4月 株式会社シーエー・モバイル(現:株式会社CAM)入社
2010年9月 セレンディップ・コンサルティング株式会社 (現:セレンディップ・ホールディングス株式会社)入社
2016年3月 同社取締役就任
2018年6月 株式会社MIEコーポレーション社外取締役就任
2019年5月 株式会社マネジメントソリューションズ入社
2020年6月 株式会社グローバルウェイ 取締役就任(現任)

大学生の頃から目指したCFOになるまでの道のり

ー初めてCFOになりたいと思ったのはいつ頃ですか?

大学生の時に「将来何の仕事をしたいかなあ」と考えた時に、M&Aという言葉を聞き興味を持ちました。そして、M&Aに従事した延長線上にCFOという仕事があり、単純に格好いいなあと思いました。それで、M&Aとかファイナンスの仕事をしていたら早くCFOの役職に就けると、学生ながら思いまして。今から思うと幻想も甚だしいですけど(笑)

ーいつから就活や勉強を始めた?

大学4年の時に1年間シーエー・モバイルという会社でインターンで働いた経験があります。その時の上司に「会計・税務の勉強をして、法律の勉強をして、事業の勉強をして」と口が酸っぱくなるほど言われまして…。本当に勉強することが沢山あるんだなあ、と感じました。M&Aに関する業務や意思決定をする上では様々な判断材料が必要ということだったのですが、そのときは何も知らなかったです。そんな状態から勉強し始めましたね。

ーそのままシーエー・モバイルに入るものの、1年で辞められています

証券会社やコンサルティングファームなども受けていて、いくつか内定はいただいていたのですが、シーエー・モバイルでなら、事業会社におけるM&Aの仕事という他ではあまりやれないことをやれると聞いて、入社を決めました。しかしリーマンショックの影響で所属していた部署がなくなってしまいました。もともと自分のやりたいことができそうで入った会社だったのですが、徐々に規模が縮小されていって、最終的には部署がなくなって異動ということになってしまいました。そんな出来事があったので、自分が今まで継続してきた仕事を続けたいと考えて会社を辞めることにしました。

ーその後にコンサルティングファームに転職されていますが、どのような経緯だったのですか?

転職をするタイミングで、大企業で働くよりも、自分の裁量が大きいベンチャー企業に入って様々な業務にチャレンジできる環境の方が良いなあと思っていました。実際にセレンディップ・コンサルティング(現セレンディップ・ホールディングス)という会社に入ったのですが、僕が入った当時は売上も従業員数も小さな会社でしたので、目論見どおり早い段階で色々な仕事にチャレンジさせてもらいました。

ーこの時にCFOとしても活動されるのですか?

はい。入った当初はコンサルタントとして働いていましたが、あるとき社長から「投資する企業のCFOをやってみる?」という打診を受けて挑戦することに決めました。ただ、今まで経営企画とM&Aしかしたことがなかったのに、いきなりコーポレート部門全ての責任者になってしまいました。経理も人事もやったことがない状態なのに、役員としての意思決定を求められました。役職と自分の能力の差分を埋めるために、毎日知識をインプットして、翌日には実践して、課題を改善して、それまでのキャリアの中でも大変な日々を過ごしていました。ただし、すごく成長できるという点では、いい環境にいたと思います。

ー当時はどんなお仕事をなされていたのですか。

色々な事業でオーナーチェンジを望んでいる企業を探して投資を行い、その投資先にハンズオンとして入り、常勤CFOとして会社経営を行い、更なる成長のために新たなパートナーにバトンタッチするということを2社ほどやっていました。そうやっているうちにセレンディップの方でも取締役になって、投資部門やコーポレート部門を見させてもらうようになっていきました。その後はセレンディップが投資する会社やその先にいるメンバーと一緒に、投資や改善をしていましたね。

ー他社に入って仕事をする上で、大変だったことなどはありましたか?

毎回新しい会社に入るのは新鮮な経験ができる一方、大変だとは思います。感覚としては転職するのと同じようなものなので。ただ、自分の実力以上の役職に就くこともあって。それでもその役職としての責務は全うしなければならないので、その点では経験が少ないうちは大変かもしれないですね。

赤堀氏が考えるCFOの仕事とは

ーそんな中で、CFOの役割をどんなものだと考えていますか?

企業の中ではビジネスとコーポレートという要素があると思うのですが、その中でもコーポレート面の方を中心に考えていくのがCFOだと思っています。コーポレート部門だけではなくて、ビジネス面も理解したうえで、コーポレート部門を見ていくこともCFOの役割の一つですから。逆に、ビジネス面を中心に考えていたらCOOですし、会社全体のストラテジーやマネジメント面を中心に考えていたらCEOという風に捉えています。

ーなるほど。ではそんな仕事をする中で大切にされていることはありますか?

『当たり前の”仕事”を一つ一つやり切る』ということですかね。実は”仕事”をしている人って結構少なくて、作業をしている人がほとんどだったりします。例えば、関わっている企業の業績が赤字だとしたら、その原因はいくつもあるはずです。だけど、その原因をそのままにして毎日同じ作業に一生懸命になっている人もいます。本人たちは仕事をしている認識ですが、それは本質的には作業であって、仕事じゃないです。課題を見つけ、その一つ一つをしっかりと改善していくことが大切だと思っています。当たり前のことですけどね(笑)

ー具体的にそういう事例などはありますか?

例えば、初めて取締役CFOとして、60店舗ほど展開しているベーカリーチェーンの再生に関わったことがあります。そこでは仕入れから物流にかかわるオペレーションを全て自分たちで契約して運用していました。その企業の規模からすると、それではコストパフォーマンスも良くないしオペレーションも回しきれない。なので、そういう部分をワンストップで運用できる体制を構築することにしました。そうすることで全てシステマティックに管理できますし、負担が減ることでパン作りに注力できます。無駄の多い大変なオペレーションを続けること、つまり”作業”を”仕事”だとがむしゃらにやっていても会社は変わらなかったと思います。業務オペレーションを改善したことで、実際に大幅な業務効率化や費用最適化に成功しました。

従業員を育てる立場になってみて

ー現在は従業員を育てる立場としても活動されているかと思いますが、実際にやってみていかがですか?

はじめのうちは大変でしたね。元々僕は自分よりも他人が大変かどうかの方が気になってしまう人間なので。人によってコンディションも、コミットメントも、ライフスタイルも全然違うわけじゃないですか。そんな中でどのようにして同じ方向を向かせていくのかというのは難しい問題でしたし、今も課題に感じています。特にこのコロナ禍で働くスタイルが多様化していますからね。

ーそんな中で赤堀さんはどんな事を意識されているのですか?

きちんと課題感を話し合って、必要なチャンスを与えること、そしてしっかりとフォローすることですかね。昔は物事が進まないのは全て自分の責任だと思っていたところがありました。だけど上司から言われたのが「成長するのに必要なチャンスを与えた上で、そのチャンスを掴むために頑張るか頑張らないかは本人次第」ということ。それを言われてから随分と肩の荷が下りたように感じましたし、部下を育てていく上での考え方の一つにもなっていますね。

ーたしかに行動するかは自分次第ですよね

頭が良い人とか、すごいアイディアを持っている人とかは沢山います。でも、僕を含め世の中の大半の人は普通。そして普通の人は、日々与えられた仕事を”作業”としてこなす人がほとんどです。毎日を漫然と過ごすのではなく、「5分早く終わるように効率化しよう」「少しずつでも見栄えをよくしよう」という”仕事”を考えていくことは大切で、それを意識してやっていくことで、時間が経った時に大きな差が生まれます。ただそれを継続することは難しいと思います。だからそれを手を抜かずにやっていけるかどうかがすごく大切だと思っています。

ー確かに継続って難しいですよね。実際にそばで見ていて、未経験から伸びていく人の特徴などはあったりしますか?

新卒などから、という事ですかね。やっぱり前向きに物事を考えて、自分で何かを変えていける人です。やはり素直に自分のミスを認めて変えていける人や主体的に考えて動ける人というのは、やはり成長が早いと思います。それから、未経験であっても「自分がやりたい」ことを明確に伝えていくことも大切です。言葉で伝えていかないと上司も部下が何をしたいのか分からないですからね。

赤堀氏のこれから

ー赤堀さん自身の今後についてはどう考えていますか?

どういう形になるかは別として、チャレンジできるような環境に身を置いて働いていきたいですね。自分が仕事をしていく中で、新しいチャレンジで自分の価値を提供して成果が出るような状態でありたいと思っています。何かを生み出すことに対して貢献できる人でありたい、という感じですかね。

あと、ジェネラリストとしてのスキルを上げていきたいと思っていて。それは例えば投資銀行の方にはファイナンスの専門性があり、比較すると僕にはその専門性や経験がありません。逆に広範囲な知識や経験を持っているから、総合的に見ればより活躍できる機会が増える、みたいな。自分自身を分析してみた時にそういう形が良いように思っていて、であるならばそこを伸ばしていきたいと考えています。

ーなるほど。そんな中で転職などは考えていますか?

それに関してはそこまでは。ただ、厳しい環境に身をおいていくというのは大切にしていこうと思っています。例えば変化のない環境や周りからの影響が少ない環境で働いていると、学ぶ機会や尊敬できる人物に出会う機会が少ないかもしれません。というか、そもそも自分と同じような境遇の人物に出会うこと自体が少ないかもしないです。でも自分から環境を変えることで学ぶ機会や尊敬できる人物に出会うことはできます。そんな中で自分と同じかそれ以上のレベルの人と触れ合って、示唆や刺激をもらうことによって成長できる可能性もあるなと感じています。

ー厳しい環境に身を置き続けるのは大変なことだと思うのですが、そういうモチベーションっていうのはどこから?

「自分ができないことにムカつくから頑張る」というのは、1つかもしれないですね(笑)自分よりも経歴がすごい人とかやっぱり沢山いて。それは先程の「厳しい環境に身を置いた」結果なのだけど、そういう人と仕事をしていると同じ視座の意見をぶつけないといけない状況になるので、自然とモチベーションも湧いてきますよね。

ー確かにそういう感情は大切ですよね(笑)育てる立場としての方針などはありますか?

そうですね。先程話したような、主体的に「仕事」ができる部下を増やしていって、それを積み重ねていこうと思います。そのうえで専門性を活かして新たなチャレンジをしていくことで、組織としてもより良くなっていけると思うので。

ーありがとうございます。最後にこれからコーポレート部門の仕事を志す読者に向けて一言をお願いします

もし未経験でコーポレート部門の仕事に興味を持っている人は、初めから無理にコーポレート部門の仕事に就こうと考えなくても良いと思います。ビジネス部門で働いてその事業を考え理解した上で、コーポレート部門について勉強していけば良いのではないでしょうか。初めからコーポレート部門だけで専門性をつけようとしても、事業に興味がない、分からない等が原因で上手く行かないこともあると思っています。

とにかくコーポレート部門だけにこだわりすぎず、事業に対して興味を持つことから始めてみてください。ビジネスモデル、業務プロセス、収支構造等のあらゆる角度の見方について、財務経理や人事総務等の視点から会社を改善していくのがコーポレート部門の仕事です。やはり、知識だけ持っているのと、現場を見て学ぶことは違うと思います。現場で実際に事業に触れてみて、そこで体験する一つ一つの意味を理解しながら頑張っていければ良いのかなと思います。

ーきっと読者にとっても貴重なアドバイスになると思います、ありがとうございました!
今回お話させていただいた、赤堀氏がCFOを務める
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この記事を書いたライター

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