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なぜ仮想通貨税務なのか?他には無い専門的な分野でサービスを提供するホワイトテック会計事務所代表 菊地氏の考えとは?

HUPRO 編集部
なぜ仮想通貨税務なのか?他には無い専門的な分野でサービスを提供するホワイトテック会計事務所代表 菊地氏の考えとは?

会社経営をする父親の背中を見て育ち「いつか自分も力になりたい」と、思い続けてきた菊地貴加志氏。小さい時から数字を扱うことが得意だったことで、学生時代に簿記の勉強をはじめ、その後、公認会計士試験に合格しました。合格後は監査法人を経て独立し、現在は仮想通貨における税務という専門的な分野で活躍されています。今回はそんな菊地氏にHUPRO編集部がお話を聞いてきました。

【ご経歴】

大学卒業後 父親が経営する多店舗展開のレンタルビデオ店に従事
2012年 公認会計士試験に合格
2012年 有限責任監査法人トーマツに入所
2017年 医療特化型の税理士事務所に従事
2018年1月 ホワイトテック会計事務所を開業

簿記からスタートしたキャリア

公認会計士を目指したきっかけを教えてください。
経営コンサルタントに興味を持って就職活動していました。数字が得意な自信があったので、簿記2級から資格勉強を始めてみたら面白いなと思い、そのまま公認会計士資格を取って、コンサルタントの仕事に就くというキャリアに興味を持ちました。

そして、大学卒業後は公認会計士試験の勉強をしながら父親の会社の手伝いをしていました。レンタルビデオ屋さんだったのですが、当時は約20店舗あって、一緒に働いていました。23歳から勉強を始めて、試験合格したのは27歳なので計4年間ぐらいかかりました。

父親のお仕事を継ぐというのも考えたのですか?
それも少しはありましたが、兄がいたので、もし後を継ぐなら兄が継ぐと思っていました。でも、私もずっと父親の背中を見ていたので、経営に苦労している姿をみて「何か自分にできることはないか?」という気持ちはずっとありました。当時、レンタルビデオ事業は動画コンテンツのインターネット配信など時代の影響をダイレクトに受けていて、経営難が続いていましたので。

当時、税理士という選択肢はあったのでしょうか?
最初はどちらかというと税理士の方が興味を持っていたのですが、資格のことを調べると公認会計士になれば税理士にもなれるということを知りました。公認会計士だと監査法人にて監査業務を経験でき、上場企業の内部やあるべき会社の姿が見れるので、将来、中小企業を支援する上で活かすことができそうと思い、公認会計士を目指しました。

受験勉強で大変だった点を教えてください。
公認会計士試験は短答式と論文式の試験があって、短答式はマーク式で2回目で合格しましたが、そのあとの論文式試験が苦手で時間がかかってしまいました。
というのも、数字の計算ではなくて文章を書く記述が凄く多いんです。理系出身だったので文章を書くのがあまり得意ではなく、論文式の2回目で挫折してしまって、一度不動産会社に就職しました。

短答式は合格すると3年は免除されるんですが、2回目まではどこか焦りを感じてしまい、結果も思うようになりませんでした。
でも、ラストチャンスの3回目に挑む際に、父親の税理士に相談した時にかけられた「人生は思った以上に長いから焦らないでいろいろ経験した方が良いよ」という言葉に救われました。

論文3回目の時は、肩の力を抜いて挑むことができて、何とか合格することができました。あまり楽観視しすぎるのはよくないですが、私のように考えすぎてしまうような人は、肩の力を抜くことも大事かなと思います。

仮想通貨税務に強みを持って税理士として独立

公認会計士試験合格後はどのように経験を積んでいきましたか?
監査法人トーマツに入社して約4年半勤めました。元々、独立したいという考えがあったので、入った当時は、公認会計士の資格取得のために必要な実務経験期間が終わったタイミングで次のキャリアを歩もうと思っていました。
業務の幅に関しても、独立を前提に幅広く経験したかったので、上場企業の監査のみならず、アドバイザリー業務や公的機関やベンチャー企業の支援も経験をしました。

そして、監査法人を辞めて、その後は、税務を経験していなかったのでアルバイトで半年ほど、医療特化型の税理士事務所でお手伝いさせて頂きながら税務を学んで独立しました。半年ほど実務を経験させて頂いて「これなら自分でも出来るかな」と最初は思ったのですが、実際はそんなに甘くなかったですね。

なぜ、独立のタイミングで仮想通貨取引の対応を決めたのでしょうか?
元々、何かしら自分で武器を持ちたいと考えて医療特化型の税理士事務所に行ったのですが、丁度2017年に仮想通貨バブルみたいなものが起きて、確定申告をしたくても対応してくれる税理士がいない、というような状況だったんです。
印象的だったお客様のお話になりますが、地方で税理士に3名くらい断られてから、うちに相談しに来てくれた人がいたんです。

結果として、無事にその方の申告の対応をさせていただいたのですが、本人は申告をしたくてもできず脱税扱いになりそうなところだったので、本当に感謝をされ、他にも税理士探しに困っている方を一人でも支援したいと思いました。

税理士業界は高齢化が進み、最新の文化に馴染まなかったり、新しい情報の吸収が難しいという課題があります。
また、仮想通貨の税務処理について、実際に仮想通貨取引をやっていないとわからない部分がとても多いです。
私自身は、実際に仮想通貨取引をしていたのでひとつのチャンスかなと思ったので旗を上げました。

仮想通貨ならではの特徴的な業務はどのようなことがありますか?
まだ仮想通貨に関する税制が明確に決まっていないことが多いので、取引事象に応じて都度適切に判断していかないといけず、これがまずリスクがあり、難しい仕事だと思います。

仮想通貨取引の計算に関しても、一つの処理を間違えるだけで、数百万円以上損益が変化することもあるので、慎重な判断と処理が必要です。
なので、自分の見解も持ちながらも、他にも仮想通貨に知見を持った同じ税理士にも意見を聞いたり確認できる仕組みを作り、クライアントに対して質の高いサービス提供ができるように心掛けています。

あとは先ほどもお伝えしたように、実際に仮想通貨取引をしている人でないと、なかなか対応が難しいです。実際に弊所では他の税理士事務所からの相談も多かったりします。急にクライアント先が仮想通貨取引を始めて対応に困っているという相談です。

求人採用に関しても、税理士事務所で働いていた人を採用しても、仮想通貨取引をしているという人は稀でしょう。もちろん、こちらから仮想通貨取引をしてくれとも言えないので、そこは採用時における課題ですね。仮想通貨の税金計算だけで言うと、税理士事務所経験者よりも、むしろエンジニアとかの方が理解が早く向いていると思います。

仮想通貨の税金ってSNSやネット上では怖い情報が出ているので怖がる人も多いですけど、きちんと計算して確定申告すれば安心して取引ができます。でも、その計算が非常に難しくてなかなかご自身ではできないので、そのような時のために弊所のような事務所が支援させて頂いてます。

税務処理が分からないまま放置してしまうような人も多いんでしょうか?
他で聞いたケースだと、仮想通貨に対する税務調査が入ってから初めて税理士事務所に依頼して、調査対応を始めたという方がいました。
そのときは、ご本人もあまり仮想通貨の税金に詳しくないまま、取引をしてしまっていたようです。

購入した暗号資産が宝くじみたいな感じで当たって、一定の利益が確定したタイミングで、他の暗号資産に変えてしまったのですが、交換した暗号資産が残念ながら詐欺的なもので価値が暴落してしまいました。
結局、手元には日本円に換金しても微々たるものしか残らず、そして、利益確定したタイミングで発生した数千万円の納税だけが求められるということがありました。

税金は自己破産でも免れないので、もうどうしようもない状態になってしまいます。支払いができなければ、財産の差し押さえなどの手続きになってしまいます。
こういったこともあるので、適当に考えずに、取引をする前に専門家に相談して欲しいですね。

時代の需要に沿ってサービス展開

今も仮想通貨の相談は多いですか?
そうですね。仮想通貨市場は2017年に一度凄い盛り上がりを見せ、その後は下落傾向だったのですが、2020年にまた盛り返しました。市況に連動して相談数も増え、今は業務がいっぱいで新規の受付を停止している状況です。今は対応することができる職員の採用や育成が課題です。

今後はしばらく仮想通貨を専門に取り組まれていくのでしょうか。
そうですね。ただ、そこにこだわっているわけでは無くて、父親もそうですけど時代の変化に対応出来なかったのが、事業を畳むことになった原因だと思っていて、レンタルビデオ店をやっていてネット配信などが出てくる中でアンテナを張って業態転換に踏み切ることも必要だったのかなと今となっては思います。

なので、この暗号資産に関しても今は解決できるサービスや対応できる専門家が少ないので、高い需要がありますが、時代が進むに連れてその需要も減っていくと思います。そうなれば、その時代に人々が新たに求めている業務をサービス展開すればいいかなと考えています。そのためには、税理士業界以外の情報収集も意識して行っています。例えば、本を買う時にも自分とは関係のない業界の本を買ったりだとか、様々な業界の人との交流もキャッチアップするのに大事だと思いますね。

本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

今回お話を伺った菊地貴加志氏が代表を務めるホワイトテック会計事務所のホームページはこちら

この記事を書いたライター

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