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社債の償還ってなに?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
社債の償還ってなに?わかりやすく解説します!

社債への投資金は、金利とともに、社債が満期となった際に一括で返還されるのが普通です。しかし、社債のなかには、満期を迎える前に償還されるものもあります。これを繰上償還と言います。繰上償還には様々なリスクが伴います。この記事では、そんな社債の償還について詳しく解説していきます。

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社債の償還

社債の償還とは、社債の償還日(満期日)前に、発行額の一部または全額を返還することを言います。「途中償還」「期中償還」「早期償還」」と呼ばれることもあります。

一般に、社債の償還期限は、発行時に予め決められていて、発行日から償還期日までの期間(年数)を償還期間、または償還年限と言います。

社債の償還には、「定時償還」「任意償還」という方法があります。

「定時償還」は、債券の発行者があらかじめ途中の償還日・償還額・償還方法を定めておき、それにより一定割合を定期的に償還していく方法です。定時償還は、社債など限られた債券の途中償還方法の一つで、発行者があらかじめ据え置き期間、途中償還額、途中償還日を決めておき、その条件に従って発行額の一定割合を償還していきます。

定時償還は、途中償還の一つで、発行者が予め据置期間や途中償還額、途中償還日を決めておく方法ですが、抽選によって償還する社債を決定する「抽選償還」、買い入れによって行われる「買入償還」、定額ずつ償還される「定額償還」などがあります。現在では、社債の場合、最終償還日に一括して償還する「満期償還」が一般的です。また、債券市場において、定時償還を行っているのは、地方債など限られたものとなっています。

一方、「任意償還」は、発行者の意志によって、一部または全部を償還していく方法のことを言います

社債の早期償還条項

社債のなかには、財務上の特約が設けられているものもあります。財務上の特約とは、社債の発行に際して、社債権者を保護するために発行会社に対して課せられた財務上の取り決めのことを言います

社債の中には、発行会社の財務面を契約で拘束することで、社債権者の地位を保全しているものもあります。発行会社に不測の事態が生じた場合に、その社債権者が他の債権者と比べて不利にならないようにするためのものです。

財務上の特約のなかでも、社債を発行する際の発行条件となる条項の1つに、早期償還条項というものがあります。これは、満期償還期限前の特定の日に繰上償還する権利を記した条項のことです。

投資家が、満期まで保有するつもりで社債を購入していた場合、繰上償還されてしまうと、他の債券などに投資しなおす必要が生じますが、その時点で同じ条件の債券等が購入できるとは限りません。

こうした繰上償還される場合のリスクを債券等の投資家が負うこととなるため、一般的には、繰上償還条項が付かず他の条件が同一の債券に比べて、早期償還条項付きの社債は、クーポン(利率)が高く設定されています

早期償還条項は、繰上償還条項、期限前償還条項、コーラブル(callable)条項などと呼ばれることもあります。

社債の繰上償還

社債は、定められた満期限よりも前に債券を償還することもできます。つまり、満期限よりも前に投資金が返還されることがあるのです。これを「繰上償還」と言います。繰上償還ができる社債は、予め繰上償還ができる旨が定められているのが普通です。

繰上償還の条項が付いた社債を早期償還条項付社債といいます。早期償還条項には、発行体の任意によって全部または一部が償還されるものと、あらかじめ条件を定めその条件を満たした場合に償還されるものがあります。

繰上償還ができるという規定を利用して、社債の繰上償還が行なわれた場合には、それぞれの債券の発行条件によって違いはあるものの、予定していた運用期間の途中で投資した資金が返還されます。そのような場合、その後、満期限までに得られたはずの利息が受け取ることはできなくなります。

したがって、投資家にとって、繰上償還のリスクとしては、予定外に運用期間途中で換金されるというリスクと、それに伴って得られるはずの利息などの機会損失が発生するリスクがあげられます

償還日に払い戻された金額と、購入したときの金額との差額が、利益(償還差益)または損失(償還差損)になります。

社債の繰上償還が行われる理由

社債の繰上償還は、社債発行会社の清算、合併などによって行われるのが普通です。

一般的には、金利低下にともない低利率の新債券に借り換えるための低利借款を目的として、繰上償還は実施され、この場合、償還価格にはプレミアムが上乗せされることが多いです。また、繰上げ償還は、発行者の償還負担を分散するのが目的で、償還期日に全額の債務を償還するよりも、事前に債券の一部を償還しておくことで、償還期日の支払いの負担を軽減することができます。

なお、社債の一部を繰り上げて償還する場合には、投資家の公平性を保つため、抽選によって行われます。

まとめ

早期償還条項付の社債は、クーポン(利率)が高く設定されていることもあり、投資家にとっては有利となるケースもあります。しかし、実際に繰上償還が行われると、それ以降の金利を受け取ることができなくなります。したがって、社債の繰上償還が行われる可能性があるのかどうかをきちんと事前にチェックしておかなければなりません。

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