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コンプレックスが、公認会計士との出会いに。死ぬ気の努力が自分を変える。「公認会計士youtuberくろい」としても活躍中の白井敬祐氏のキャリア遍歴

HUPRO 編集部
コンプレックスが、公認会計士との出会いに。死ぬ気の努力が自分を変える。「公認会計士youtuberくろい」としても活躍中の白井敬祐氏のキャリア遍歴

自分のコミュニケーションに対するコンプレックスが、公認会計士との出会いになり、今では様々なキャリアを経て2021年7月に独立開業。現在は「公認会計士Youtuberくろい」としても活躍されている白井氏に、HUPRO編集部がお話を伺いました!

【白井氏の経歴】

2012年 清和監査法人 入所
2014年 新日本有限責任監査法人 コンサルティング業務
2016年 有限責任監査法人トーマツ IFRS導入支援業務
2018年 リクルートHDの経理部で活躍
2020年 「公認会計士YouTuberくろい」YouTubeチャンネル開設
2021年 独立 白井敬祐公認会計士事務所

【白井氏のキャリアグラフ】

コンプレックスをきっかけに公認会計士を目指す

―白井先生はどんな学生時代を過ごされていましたか?

出身は四国の香川で、岡山大学に進学した際にはアイスホッケーに打ち込むそんな学生時代でした。また高校時代は戦車や、戦闘機などミリタリーが好きで自衛隊になりたいと思って防衛大学校を受験したりしていました。しかし、防衛大学は面接試験で落ちてしまい、泣く泣く自分の偏差値に合致する岡山大学経済学部に進学することになりました。

―その後どういった経緯で公認会計士を目指されたのですか?

僕は大学3年の頃に就職活動を始め、何をやろうかなと考えた時に自分には何も取り柄がないことに悩んでいました。また今でこそYouTubeや講師として人前で喋っていますが、当時は人の目を見て話すことができないほど、コミュニケーションにコンプレックスを抱いていました。防衛大学校の面接試験で不合格になったのもまさにコミュニケーションが原因でした。

そんな中就活で迷っていた時、当時所属していた経済学部の会計ゼミの先生が、「勉強と仕事が直結する仕事が3つある。それが医者と弁護士と会計士だ。」というお話をしてくださりました。

それを聞いた僕は、得意な勉強を武器にしようと考えたわけです。自分の得意なことで、頑張れば頑張るほど社会で活躍できるならと、公認会計士を目指すことにしました。

コミュニケーションが苦手で、それに頼らない生き方を考えたことが、公認会計士を目指したきっかけになります。

―そこから公認会計士合格に向けて、どのように勉強を始めましたか?

環境を変化させることを最初に行いました。当時僕は岡山にいたのですが、岡山では公認会計士を目指す人があまりいない。自分は当時から非常に負けず嫌いな性格もあったので、多くの競走相手が欲しいと感じていました。やはり競争相手が多いのは東京だろうと考え、大学卒業後に明治大学の会計大学院への進学を決め新たな環境で勉強をスタートさせました。

―東京に実際出てみていかがでした?

とても良い刺激になりました。やはり東京には賢くて、すごい人たちが集まっている環境であるなと。僕はプライドが高く負けず嫌いなので、予備校で自分よりテストの点数が高い人がいた時には「負けられない」と奮い立ちました。

―白井さんにとって、負けず嫌いであることは公認会計士を目指すうえで大切なことだったのですね!具体的にどのくらい勉強を行いましたか?

一日10時間の勉強を3年間続けていました。
毎日ではなかったものの、休む日も勉強時間0ではなく、最低5時間勉強するなど継続して勉強に触れる習慣を意識しました。当時はダブルスクールで大学院の講義が終わった後に資格学校にも通っていたので、本当に勉強漬けで大変な毎日でした。

-具体的な勉強方法はいかがでしょうか?

具体的な勉強方法として、暗記ではなく理解をすることに注力しました。そのため覚えたことを自分の口で説明するようにしていました。
授業を聞くと分かった気にはなりますが、いざ説明しようとするとできないことが多いので、学んだことを友達と説明しあったりすることで理解を深めていきました。

自分の口で説明するように意識することは、今講師として働いている中でも活きていると感じていますね。

―公認会計士の合格でモチベーションが最高潮ですね!

私が合格した2011年の会計士試験は6.5%と極端に低くそんな状況下での合格でした。
大学院在学中に一度受験したのですが、その時は受かりませんでした。
もちろんそれまでもしっかり勉強はしていたのですが、会計大学院を卒業すると一次試験の一部が免除されるので、在学中はそのことに甘んじてどこかで手を抜いていて、免除があるからいいやと本気で取り組めていなかったなと今では思います。

ただ、もう一度受けたら合格できると確信したので、そこから一年間死ぬ気で勉強して公認会計士の試験に合格することができました。
やはり受かった時は、3年間努力が報われたこともあり、家族みんなが喜んでくれました。モチベーションは最高潮でした。

無力感の新社会人から見つけた自分のキャリア軸

―新社会人になったところでグラフが急降下していることには何か理由があるのでしょうか?

そうですねこの時はモチベーションが落ち続けていました。なぜかというと社会人として通用しないと実感したからです。具体的な最初の就職時の経緯としては、2008年のリーマンショックの影響で、合格した年の2011年は監査法人も人材募集が多くありませんでした。就職氷河期であったことから、約30社受けて内定はほとんどもらえませんでしたが、そんな状況でも縁あって内定をいただけた監査法人に就職しました。

苦労して入社できたものの、社会に出て自分には様々なスキルが足りないと感じました。自分はコミュニケーション能力が高くないのでクライアントが何を言っているのか分からない、でもプライドは高いので分かったふりをする、そしてもう一度クライアントに聞きに行くと怒られるという悪循環に陥ることがありました。
コミュニケーションの面で2年もの間苦労し、知識はあっても実務が出来ず、社会では知識だけで通用しないと痛感しました。そのような経緯でモチベーションは下がり続けていました。

― 監査法人では大変苦労されたんですね。その点が次の転職を考えるきっかけだったのでしょうか?

そうですね。転職に関してはやりがいの部分が大きなきっかけになりました。就職した監査法人では2年ほど監査の仕事をしていましたが、新人ということもあり人に感謝されることが少なく、「人に喜んでもらえる仕事をしたい」と考える自分にはやりがいを感じられませんでした。そこから監査以外での転職を考えはじめました。

―なるほど。その中で、コンサルに転職した理由はありますか?

コンサルなら顧客が困っていることに対して解決策を出すというように、人に喜んでもらえる仕事ができると思ったからです。当時はIFRS導入ブームということまり、大手監査法人のEYの会計アドバイザリー部門に転職しました。

そこでは主にIFRS導入支援に従事することになりましたが、始めはIFRSについて全く知りませんでした。そのため、たくさんのIFRSの本を読んで勉強し、実務を通して学びました。
そして、他者に解決案を提案していくコンサルの業務を通じて人に喜んでもらえることで、この仕事は楽しい、自分に向いていると感じました。
人が困っていることに対してダイレクトに提案できるということが良かったです。モチベーションもこの時は高い状態でした。

―その後トーマツへ転職し、キャリアグラフも絶好調の中、なぜコンサルをやめたのですか?

EYからトーマツへの転職をしました。年収も上がり絶好調でした。同じくIFRSコンサルに携わっていたのですが、3、4年続けていると自分の成長が鈍化してきていると感じ、新しいことに挑戦してみたいと考えていました。
その時、リクルートが初めてIFRSの有価証券報告書を出すためにIFRSを知っている人材を募集していたので、そこに挑戦して出向社員として働きました。

期間は1年程でしたが、リクルートでの業務はとても面白く、またIFRSの有価証券報告書を出した達成感も感じることができました。
リクルートでの出向を終え、コンサルも事業会社も経験したことで、今後は事業会社で働きたいと考えていました。

―なぜ事業会社で働きたいと思ったのですか?

今までは自分がコンサルする側でしたが、リクルートでは経理側の社員として働いていたため、コンサルを受ける側でした。
その時、相手のコンサルタントの言葉は私がコンサル時代に言っていた言葉と同じなんですが、逆の立場に立つとどうも響いてこなかったんです。自分がコンサルする側で今までやっていたことは、実は人に喜んでもらえていなかったのかもしれないと気が付きました。

また、コンサルタントは言ってしまえば他人事ですが、事業会社で勤めれば自社をコンサルタントすることになるので自分事として本気で取り組むことができると感じました。
人に喜んでもらう仕事をすることが自分の軸なので、コンサルを続けるよりも事業会社に勤め、自分の会社を中からコンサルする方が良いと思い、トーマツをやめ、とある事業会社へ転職しました。

―キャリアグラフが急降下していますね。念願の事業会社への転職で何があったのですか?

始めはとても順調だと思えたのですが、転職先が俗に言うブラック企業で入社して二か月ほどで体調を崩してしまい、退職しました。この時はプライベートでも上手くいかず、人生のどん底にいました。
それまで僕は2年おきくらいに転職を繰り返していたので、スムーズに次の転職ができるわけもなく、1ヶ月程悩む時期が続きました。
そんな最中で、リクルートから声をかけていただき、今度は直接雇用で経理人材として働くことになりました。この時は本当に救っていただいたと感謝しており、また頑張ろうと思えました。

人に教えることの面白さ。youtuberへの挑戦

―その後YouTubeでの活動を開始したということですが、きっかけはありましたか?

リクルートで2年ほど働き、また何か違うことをしてみたいと考えていました。
そこで、予備校講師になりたいと考えるようになりました。なぜそう考えたかたというと、EYやトーマツ時代に研修講師の仕事もしていて、自分が発信したことで、誰かの気づきを促している感覚に面白みを感じていました。

リクルートは副業可能なので、予備校の講師として働くために、いくつか予備校の面接を受けました。しかし面接で落とされてしまいました。どうしようか考える中で、たまたま行った整骨院の先生に、YouTubeで税理士のことを喋っている人がいると紹介され、見てみたら面白かったので、「雇ってくれないなら自分の世界を創ろう」と思い、YouTuberくろいを始めました。

―会計士を目指して上京してきたこともそうですが、白井さんはまずやってみようという行動力が素晴らしいですね。

確かに行動力がすごいと自分でも思います。
課題解決をする時も、克服するためにすぐ行動に移していますね。
普通の人ではすぐに始められないことでも、僕は考えずにとりあえずやってみるようにしています。人前でしゃべることに課題があった僕は、場数を踏むことはもちろん、ボイストレーニングに通うなどすぐに行動に移していました。

YouTubeも始めは喋り方や編集も分からず、10分の動画を作るのに3日かかったりしていました。そんな苦労もあってか初めてコメントが付いたときはとても嬉しかったです。続けていくと再生回数や登録者数がどんどん伸びていき、やりがいを感じました。

コメントの中では「くろいさんの動画を見て会計士を目指そうと思いました」というものがあって、僕は経理業務をコツコツやるよりも人の前で喋ることの方が実は得意かもと感じました。

人前で喋ることを本職にしたい、講師として働きたいとずっと考えていました。
講師として働きたいと思いながらYouTubeを続けていた時に、CPA会計学院から予備校の講師としてお誘いをいただき、リクルートをやめて独立しました。今がモチベーションの一番高い時です!

―独立されたということですが、現在はどのようなことをしているのでしょうか?

現在は大学生や高校生に会計士を広めるような教育関連の仕事をメインでしており、CPA会計学院で講師をしています。
あとは企業内研修で経理の方々に会計に関する研修などをしています。
人に教える仕事が今は多いですね。

―白井さんは一貫して「人に喜んでほしい」という気持ちをもって活動されてきたのですね。

最終的に、人のためになりたい、喜んでもらいたいということに常に行きつきます。
リクルートで働く手前までは年収のことしか考えてなかったのですが(笑)。
この歳になって社会貢献について考えるようになりましたね。
今は会計士試験の修了考査の講義などをしていますが、人にどうやってわかりやすく伝えるかを考えることにとてもやりがいを感じています。
私自身が輝く姿を見せて、会計士を目指す人・憧れる人が増えるといいなと思っています。

「公認会計士のイメージを変えていく」白井氏が目指す今後のキャリア

―今後、5年後、10年後どういったキャリアを築き上げたいですか?

事務所を開いたのでゆくゆくは会社を設立したいと考えていますが、講師の仕事はずっと続けていきたいです。「会計は難しい」という敷居を無くしたいと考えていて、なんとなくすごそうだけど何をしているか分からないという会計士のイメージを変えていきたいです。

会計の世界へ気軽に入ることができるツールを作ることで、未来の会計士たちが増えるような仕事が出来ればと考えています。

―ご自身としてはどのようなキャリアを築き上げたいと考えていますか?

「会計の講師といえば白井」というような、会計の講師として名を挙げたいですね。
そうすることで会計が広まり、興味を持ってくれる人が増えてほしいと思います。

―最後に、ヒュープロマガジンを読んでいる公認会計士を目指している方に向けて、一言お願いします!

自分に自信が無くても、10年後、20年後に社会で活躍したいと思うなら死ぬ気で努力することが一番大事だと思います。

何かを変えたいと思ったら行動して、試行錯誤し失敗を続けながらやってきたことで、僕は今が一番ハッピーです。

行動しなければ何もやらないままの人生で終わっていくので、何かを変えたいならまず努力しろ、ということを伝えたいです。
僕自身の経歴が、ロールモデルになればと思います。

―本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

公認会計士YouTuberくろいちゃんねる!!

この記事を書いたライター

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