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親の会社の倒産がきっかけで会計業界へ。経営面でのアドバイスを通し、税理士としてのやりがいを感じる江藤氏のこれから

HUPRO 編集部
親の会社の倒産がきっかけで会計業界へ。経営面でのアドバイスを通し、税理士としてのやりがいを感じる江藤氏のこれから

法学部卒業後、親の会社の倒産がきっかけで全く違う分野の会計事務所に就職した江藤俊平氏。2010年に税理士試験に合格し、翌年に個人事業として5年間開業したのち、パートナー税理士と法人化して現在6年目に突入しています。

今まで培ってきた経営面での経験を活かして経営者の力となり活躍する江藤氏に、HUPRO編集部がお話を伺いました。

【ご経歴】

2001年 福岡市内の税理士事務所で勤務開始
2010年 税理士試験合格(簿記論、財務諸表論、法人税、所得税、消費税)
2011年 江藤俊平税理士事務所設立
2016年 税理士法人gladを設立

親の倒産がきっかけで税理士の道へ

―税理士・会計士を目指したきっかけを教えてください。

親が2代目の製材業をしていたのですが私が大学生のときに倒産しました。そういう経営者をお金の面で助けられるような税理士になりたいと思い、まずは簿記の勉強を始めました。両親の影響が本当に大きかったです。

親の会社は10何億の売り上げがあった会社でしたが、つぶれるときには6億売り上げで6億借金の状況でした。法的整理せずに弁護士にお盆や正月の休みは弁護士がいないので、取り立てが来るかもしれないからに気を付けてと言われていました。

税理士は税金の収束を図って終わりですが、それだけで終わってはいけないのではないか?と思い、今の事務所経営をしています。書類上つぶれたのでそこで終わりという風にできるのですが、実際人間対人間なので、それで終わることはできないです。

―税理士試験の勉強方法を教えてください。
最初、私は簿記が苦手で苦労しました。税理士になったあとも、学問的にはいけないかもしれないですが借方貸方は覚えず、実務をするためなら左と右でいいと教えていました。僕の場合、税理士試験も10年ほどかかっています。だから、時間を掛けるしかないと思います。最初と最後は向き合う時間と勉強方法を変えていました。

最初はテキスト読んで問題を解くという感じで勉強していましたが、途中で簿記は丸暗記をすると解けるということに気づきました。理屈ではなく集計ルールとして暗記すると難しく考えず覚えることが出来ました。テキストは丸暗記していましたね。最初は使っていない脳を使うことで10分ほど勉強すると疲れて頭が痛くなっていました。今も1時間ほどしか集中できないので、直前に覚えて挑んでいました。

―当時苦労したことは何ですか?
私は魔のトライアングルと言っていますが、自宅と事務所と専門学校を数年行き来していました。勉強漬けの10年間で、それ以外の趣味が思い出せないというような感じでした。

最後の5年間でがっつり専門学校に通いました。苦労と言うよりは自分の感情を殺してひたすら勉強していました。辛い時もありましたが、父の仕事の大変な時期を目の当たりにし、絶対税理士になるという気持ちが強く、諦めずに勉強していました。

―なぜ最初の事務所を選択したのですか?
会計事務所とは決めていましたが、選択肢がなかったのでどこでもよかったです。今は就職活動で人が足りなければ採用してくれますが、当時は経験者しか取らないか、条件が悪いところしか採用してもらえませんでした。それ以外の道にいくことは考えていませんでしたので、手当たり次第に申し込みました。

前の事務所が悪いとかではなく、経験がなかったのでそこの事務所に入るしかなかったです。最初は知識が足りなかったので選択肢がなかったのですが、今となってはいい経験です。その事務所は半年でやめて、1年半自分で勉強して、その後また入所しました。

次に就職した会社は代表先生と気があったので10年間務めました。税理士試験は5科目あるのですが、当時3科目受かっていないと就職は厳しかったので、手当たり次第に受けていました。そこで科目合格し、税理士資格も取りました。
仕事については何も教えてもらえなかったので、自分で頑張るしかなかったです。自主的に学習しなければならなかったので、テキストや本もあまりなく、自分で購入していました。

現在得意としている経営面でのサポートをするようになったきっかけ

―どういったところに重きを置いて仕事をしていました?
最初の方は経験も知識もないので会計帳簿を作ったり、申告業務をやろうと思っていました。

ある日、25歳の天才の経営者が来たのですが、その方と一緒に会社を作ることになり、制約のない会計事務所だったこともあり、ずっと事務所にこもってその経営者と一緒に会社の経営面でのサポートを行いました。その後、その会社がすごく伸び私にとっていい経験になりました。その時のノウハウを使って、今のお客様にも指導しています。

コンサルティングの勉強会にも参加したりしましたが、ほぼ独自のノウハウや経験を持って勉強しました。さらには経営面のサポートにおいて必要だった、心理学や経営学なども勉強しました。

―現在どのようなお仕事をされているのでしょうか?

―現在どのようなお仕事をされているのでしょうか?
もう一人のパートナーと共同代表として税理士事務所に所属をしています。代表をしながらも、税務顧問をしていたり会計をしたりと幅広く社員と一緒の業務をしています。

主に、私は長引きそうな赤字の会社を立て直したりしています。様々な業務の中でも、比較的業績の悪い会社を経営面からサポートし、立て直しを行った時にはとてもやりがいを感じます。

―仕事をする上での苦労はありますか?
私の事務所は残業がないため帰らないといけないので、時間の制約があります。朝にきて昼も食べずに働いていて、1日6、7面談します。時間を融通して働けるのですが、仕事量は変わらないので、みんな必死に仕事をしています。その代わり16時には帰れるので、今まで前の会社で22時まで仕事をしていた社員は、帰宅後何をしていいか分からないと言っていますね。

―やりがいに関して教えてください。
どちらかというと税理士になる人は申告書などの税務が得意なのですが、私は経営が得意なので相談をよく受けます。東京の有名な先生も相談しに来てくれます。会社の経営学を学んだことも、今にも生きています。あとは実践で、今までの過去のお客様の成功体験があるのでそれも生きていますね。

―うまくいかないときはどういう風にしていますか?
うまくいくか、いかないか。それは経営者の深層心理が影響していることが多いです。もちろん表面的には儲けたいと思っているのですが、潜在的に儲けることが怖いと思っている人もいます。頭の中では儲けたいと思っていても心の奥底でお金が怖いという気持ちがあります。誰でも一瞬は会社がよくなるのですが、会社の通帳にお金があると不安になって使わないといけないと思う人がいますが、それは間違っています。そこの部分についてもアドバイスをするようにしています。

サポートをする際の言葉のチェイスは心理学が生きてきますね。心理学を学んでいる税理士はあまりいないと思いますが、経営面でのアドバイスを行う際はそこも大事なところです。

これからの税理士のありかたや助言

―5年後10年後どのようになっていたいですか?
税理士事務所は大きくなっても儲けることはないので、外部向けのサービスを作りたいです。役員会や取締役会などの運営をするので会議を進めていくことや、融資を受けたいという人にコンサルタントをするということなど、いろんなコンテンツを増やして様々な企業をサポートしていきたいと思っています。

―どんな風な税理士になりたいですか?
70歳までずっと続けていきたいと思っています。私は税理士がAI化するより、政府が制度自体を変えるのが怖いです。税度が変わるということは、今は税金が会計処理していますが、売上高に%をかけた金額を納めて終わりとなることです。そのようなことが起こっても組織が耐えることが出来るような準備を税理士として行っていきたいと思います。

―税理士を目指している方に向けてアドバイスをお願いします。
とにかく経験を積まないといけないと思いますので、国際税務、資産税などやりたい分野を自分で決めることが大切です。あとは、代表や組織との相性が合うかどうかは大事なことなので、そこを意識しながら仕事を選んでほしいですね。

独立して、税理士法人を作ると自分が嫌だった事務所と同じような会社になることが多いと言われています。税理士は労働基準法を守らないとよく言われているのですが、どこの事務所も同じような感じになっていきます。ですので、私の事務所は残業をしないようにしています。

―キャリアアップを考えている人へのメッセージをお願いします。
今、目の前起こっている課題を確実にクリアしていくことがキャリアアップに繋がります。苦手なので後回しにするのではなく、仕事でも人生でもやらなければいけないことは先にすることが大事だと思います。

―本日はお話を聞かせて頂きありがとうございました。

今回インタビューをさせて頂いた江藤俊平先生が共同代表を務める
税理士法人gladのHPはこちら/江藤俊平先生のTwitterはこちら

この記事を書いたライター

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