企業が合併すると、合併会社は被合併会社の資産および負債を引き継ぐため、これらを引き受ける仕訳を行わなければなりません。このとき、時価などを基準として公正な価格で資産・負債を評価しなければなりません。この記事では、合併の際に必要となる仕訳の仕方について詳しく解説していきます。
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合併会社が被合併会社の資産および負債をすべて引き継ぎ、その対価として被合併会社の株主に対して株式等を交付します。これによって、被合併会社の株主は、新たに合併会社の株主となることが多いです。
吸収合併による場合、合併会社は被合併会社の資産および負債を引き継ぐため、これらを引き受ける仕訳を行います。このとき引き受ける資産および負債の価額、時価などを基準とした公正な価値となります。
被取得企業又は取得した事業の取得原価は、原則として、取得の対価(支払対価)となる材の企業結合日における時価で算定されます。支払対価が現金以外の資産の引渡し、負債の引受又は株式の交付の場合には、支払対価となる財の時価と被取得企業又は取得した事業の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定することになっています。
市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付される場合には、取得の対価となる財の時価は、原則として、企業結合日における株価を基礎として算定することになります。取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等)は、発生した事業年度の費用として処理することになります。
取得原価は、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産及び負債)企業結合時点の時価を基礎として、当該資産及び負債のに対して企業結合日以後1年以内に配分する。
受け入れた資産に法律上の権利などを分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、 当該無形資産は識別可能なものとして取り扱います。ここでいう「分離して譲渡可能な無形資産」とは、受け入れた資産を譲渡する意思が取得企業にあるか否かにかかわらず、企業又は事業と独立して売買可能なものをいい、そのためには、当該無形資産の独立した価格を合理的に算定できなければなりません。
分離して譲渡可能な無形資産であるか否かは、対象となる無形資産の実態に基づいて判断すべきですが、 例えば、ソフトウェア、顧客リスト、特許で保護されていない技術、データベース、研究開発活動の途中段階の成果(最終段階にあるものに限らない。)等についても分離して譲渡可能なものがある点に留意する必要があります。
取得後に発生することが予測される特定の事象に対応した費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、負債(企業結合に係る特定勘定)として認識します。この負債は、原則として、固定負債として表示し、その主な内容及び金額を連結貸借対照表及び個別貸借対照表に注記します。
取得原価が、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額はのれんとして会計処理し、下回る場合には、その不足額は負ののれんとして会計処理します。
企業結合の対価として、取得企業が新株を発行した場合には、払込資本(資本金又は資本剰余金)の増加として会計処理します。
なお、増加すべき払込資本の内訳項目(資本金、資本準備金又はその他資本剰余金)は、会社法の規定に基づいて決定します。
業結合の対価として、取得企業が自己株式を処分した場合には、増加すべき株主資本の額(自己株式の処分の対価の額。新株の発行と自己株式の処分を同時に行った場合には、新株の発行と自己株式の処分の対価の額)から処分した自己株式の帳簿価額を控除した額を払込資本の増加(当該差額がマイナスとなる場合にはその他資本剰余金の減少)として会計処理します。
なお、増加すべき払込資本の内訳項目(資本金、資本準備金又はその他資本剰余金)は、会社法の規定に基づき決定します。
以下の取引の仕訳を示しなさい。
A社の会計処理
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
諸資産 | 900,000円※2 | のれん | 100,000円※3 |
諸負債 | 200,000円※2 | 資本金 | 800,000円※1 |
※1諸資産の金額: @500✕1,600株=800,000
※2識別可能資産・負債の時価
※3貸借差額