海外留学、株式会社リクルート、税理士事務所を経て、現在は独立して湘南を拠点に税理士として活躍される榮前田慶太氏。
今回は榮前田氏が税理士を目指されたきっかけや、税理士として働く上で大切にしていること、今後のビジョンなどについてHUPRO編集部が詳しくお話を伺いました。
【ご経歴】
2006年 | George Brown College 卒業 |
2007年 | 株式会社リクルート 入社 |
2010年 | 東京都内の税理士事務所に入所 |
2018年 | 税理士試験合格 |
2019年 | 税理士登録 |
2020年 | エイマエダケイタ税理士事務所 開業 |
―まず、税理士を目指されたきっかけを教えてください。
私は大学卒業後、新卒で就職することを選ばずに海外留学を選択し、カナダでスポーツマーケティングを専攻しました。
その後、日本に帰ってきてからスポーツマネジメントに関する仕事を探していましたが、当時はそのような仕事が日本にはあまりなかったので、見つからないなら全般的な営業スキルを身に付けたいと思い、リクルートに就職しました。
リクルートでは求人広告の新規開拓営業に従事し、主に中小企業の社長を相手に営業をしていました。
そこで沢山の方と経営や仕事に関するお話をできたことがとても刺激になっていましたね。
その一方で、相手の悩みや課題を聞いても求人広告という解決手段しか持っていない、自分は経営者の一部しかサポートできないことに対してもどかしさを感じていました。
もっと経営に近い立場で課題を解決したい、全面的に経営者をサポートしたいと思ったことが、税理士を目指すこととなったきっかけです。
―税理士になるためには、どのような勉強をされたのですか?
始めは、まず会計士試験を受けて、それから税理士へ転身しようと考えていました。
リクルートを辞めて一年ほど会計士の勉強に専念しましたが、会計士試験には受かりませんでした。
その後、税理士事務所で働きながら、8年間税理士試験の勉強をして資格を取得しました。
基本は朝早く起きて勉強して、それから出勤していました。
当時は5時前に起きて勉強していましたね。
―税理士事務所で働きながら税理士を目指すうえで大変だったこと、苦労したことはありましたか?
勉強に集中する環境を作ることが大変でした。
私は自分自身をコントロールできなければ試験に合格しても続かないと思っていたので、学校に通わずに自分でテキストを買って勉強をしていました。
働きながらだと、勉強の習慣やリズムを自分で作ることが難しかったですね。
―税理士事務所で働きながら勉強することに苦労されたのですね。その時勤められていた税理士事務所では、どのような仕事をしていましたか?
基本は法人の税務顧問がメインでしたが、古くからの事務所だったので地主も多く、相続関係の仕事もありました。
僕が勤めていた事務所は裁量の幅が広かったので、仕事を担当者に全て任せてくれることが良かったです。
ここでは税理士としての仕事を満遍なく経験することができました。
この事務所で9年間勤めて、税理士資格を登録してからすぐに独立しました。
―税理士事務所で9年間勤めたのちに独立されたということですが、なぜ独立しようと考えたのですか?
元々、いずれは独立しようと考えていました。
ただ、独立しても仕事内容は税理士事務所で勤めていた時とほとんど変わらないのですが、せっかく税理士の資格を取得したので何かにチャレンジしたい、新しい環境で税理士として働きたいと思い、神奈川県の湘南を拠点で独立しました。
―活動拠点に湘南を選ばれた理由は何かあるのでしょうか。
一番の理由は、僕が湘南に住んでいるからですね。
湘南という町の良さは僕も感じていて、住んでいる人々や店が大好きなので、湘南の魅力をより多くの人に感じてほしいと思っています。
―独立する前と後で、何か変わったことはありますか?
何から何まで自分でやらなければならないことですね。
税理士事務所に雇われていた時は、最終的な責任は所長が取ってくれていましたが、それがとても大きなことだったと独立してから気が付きました。
今まで経験したことがない仕事や、税理士事務所で勤めていた時とは異なった業種のお客さんとの出会いなど、全てが新しいことばかりです。
―今まで経験したことがない新たな仕事をされているということですが、具体的には現在どのような仕事をされているのですか?
基本的には、会社を作ったばかりの方やこれから立ち上げたいと考えている方、個人事業者の創業支援になります。
創業して1、2年の方を中心にサポートしています。
最近は若手の創業者が増加していて、私自身も税理士全体で見れば若手であるので、経営者により近い立場で支援ができると考えています。
他にも、クラウド会計の導入支援や、経理に関する指導やアドバイスなども行っています。
僕が税理士を目指したきっかけでもある、経営者の課題をより近くでサポートしたいという想いのもとに、今までよりも経営者に近い立場でサポートをしています。
―経営者を近くで支えたいという想いが、榮前田さんにとっての原動力となっているのですね。独立後、仕事上でどのような時にやりがいを感じますか?
一番は経営者に頼られることが税理士としてのやりがいを感じます。
自分が担当した相手から「モヤモヤしていたことが榮前田さんと話してスッキリした」「榮前田さんのおかげでやるべきことに気が付くことができた」といった声をいただけたときが一番うれしいですね。
また、仕事上でのサポートはもちろん経営者自身が人生でやりたいことの実現など、一個人としてサポートできる範囲を広げていける関係性を築くことが、税理士として働く上でのやりがいです。事業の成長に留まらず、その人の人生自体が豊かになるようにという気持ちを忘れずにサポートしています。
一方で、税理士は経営者に対して第三者として関われる数少ない立場でもあるので、時には厳しい話をしながら経営者に寄り添った仕事をすることも税理士にとって大切だと考えています。
―経営者と会話する上で気をつけていることや、心掛けていることはありますか?
基本、相手に話してもらうことが一番大事だと思っているので、まずはこちらが聞く姿勢を作るようにしています。
また、相手とより深いお話ができるように信頼関係を築くことは意識していますね。
メールやチャットなどで速いレスポンスを心掛け、相手とやり取りする機会を増やすことが信頼関係を築くポイントだと思っています。
―榮前田さんはコーチングについても学んでいらっしゃいますが、これも相手と関係性を築くという点に関連しているのでしょうか。
元々、経営者がより経営を成長させてほしい、目標設定をして事業計画を作ってもらいたいと考えていて、その助けになることがコーチングだと思い独立と同時に勉強を始めました。
コーチングで学んだことは経営者と信頼関係を築く上でとても役に立っていて、あらためてコミュニケーションにフォーカスして学ぶことができたのは良い経験だと思っています。
また、コーチングを学んでみると、今まで相手の話を聞くことが本当にできていたかなと見つめなおす機会にもなりました。
相手の話を聞く姿勢を磨いていくためにコーチングを学び、それが今でも活かされていると感じます。
―独立と同時にコーチングの勉強を始めたことには何か理由があるのでしょうか。
私は常に学びを続けたいと考えていて、税理士試験に合格した後もすぐに中小企業診断士の勉強を始めました。
その後にまた何か学び始めたいと思い、今度は資格とは違うものを色々探して、結果としてコーチングにたどり着きました。
自分のリズムづくりのためにも勉強を続けていますが、常に勉強しないと知識は劣化するという考えも勉強を続ける理由の一つです。
自分の視野を広げるためにも、新しいことに触れ、新たな発見をすることは大切だと考えています。
―榮前田さんの常に学びを続けるという姿勢が素晴らしいですね。現在は何か勉強されているのですか?
現在は社労士について勉強しています。
元々リクルートで求人広告を扱っていたこともあって、経営にヒトの部分は欠かせないと思っているので、社労士の分野を勉強していくことは大事だと感じています。
また、現在勉強していることも経営者をより近くでサポートしたいという気持ちが根底にあります。
経営者の課題は税理士が解決できることだけにはとどまらないので、自分で様々な知識を身に付けることで最終的には総合的なサポートが出来ればと考えています。
―5年後、10年後、どのような税理士になっていたいと考えていますか?
今後のビジョンについては、大きく分けて二つ考えています。
第一に、経営者の方々にとってもっと力になれるようなサポートを充実させていきたいです。
税理士の枠組みを超え、より経営に近い立場で総合的なサポートを行っていきたいと考えています。
第二に、「湘南の税理士といえば榮前田」というように、自他ともに湘南エリアで一番と認められるような税理士になりたいですね。
私の活動を通じて、湘南の町や会社をさらに良く出来たらと思います。
―今後、具体的にはどのようなことをやっていこうと考えていますか?
湘南エリアの傾向や、お客さんのニーズに合わせて色々試しながら考えていきたいと思っています。
また、もっと様々なことに挑戦したい、色々な人と一緒に働きたいと考えているので、事務所の規模を大きくしていけたらと考えています。
そのためには事務所自体の業務の効率化、仕組みづくりをしっかり行って、人を受け入れる体制を整えたいと思います。
―最後に、今後士業を目指す方に向けたメッセージをお願いします。
私は独立してから、沢山の人の話を聞くこと、様々な経験をすることはとても大事であると痛感しました。
特に士業は専門職であるため、視野が狭くなってしまいがちです。
同じことを続けていると新しいことに触れる機会が減ってしまうので、自分で意識して知らない世界へ飛び込んでいくことが大切だと思います。
また、現在は様々なコミュニケーションツールを使うことで、直接会うのは難しい相手でも、話す機会を作ることは簡単になってきています。
現代ならではのツールを自分のために活用し、勇気を出して色々な人とコミュニケーションを取ることも良いと考えています。
常に好奇心を持ってチャレンジしていくことは、税理士に限らず大事なことだと思っています。
―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。
今回インタビューさせていただいた榮前田氏が代表を務める
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