刑事事件の映画などで時効が迫り、犯人逮捕に焦る刑事の姿を目にしたことがあるかと思いますが、同様に税金にも時効が存在します。税金の納付も、刑事事件の犯人と同じように、逃れることは、果たしてできるのでしょうか?
今回は、国税の賦課権及び徴収権などに関する期間制限について詳しくご紹介致します。
国税の法律関係において、国の行使し得る権利をいつまでも無制限に認めていては、納税者の法的安定が得られないばかりでなく、国税の画一的執行も期し難くなるので、これに対処するため、賦課権及び徴収権などに関する期間制限が設けられてます。
下記では国税の時効についてご紹介致します。
賦課権は、税務署長が国税債権を確定させる処分、すなわち、更正、決定及び賦課決定を行うことができる権利です。
賦課行為は、税務署長が納税義務を確定させるもので、いわゆる準法律行為たる確認の性格を持ち、一種の形成権と考えられます。
賦課権が形成権であるとする以上、およそ時効制度になじまないとされているのが一般であることから、賦課権の期間制限には除斥期間の制度が採られています。
徴収権は、既に確定した国税債権の履行を求め、収納することができる権利です。
国税の徴収権及び納税者の国に対する還付金等の還付請求権は、私債権と同様に時効制度が採られています。
賦課権の除斥期間は、税務署長が納税義務の確定手続を行うことができる期間です。
よって、納税義務が成立していても、未確定のまま賦課権の除斥期間を経過した場合には、賦課権の行使による納税義務の確定はできません。
申告納税方式による国税について、賦課権を行使できる期間の起算日は、法定申告期限の翌日です。ただし、還付請求申告書が提出されたものについては、その提出日の翌日が起算日となります。
賦課課税方式による国税の除斥期間の起算日は、課税標準申告書の提出を要する国税については、その提出期限の翌日であり、課税標準申告書の提出を要しない国税については、その納税義務の成立した日の翌日です。
通常の過少申告、無申告の場合は5年、脱税の場合は7年
通常の過少申告、無申告の場合は5年、脱税の場合は7年
通常の過少申告、無申告の場合は5年、法人税の通常の過少申告、無申告の場合は10年、脱税の場合は7年
通常の過少申告、無申告の場合で、提出した場合は3年、不提出の場合は5年、脱税の場合は7年
通常の過少申告、無申告の場合は5年、脱税の場合は7年
通常の過少申告、無申告の場合は5年、脱税の場合は7年
国税の徴収権の消滅時効は5年とされ、その起算日は、原則としてその国税の法定納期限の翌日です。
国税の徴収権の時効については、これらの民法の中断事由が準用されます。
納税申告、納税の猶予の申請又は換価の猶予の申請、延納の申請及び一部の納付などは、納税者の承認があったものであり、時効が中断するほか、通則法の規定により、税務署長によってなされる国税債権を実現させようとする行為である更正、決定、賦課決定、納税の告知、督促、交付要求について、それぞれその効力が生じた時に時効が中断し、中断継続期間を経過した時から、新たに時効期間が進行します。
偽りその他不正の行為により、全部若しくは一部の税額を免れ又は還付を受けた国税等に係るものの時効は、その国税の法定納期限から2年間は進行しません。
還付金等の還付請求権の消滅時効は5年とされ、その起算日は、その還付を請求することができる日です。
このように、国税の時効期間をご紹介しますと、納税義務者であることを知りながら、時効期間を待って、申告納税を行わない方が得では無いか、と考える方がいるかもしれません。
しかし、納税義務があることを税務署が察知せずに時効期間が経過し、納税を免れることができることは、ほぼありません。
恣意的に納税を免れようとすると、ペナルティとして、本来納めるべき税額よりも、延滞税や無申告加算税、重加算税などの納付が求められることにより、多額の金銭を納めなくてはならなくなります。
よって、納税義務がある場合には、その申告期間内に正しく申告を行い、適正な納税額を納めることが、結果として金銭面においても、精神面においても、最も負担の少ない方法になります。
上記のように、国税には賦課権及び徴収権などに関する期間制限が設けられています。
期間内に申告や納税を行っている多くの納税者には、普段意識する必要のないことですが、税務調査等を受ける際に必要以上に過去の資料の提示を求められた際に提示を断る判断をすることが出来る、過年度に納め過ぎたことに気が付いた際に請求をする場合に請求対象であるかを判断することが出来るなど、知っておいて困ることの無い知識です。
ご参考になさってください。