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「信頼関係によって、未来を明るく」約800件の相続案件を経験した、税理士越阪部氏が語るコミュニケーションの重要性。

HUPRO 編集部
「信頼関係によって、未来を明るく」約800件の相続案件を経験した、税理士越阪部氏が語るコミュニケーションの重要性。

税理士法人NCPで代表を務める越阪部氏。「信頼関係によって、未来を明るく」をモットーに活動しています。「お客様に喜んでいただける」そんな税理士の仕事の魅力を語っていただきました。

2008年 日本大学 商学部卒業
2008年 EY税理士法人 入社
2010年 税理士法人レガシィ
2019年 OAG税理士法人
2019年 NCP越阪部税理士事務所
2020年 税理士法人NCP 代表社員 現在に至る

野球少年が出会った、税理士という仕事

―越阪部先生の学生時代は野球に打ち込んでいたみたいですね。

高校時代は野球に没頭していました。高校進学も野球で入学したため、勉強もあまりついていけなくて授業中は寝ている、そんな高校時代でした。(笑)もちろん簿記の“ぼ”の字も、税理士の“ぜ”の字も知らない状態でした。

―そんな中、税理士を目指したきっかけはなんですか?

最初に税理士という職業を知ったのは、大学1年生の時でした。大学の外国語の教授が国税庁出身で、その方とお話をする中で税理士という職業の存在を知りました。大学2年生から、その教授の税務会計論というゼミで税法などを学ぶことになりました。教授と話す中で、税理士という職業に魅力を感じ目指すことを決意しました。

―税理士のどのようなところに惹かれましたか?

会計士と税理士は同じように数字を扱う仕事でも、会計士は間違いを指摘することが多いため感謝されにくい。しかし税理士はお客様の代わりに税務申告を行うという面で直接ありがとうと言ってもらいやすい仕事です。そこが税理士に惹かれた大きな理由です。

―野球漬けから勉強へのシフト大変ではありませんか?

そうですね。勉強の習慣がないというのは少し苦労した点ではあります。ただ野球で人よりも時間をかけて、量をやることの重要性は理解していたのでとにかく量をやることを習慣付けました。友人にノートを配るほど積極的に授業に取り組んでいました。また税理士の資格専門学校にも通いはじめ、さらに勉強が加速していき、資格専門学校の授業がある時には友人に大学講義のノートを見せてもらうなど助けてもらいながら勉強に取り組みました。

―税理士試験の結果はどうでしたか?

大学3年の8月に受けた1回目の試験では、簿記論に合格。大学4年の8月に受けた試験では財務諸表論に合格し、卒業した年の8月の試験で法人税法に合格しました。その後社会人になってから消費税法と相続税法に合格しましたが、最後の相続税法の合格には6-7年かかりました。自己採点では専門学校のボーダーラインは越えていても合格しないということを数年繰り返していました。他の科目に変えることを友人や知人に勧められましたが、当時所属していた税理士法人が相続税の専門だったので他の科目に変える選択は自分の中にありませんでした。

「お客様に喜んでいただける。」軸を再実感したキャリアの積み重ね

―社会人最初にEY税理士法人を選択したことに理由はありますか?

大きく2つあります。1つ目は大手への憧れです。大手とは会計士や税理士の業界でいうと、世界4大税理士法人と呼ばれる場所。このフィールドで活躍してみたいと率直に思いました。2つ目は、給与面です。もともとの給料が高いうえ、当時は残業代も全て支払われましたので、一般企業に就職した大学の同期よりも手取り額が多かったです。しかし現実は甘くはありませんでした。外資系法人のため、業務上英語が必須で、かつ日常英会話ではなく会計英語のため、理解も難しく仕事についていくだけで一苦労でした。

語学に追われ、税理士の科目勉強に追われ、仕事も忙しくとても過酷な1年目を過ごしました。気づけば1年半程で退職を決意しました。

―大手の経験で得たものはありますか?

一番の気づきは実務の重要性です。資格の有無はもちろん大切ですがそれだけでは活躍できない。結局は高い実務能力が必要であると感じました。特に大学院で科目免除されているような方がすごく活躍されているのを見て、良い意味で資格の合格にこだわりすぎることなく、アウトプットと実務を意識することができるようになったと思います。

―その後レガシィ税理士法人に就職されていますが理由はありますか?

EYの退職理由の一つでもあるのですが、「お客様に喜んでいただける」を実感したかったことが大きいです。自分の理想となる税理士像を追うために、退職を決意しました。EYの時は法人税・消費税・事業税と対会社に対してのアプローチが多く自分の理想とはギャップがありました。相続となると対個人になることもあり、自分がやりたいこと「お客様に喜んでいただける」を実感できるのはこちらだなと思いレガシィに入社しました。

―自分の理想の税理士像を追う意味でレガシィに就職されたのですね

そうですね。相続税は勉強している頃から面白いと感じていました。そして「お客様に喜んでいただける」ということを業務の中で直接感じることができるので、科目合格に時間はかかりましたが本当に相続という分野は自分には向いていると感じます。

―自分の理想が実現することができたんですね!

実現できていたと思います。しかし年次を重ねる毎に自分がどこまで税理士としてやれるのかを確かめてみたくなり、レガシィを退職。その後は、野球部時代の友達が代表をしているOAG税理士法人に入社しました。友人から「組織に新たな風を送り込んでほしい」と言われ入社を決めました。しかし組織として既に成熟している環境では、自分の成長や進歩を感じませんでした。やはりレガシィを退職した理由と同様で、自分が自力でどこまで力を発揮できるのか?を知りたく、出来上がっている組織ではなく、自分が開業して組織を運営していこうと独立を決意しました。友人の紹介ということもありましたが、そこは正直に気持ちを伝えました。

税理士法人NCPの代表として。組織を作り、より多く相続の課題解決を

ー代表職として現状はどんなことをしているのですか?

現在、自分は70名ものお客様の担当を持ちながら毎日仕事しています。実はほぼ2年丸1日の休みはないくらい忙しい状況です。代表としての仕事、経営はこれから専念できる状態を作りたいと思います。担当を空かせられるように頑張っているような状況です。

―現在のお仕事のやりがいを教えてください。

「お客様に喜んでいただける」これを感じる時にやりがいを感じます。特に相続の相談で対応するお客様は、自分よりも年齢も人生の経験も豊かな方がほとんどです。そんな人生の先輩方に、どんなコミュニケーションを取れば、「快く感じてくれるだろうか?」「理解していただけるだろうか?」を常に考えています。そして最終的にお客様から「ありがとう」と感謝の言葉をいただける時。お客様が喜んでいる姿を見た時に、頑張って良かったとやりがいを感じます。

―一番やりがいを感じた具体的な仕事はなんですか?

これまで800件くらい担当してきた中で様々なお客様に出会いました。一番印象に残っているのは、相続人が20人以上いるという案件です。亡くなられた方の戸籍を確認すると相続人が合計で27名いることが分かり、この件は終わるまでに2年程かかりました。私ともう一人で、まずは戸籍等を集めて住所を確認し、あいさつと相続内容を記載した手紙を送りました。そして2名でその27名の方々の電話の対応を行いました。相続人が27名だと資産も27等分であると思われるかもしれませんが、実は違う。そういう内容を理解していただくために、多くの方とコミュニケーションを取り続けました。それだけ大きな案件を担当したこともあって苦労は多かったですが、感謝の数も多くやりがいに感じたことはもちろん、多くを学んだ経験だったと思います。

―今後のキャリアに関して、5年後10年後を見据えた時の個人、そして組織としてのビジョンとその理由を教えてください。

今我々税理士法人は四谷にしか事務所がないのですが、今後は支店を出していきたいと考えています。支店を出し、より多くの方にサービスを届けられる。そんな状況を作りたいと思っています。そのためには、支店長を任せられる人、相続業務ができる人などを育成・採用していくことが直近の課題であると思っています。

そして今はNCPグループからのご紹介でのお客様をメインにさせていただいていますが、その紹介以外のお客様も増やしていきたいと思っています。そのための営業活動を行っていこうと考えています。

また個人的には50歳で仕事を辞めたいと思っています。(笑)そのために50歳までにある程度の形にして、あと14年間でなにをしていけば会社が大きくなるか、自分がいなくても回るようになるのか、それを考えて逆算的に計画を進めています。

―今後の士業や税理士を目指す人にメッセージをお願いします。

「お客様に喜んでいただける」これが非常に税理士の魅力であると繰り返し伝えたいと思います。そして喜んでいただくのに重要なのは「信頼関係」の構築。弊社のモットーとして、「信頼によって、未来は明るくなる」を掲げているように、信頼関係の先に、お客様への価値と喜びがあると考えています。

そして信頼関係をお客様との間で築くには当然スキル・知識も重要ですが、それ以上に「コミュニケーション」が大事です。よく言われるのが税理士は暗い、固いといったネガティブなイメージです。現実ネガティブイメージ通りの税理士の方も多いとは思いますが、それでは信頼関係は到底獲得できるとは思えません。

コミュニケーションを通じて、お客様の悩みを真摯に聴くこと。そしてお客様の感情に応えること。これができるなら税理士として他よりも活躍できるのではないかと思います。800件以上相続案件に関わり身を持って実感しました。信頼関係を築くことができる最大の武器はコミュニケーション能力。自信のある方は是非一緒に働きましょう!

ー本日はお話いただきありがとうございます

今回お話しいただいた越阪部氏が代表を務める
税理士法人NCPのHPはこちら!

この記事を書いたライター

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