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経営とは人を育てること。親心で社員の人間性の土台を作る!G.S.ブレインズ税理士法人 代表 近藤浩三氏の語る「人づくり」の重要性

HUPRO 編集部
経営とは人を育てること。親心で社員の人間性の土台を作る!G.S.ブレインズ税理士法人 代表 近藤浩三氏の語る「人づくり」の重要性

プロのバンドマンを目指したこともあった大学時代から、社会に認められてこそ本当の自由を手にすることができるという明確な目的を持って税理士になられた近藤浩三代表。

様々な業種・規模の企業をコンサルティング・支援する中で、お客様に付加価値を提供し続けるにはスタッフの「人づくり」とマネジメントスキルが欠かせないという結論に達し、「全スタッフの物心両面の幸福を追求」という信念を持って人財育成に注力する近藤先生の想いをHUPRO編集部が伺いました。

1982年 東京経済大学卒業
1984年 税理士資格を取得
1987年 税理士登録
1992年 税理士事務所開業
1993年 株式会社ブレインズ(現:成長支援コンサルティング株式会社)設立
2009年 GSブレインズ税理士法人設立

税理士試験の勉強2:大学の勉強2:バンド6で過ごした大学時代

-税理士を目指した背景やきっかけについて教えてください

私は北海道の北見の出身で、高校時代はほとんど勉強をしていませんでした。東京に進学・上京することを決めたときに、田舎から東京に出るからには何かでプロになってやるぞ!と意気込んでいたのを覚えています。

何でプロになるか、と考えた時に進学先の大学で会計士・税理士の資格取得を支援していることを知って資格取得を目指して勉強を始めました。大学の授業とは別に簿記の勉強をしながら、税理士・会計士に向けて勉強している人たちのグループにも入ったのですが、実際はほとんどの時間がバンド中心の生活。大学時代はずっと税理士試験の勉強2:大学の勉強2:バンド6ぐらいの比率で生活をしていました。

バンドでプロになることも考えたのですが、プロになるには、努力だけではどうにもならない、絶対的なセンスが不可欠。とあるミュージシャンを見た時にそれを痛感して、卒業前にバンドをきっぱりと止めました。

-バンドのプロではなく、税務のプロになることに決められたのですね

大学で自由にバンドをやっていたけれど、学校からも社会からも認められていなかったし、成功したわけでもない。単に好きなことをやっているだけの自由は続かない、認められない限り本当の自由は生まれないということに途中で気がつきました。

自由を得るための一つの方法論が、私の中では税理士になって認められることでした。大事なことは税理士になって、世の中の役に立って認められることなので、資格を取るのは当たり前。試験に受かるのがゴールではなく、受かった後のことをゴールにして取り組みました。大学卒業後に小さな会計事務所に就職を決めて、仕事の傍ら集中して勉強し、卒業の翌々年には税理士試験に全部合格、24歳で税理士の資格を取りました。
勉強時間は正直多くはないですが、他の人よりも早く税理士試験に受かった理由はゴールの設定とその意識が大きな差であったのではと思います。

企業の成長に欠かせないマネジメントができる人財育成

-税理士資格取得後はどんなキャリアを歩まれたのでしょうか。

個人事務所に3年、大手事務所7年勤務した後に独立しました。
独立した後は組織を作ることを目標にしていました。一人事務所が気ままだという方もいますが、一人の場合リスクも多く背負うことになります。自分が病気になったらお客様はどうするのか?そのようなリスクに対応できない中で、お客様に認められる価値は提供できない。そのような環境下にいることは、本当の意味での自由にはならないと感じています。
だからこそ私は、自由を得るためにも組織をつくることに注力してきました。

-G.S.ブレインズでは、社員に実務だけではなくマネジメントスキルも教育されているんですよね。

その通りです。現在士業事務所は多くが5人以下の事務所です。
資格を取って独立することはできるけれど、どうやって事務所の組織を作るか、どうやって人を育てるかというマネジメントの経験を持った方が士業業界には少ないため、人数規模においてもそれ以上にはなれない。その先で必要になってくるのは、マネジメントスキルです。
マネジメントはスキル。学べば習得できます。そのため現在、管理職にそのスキルを一から教えています。大企業は自然に大企業になったわけではなく、マネジメントできる組織だから大きくなった。そのレベルで事業を発展させるには、士業業界の越えなければいけない組織課題の壁があると思います。

現場実務の専門性とマネジメント。キャリアはこの二つで構成されています。
G.S.ブレインズは現場実務のオールラウンダーとして絶対的な経験を積めますが、同時に入社6年目ぐらいからマネージャー・管理職になる人財もいます。その人たちには現場実務に加えて、マネジメントも習得していただいています。

私はコンサルティング会社の経営者でもあるので、お客様にもマネジメントスキルをお伝えしてきました。これらのスキルを学び、実践できているお客様は確実に成果を出しています。ただ、士業業界ではそういった発想そのものが定着していないため、会計事務所でのマネージャー・管理職の育成には時間がかかるのも、また事実です。

-具体的にマネジメントスキルの教育とはどんなことをされているのですか。

育成したいのはオペレーションマネージャー、自分の担当を3割まで減らして7割はチームマネジメントをやれるような教育・研修をしています。
チームで100社のお客様を見ているとします。マネージャー・管理職が前線でお客様の担当実務を中心にやっていたら本気で見られるのは30社、後は点検するぐらいです。しかし、マネジメントを7割にすると、部下の担当も含めた100社が自分のお客様になります。部下の育成に時間が割けるようになり、同行を通じて100社のお客様に会うことも可能になります。数多くのお客様とお会いする中で、それぞれのお客様と信頼関係を築くことができれば、他のお客様をご紹介していただくことにも繋がります。部下のマネジメントに多くの時間を割けることは非常にメリットが大きいといえます。

これを「フルマネジメント化」と呼んでいますが、この体制を作ることによって一人で自己完結する専門職の組織ではなくなります。そして、マネージャーの立場で成功する人は、独立して成功する税理士と同じ素養を持っていると考えられます。この教育は始まったばかりですが、社員一人ひとりが見違えるように成長しています。

-マネジメントスキルを意識するのは早いうちの方が良いでしょうか?

30代半ばくらいまではいろいろな仕事がオールラウンドでできた方がいいのは当然です。ただ、40代、50代になった時にマネジメントの経験がないと苦しくなります。実務のクオリティ維持で精いっぱいになりますから。また、マネジメントスキルを身に付けないまま独立という手段をとれば、その組織が拡大できる規模は限られてくるでしょう。

マネジメント経験を積むと、交渉力や営業力、部下育成力がどんどん高まります。大企業でも役職定年せずに昇進する人たちは実務力だけではなく、マネジメント力も持っています。それは士業業界でも同じことです。自分たちの業種は特別ではないことを自覚し、マネジメントができる人財を育てていかなければ組織の後退を招きます。だからこそ、実務力・専門力やマネジメントスキル、それを支える人間力を教えて育てます。社員一人ひとりの成長・成功を支援することが、会社の成長にも繋がります。

親の気持ちで、見返りを求めず人を育てる

-経営者として、現在注力していることをお聞かせください

重要であるにも関わらず一筋縄ではいかないのはやはり人づくり、組織づくりですね。
どういう会社づくりをして、どういう人づくりをしたいのか。まずは経営理念という土台をしっかり作って、それから実務を教えていく。実務をやるためには当然お客様との人間関係の構築が必要ですので、それができる人としての土台を作ってあげなければいけません。

自分で考える力、仕事を組み立てる力、相手の立場を配慮する力。この3つの基本的な力をトレーニングで教えます。その上に実務とマネジメントを乗せていく感じ。これを浸透させることは困難も伴いましたし、否定的な意見も多くありました。

ただ、経営とは人を育てることだと思っています。おせっかいかもしれませんが、経営者は親みたいなもの。僕らは社員にいろんなことを経験させます。実務だけでは無く考え方も教えるから手間も時間もかかる。早く事務所の規模や事業を拡大したかったらこんな方法は取らないと思うので我ながら遠回りではあると思います。笑

-苦労を感じてもやりがいと思える原動力はなんでしょうか?

やはり、組織の成長と社員の成長を実感することではないでしょうか。人は何歳になっても成長できるし何歳でも課題を抱えています。場合によっては辞めていく人もいますが、本人が諦めず、気がついて壁を乗り越える姿を見ると嬉しいですね。話す言葉も行動態度も変わりますから。

人の成長がどこに表れるかというと、自分の取った言葉・態度・表情が相手にどう映っているかということに意識が持てるかです。思い通りにいかないときの言葉・態度・表情で人間性が分かります。それが意識できる人はプロ。逆にどんなに実務ができても、この点に鈍感・無関心だと、気づかせなければと思います。

-今後のキャリアに関して

自分の年齢が上がっていく中できちんと準備をして事業の承継するのは当たり前のことです。後継者を決めて、チームで経営をしっかりやっていける環境を作って、ある段階からは経営陣を支える側に回っていきたいです。事業承継の際に一番大事なのは事業を永続させること。働いている人たちの雇用を守ること。この二つは経営者として絶対的な使命です。

事業を永続させるためには成長をしなければなりません。事業の永続は増収増益の中にしかないと思っています。

そのために組織を盤石にし、高収益高賃金の企業にしたいです。生産性を上げ、付加価値を高め、収益力を上げる。生産性を上げるにはITシステムなどのデジタルを含めた対策が必要ですが、付加価値を高めるのは人。僕たちがやっている企業支援は付加価値力、つまり人を育てない限りできないので、それを可能にする組織を作らなければなりません。そして、得た収益を社員に還元していく。それが僕たちの経営理念「全スタッフの物心両面の幸福の追求」です。

-HUPRO読者に向けて一言お願いします。

組織の中には先輩や上司ですごく仕事のできる人がいると思います。そういう人たちは自分から見て非常に高いところにいる。その時に自分との距離感が遠いからと諦めるのではなく、自分も階段を一段一段上がっているということをちゃんと見つめてみてください。

仕事のできる人がいる場所へは3段4段で行けるわけではなく、場合によっては段差が9段ぐらいあるかもしれません。それでも、階段を上がっていく先に彼らはいます。楽な方に逃げたくなる気持ちも分かりますが、途中で諦めちゃダメだし、自分をダメだと思う必要もない。組織に入ったのであれば、階段を一つ一つ確実に上がっていくことがキャリアを積むということです。
組織の中で師匠を探すことは大事ですが、その距離間に焦ってはいけません。階段を上がるスピードは人によって違う。そのことを常に念頭において進んでください。

それから、行き詰まったときの原因は多くが受け身であることが多いです。言われたからやる。でも、何か起きた時に人のせいにして言い訳で逃げるという他責では行き詰まります。常に自分で考えて行動して、その行動に責任を持つ。自責で能動的になれば、停滞した状況から抜け出ることができます。思うように物事が進まないときは「自分は受け身でいるのではないか、原因を他人のせいにしているのではないか」と振り返り、自責で能動的な行動に切り替えていってください。そうすれば、きっと未来は切り拓けます。

-本日はお時間いただき誠にありがとうございます。

この記事を書いたライター

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