株主名簿と聞くと、非常に堅苦しく難しい書類のように考える人もいらっしゃるかもしれません。しかし、株主名簿の作成そのものは難しいことでは無く、記載すべき事項も4つに限られています。今回は、株主名簿に記載すべき4つの事項について、会社法を用いながら詳しくご紹介致します。
株主名簿とは、会社法で定められている書類のひとつであり、株式会社においては、必ず作成しなければいけません。
株主名簿の目的は、株主情報の管理と株主の権利の保護です。管理や保護のために、株式名簿には一定の記載事項が求められています。
以降では必要な記載事項についてご紹介致します。
株主名簿の詳細については、下記コラムをご参照ください。
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会社法では、株主名簿の記載事項について、下記のように定められています。
第二節 株主名簿
(株主名簿)
第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
出典:会社法(平成十七年法律第八十六号)
上記の4つについて、確認をしていきましょう。
上記のように、会社法では記載事項を定めていますが、具体的な書式は定められていません。
必要事項が網羅されていれば、株式会社の独自のフォーマットで作成をすることが出来ます。
株主の氏名については、株主が個人の場合には氏名、株主が法人の場合は、法人の名称を記載します。
株主の住所については、株主が個人の場合は住所、株主が法人の場合は本社の所在地を記載します。
上記①の株主がそれぞれ保有する株式数を記載します。
株式の種類は普通株式と種類株式に大別されます。普通株式とは、これを所有する株主の権利について何ら制限を受けない、標準的な株式のことです。
一方で、株式会社は剰余金の配当などの内容について差異がある株式を発行することが出来、2種類以上の株式を発行した場合、株主の権利に制限のない標準的な株式のことを普通株式といい、それ以外の株式を種類株式といいます。
株式市場で一般的に売買されている株式は、原則としてその全てが普通株式です。
株主が保有する株式が普通株式の場合には、その旨を記載した上で所有株式数を記載します。
株主が保有する株式が種類株式の場合には、その種類別に株式数を記載します。
種類株式には、下記の9種類のものがあります。会社内での名称が下記と同様でなくてはいけない、という定めはありませんが、会社内で定めた名称と、同様の名称で株主名簿には記載をする必要があります。
株主のそれぞれが株式を取得した日を記載します。株式を取得した人は、一般的には株主によって相応の代金の払い込みが完了した日のことをいいます。
株式を発行している場合には、株券番号を記載します。
株券発行会社とは、その株式に係る株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社のことです。
2004年の商法改正前は、全ての株式会社に株券発行が義務付けられていました。
しかし、非公開会社の場合、株式の譲渡が頻繁に無い、上場企業のような株式の取引が頻繁に実施される会社の場合、株券発行費用の負担が大きいこと、大量取引の際に大量の株券を移動させる場合に危険を伴う、等の理由により、全ての会社で株券を発行しなければならないとする規定について改正が行われました。
この改正により、株券は発行しないことが原則となり、定款に株券を発行する旨を定めた場合にのみ、株券が発行できると改められました。
上記のように、株主名簿に記載すべき事項は4つに限られています。
株式名簿の作成そのものは難しいことではありませんので、弊社のコラム等をご参考に、株主名簿が必要となる際には、ご自身で作成されてみてはいかがでしょうか。
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