合併の効力が発生すると、存続する会社においては変更登記を、消滅する会社においては解散の登記をしなければなりません。この登記手続きは、効力が生じた日から2週間以内に行う必要があります。この記事では、そんな合併に伴うて登記手続きについて解説していきます。
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合併(吸収合併・新設合併)が行われた場合には、消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させる必要があります。したがって、会社の権利義務の全部を継承させるための手続きが必要です。
株式会社が合併を行う場合には、合併契約を締結し、株主総会等によるその承認決議、債権者の異議手続を履行し、必要であれば株券・新株予約権証券等の提出に係る公告・通知を行って、消滅会社の財産等の存続会社・新設会社への引渡しを行い、合併の登記を行うといった一連の手続が要求されます。
会社法921条には会社が吸収合併したときの登記の手続きが以下のように示されています。
吸収合併が行われたときは、効力が生じた日から2週間以内に、本店の所在地において、消滅会社については解散の登記、存続会社については変更の登記をしなければなりません(会社法750条第2項)。
また、新設合併についても、吸収合併のときと同様に、消滅会社については解散の登記、設立会社については設立の登記をしなければなりません。ここで、合併の効力は、吸収合併の場合は合併の登記によってではなく、当事会社間で定めた一定の日である「効力発生日」に生じることに注意が必要です。つまり、合併の効力は登記によって生じるのでないということです。その一方で、新設合併の場合は設立の登記によって生じることになります。
合併においては、被合併法人の所有する不動産の名義変更登記が必要となります。特に、新設合併の場合には、合併当事会社がすべて消滅するため、すべての不動産が対象となり、登記費用が吸収合併に比して高額となります。
なお、吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない(第三者の善意・悪意を問わない)と会社法750条に規定されています。したがって、合併の効力発生日後、その登記前に合併消滅会社の不動産が第三者に譲渡された場合、合併存続会社は悪意の第三者にも対抗することができません。
管轄の法務局では、次のような項目が記載された変更登記申請書の提出が必要です。
消滅会社が法務局に提出しなければならない解散登記申請書は、存続会社が提出する変更登記申請書と同様に、吸収合併による効力が生じた日から2週間以内が提出期限となっています。申請書には、合併に伴う解散の理由と共に次のような項目を記入する必要があります。
合併の形態の一つである吸収合併の登記手続きは、法務局にて登記すべき事項などの必要書類を添え登記申請書を提出しなければなりません。
登記手続きに伴って登録免許税の支払いが必要となります。原則として、登録免許税は、資本金の増加がない合併であれば一律3万円となっており、資本金が増加した場合には増加分に0.0015を乗じた金額となっています。