税理士家庭に生まれ育った伊島氏。文集に書いた税理士という職業を現実にして、ひろせ税理士法人に入社。「身近な相談役」として活躍するため、業界の魅力を伝達するため奮闘する伊島氏のキャリアに関してHUPRO編集部がお話を聞きにいきました。
2008年 | 立命館大学 法学部 卒業 |
2010年 | 立命館大学大学院 法学研究科 修士課程修了 |
2010年 | ひろせ税理士法人 入社 |
2013年 | 税理士登録 |
2017年 | ひろせ税理士法人 社員税理士 就任 |
―税理士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
きっかけは、祖父と父親が税理士である家庭環境が大きかったです。幼い頃から税理士という仕事が身近にありました。しかし小さい頃に税理士の仕事なんてわかるはずもなく、何をしている職業なのかは全く理解していませんでした。そのため、小学校の時の文集などに将来の夢として税理士と書きましたが、本当になろうと思っていたわけではなく、多くの人が書くプロ野球選手、プロサッカー選手のように、漠然としたものとして書いていました。
そんな中、立命館大学の法学部で学び、3回生から始まるゼミに先立って2回生の段階で法律の演習を一つ選ぶ機会がありました。
周囲は、民法や刑法、憲法などのメジャーな法律を選択されるのですが、その中で自然と税法が目に止まりました
父親が税理士ということもあって、一回税法の話を聞いてみようと軽い気持ちでしたが、授業がとても面白くて話に引き込まれていきました。その流れで3回生からのゼミも税法を選択するようになり、どんどん面白さを感じるというか、やりがいみたいなものを感じ、次第に税理士を目指すようになりました。
―税法に面白さを感じたとおっしゃっていましたが、何が面白かったですか?
身近に起きる様々な問題に絡んでくるのが税法で、何かあればとりあえず税理士に相談する人も多いということ知り、面白さを感じました。税理士という立場であれば、多くの人たちの大小様々な悩みや相談に対してアドバイスや助言ができるのではないか?と当時考えていたのを覚えています。
―税理士を目指すための勉強はどんな感じで進めましたか?
3回生のゴールデンウィークに簿記の勉強を始めました。早く目指している人と比べると1年くらい遅いタイミングだったと思います。簿記3級のテキストを買って、6月に3級を受け、夏休みから2級の勉強をして、9月から専門学校で簿記論の授業を受け始めました。
試験が夏なので、3回生の秋から受講して4回生の夏に簿記論と財務諸表論を受験し、無事に合格できました。その後は大学院へ進学し、在学中に2回試験を受けています。大学院2回生の時に所得税と法人税の2科目を受けて、合格することができました。税理士試験は大学院の科目免除制度がありますが、少なくとも1科目は税法科目に合格する必要があります。4科目合格の状態で、1科目の免除を受けて税理士登録に至ったという経緯です。
―勉強で苦労したことがあれば教えてください。
結果だけを見るととてもスムーズな方で、大学院での科目免除を使用しているものの、3年で4科目受かっています。平均で10年かかる試験ともいわれているので、順調に進んだ方だと思います。ただ、その3年間は非常に長く感じました。僕は学生時代に受験していたので、周囲の社会人の方に比べたら時間が多くありました。その人たちと同じ勉強量では失礼だなと思い、とにかく勉強量でも誰にも負けないようにと必死でした。
専門学校で配布される問題集の一番後ろには解いたらチェックを入れるためのチェック欄が3回分書かれているのですが、自分のノルマは10回に設定していました。それだけやれば嫌でも身につきますよね。あとは、勉強する習慣を作りたかったので、専門学校の自習室を利用して勉強するしかない環境を自分で作っていました。
―ものすごいストイックですね。
確かにかなり追い込みました。失敗談として、なるべく昼寝をしないというノルマを自分に課して、昼寝を我慢して勉強していました。すると、ある日友人に「こいつ昼寝しないな」と気づかれて、「全然寝ないよね」と褒められてしまい、寝ないキャラが定着してしまいました。(笑)
そうなると、寝たくても人前で寝られなくなってしまい、辛かったですね。
どうしても眠たい日があったので、そんな日はトイレの個室で少しだけ寝ました。(笑)
自分で自分をストイックなキャラにすることで、プレッシャーをかけ、妥協できない状態をうまく作れました。寝ないキャラはオススメしませんが、これも受験においては勝因の1つだと感じます。
―お父様は同業の税理士になってくれて喜んでくれたのでは?
実際税理士試験を受けようとした時に相談などは特になく、受験することだけ伝えていました。合格した時も「おぉぉ~、良かったな」という感じでのリアクションでした。ただ内心はとても喜んでくれていたみたいです。表立ってはすごく喜んだり、応援したりっていう様子はなかったですが、知り合いから聞いた話によるとすごく喜んでくれていたみたいです。押し付けることなく、見守ってくれ、父らしいと思いました。(笑)
―ひろせ税理士法人への入社理由を教えてください
自分のなりたい税理士像の一つに、「身近に相談できる人」というのがありましたので、幅広くたくさんの方と接することができることを念頭に、事務所規模と取り扱う業務内容などを調べた上で、それが実現できそうな事務所に絞って就職活動を行っていました。そんな事務所を探す中で、ひろせ税理士法人に出会いました。面接してくれたのが今の所長で、その姿が自分の理想となる税理士像と重なったので、最後は正直にフィーリングで決めました。
―その所長さんのどんなところに惹かれましたか?
良くも悪くも従来の税理士のイメージにある固さがないというところに惹かれました。税理士のイメージといえば眼鏡かけていて、気難しそうなイメージが世間的にはあるのではないかと思っているのですが、所長はまるで違いました。まるで友人のようにお話ができ、経営者の方々もそんな方がいると相談をしやすいだろうなと思っています。
―現在のお仕事の内容を教えてください。
現在は、経営支援部という部署内で、10人で構成される1つの課のマネージャーをさせて頂いております。仕事の内容はいわゆる税理士業務という感じです。法人や個人事業主の方の申告のお手伝いをしながら、10人の部下のマネジメントをして、というところが通常業務の範囲です。弊所の場合はお客様の半分を医療機関が占めていますので、医師をはじめとする医療従事者の方と接する機会が多いのが特徴かと思います。
―この仕事をする上でのやりがいはなんですか?
やはり、部下・後輩たちが1年前にはできなかったことができるようになっている姿を見ると、嬉しいですね。あとは、お客様から本人がいない場所で、「担当の〇〇さんがいつもすごく頑張ってくれて」という評価を頂く時は、マネージャーをやっていてよかったと思うシチュエーションですね。
―身近な相談役としての税理士になれていますか?
個人的には、まだまだだなと思っています。もっと前線に出て色々な方とお会いする機会を持たないといけないなと反省しています。自分自身が担当者としてお客様と接する仕事をしていたのが、マネージャーという立場だとマネジメント中心になってしまいます。自分自身の担当が減ってしまう中で「身近な相談役になる」ことを実現するためには、もう少し部下が担当するお客様のところへも顔を出し、何かあれば相談して貰える存在になるべきだと考えています。まだまだ成長過程です。
―逆に、苦労した場面はありますか?
人に関する苦労があります。どうしても入れ替わりが激しい業界ですので、事務所のカラーと合う、合わないもありますし、本人がやりたいこととマッチしなければ辞めていってしまうということもあります。他の理由ももちろんあると思います。新しい出会いや別れを通して組織を前に進めなければならないのはとても難しいです。人が辞めてしまうと、お客様は信頼できる人を失ってしまうことになります。そういう側面から考えると、やはり長く在籍して仕事を続けてもらうことが必要になってきます。そのためには「ここにいたい」と思えるような組織作りが大切ですし、それを実現するために日々成長中です。
―「経営にまつわるわからへんをわかるに、できへんをできるに」ということをTwitterやInstagramなどのSNSで発信をされていると思うのですが、発信しようと思ったきっかけはありますか?
「身近な相談役」として自分が税理士として知っている情報を様々な人に届けたいと思い、始めました。最初はInstagramから始めたんですが、やはり税金や補助金は映えないんですよね。(笑)だからご飯の写真をUPするしかなくて(笑)
その後事務所の先輩のススメもあってTwitterをはじめました。Twitterなら写真もいらないし、文字で必要な情報を発信できて気に入っています。今ではありがたいことにフォロワーも3000人を超えました!
税理士や税金・経営と聞くと、多くの人にとっては難しいイメージがあるじゃないですか。敷居が高そうな感じなので、自分はラフに情報を発信して、少しでも見てくれる方の疑問の解決に繋がればいいなと。そういう意図もあって「経営にまつわるわからへんをわかるに、できへんをできるに」みたいなキャッチフレーズにしました。
―今後のキャリアに関して、5年後10年後どうなっていたいという展望があれば教えてください。
大きな野望があります。「税理士」の魅力を広げ、業界を目指す人が増えればいいなと考えています。税理士という仕事、自分で言うのも何なんですけどいい仕事しているなと感じています。特にこのコロナ禍においては本当に多くの相談をいただき、再認識する機会になりました。融資・補助金・助成金・経営についてどうすれば良いのか?何をするべきなのか?そういう時に手を差し伸べ、一緒に解決するための手助けができるのが税理士という仕事だと思います。
しかし、残念ながら税理士という職業は医師や弁護士などの他士業に比べれば認知度もそこまで高くないというのが現状です。小学生に将来なりたい職業聞いて、「税理士」と答える人はほぼいないですよね。3世の僕ですら税理士の仕事内容を知らなかったわけですから、当たり前です。10年では難しいかもしれませんが、20年30年と経った時に、「税理士」になりたいと思ってくれる人たちや子供たちが増えると良いなと思っています。
―税理士という職業を世に広めていくためにどう活動していくかなど、考えはありますか?
個人でできることは正直限られていますが、SNSを通して発信することは一つのきっかけになるかなと思っています。Twitterのフォロワー数が3000人程度で大きなことを言うつもりはありませんが、今後もし3万人、30万人になろうものなら立派なインフルエンサーですよね。そうなれば社会に「税理士」という仕事や職業についての魅力を少しは伝えられる存在になれるのではないかと考えています。
―今後士業を目指している人に向けてアドバイス、応援メッセージをお願いします。
税理士試験に向けて頑張られている方には、折れずに頑張って欲しいと思います。
試験に受からないからやめようと思う瞬間もあるかもしれませんが、やって受からない試験ではないですし、一生取れない資格ではありません。
道のりが長くなるかもしれませんが、コツコツと努力して積み上げていけば必ずなれる職業だと思います。確かに税理士資格がなくても問題なく会計事務所で働けますし、実力者も沢山います。でも、実際に税理士になってみると見える世界がかなり広がるのも事実です。
資格取得はスタート地点でそこからまた多くを学び続けないと、「税理士」として輝けません。自分の業務の幅を広げ、お客様に与える価値を最大化したい人は、資格取得とその先を目指して頑張ってください!
―本日はお時間いただきありがとうございます!
本日お話していただいた、伊島氏の情報は下記より!