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新潟の雇用面に貢献したい。祖父、父の背中を見て税理士を目指した吉田雅一氏の軌跡を辿る!

HUPRO 編集部
新潟の雇用面に貢献したい。祖父、父の背中を見て税理士を目指した吉田雅一氏の軌跡を辿る!

祖父、父の影響から税理士を目指し、経営に携わりたいという夢を叶えるため、父が代表を務めるL&Bヨシダ税理士法人に入社。29歳の時に税理士試験に合格し、晴れて税理士に。代表になり新潟市に支社を設置した吉田雅一氏。

そんな吉田雅一氏にHUPRO編集部がお話を聞きました。
税理士試験の難しさや仕事内容、今後のキャリア形成に関する考え方などを重点的にご紹介していきます。

税理士を目指すきっかけ

―なぜ税理士になろうと思ったのか教えてください

私の祖父と父が税理士をやっているため、小さい頃から将来は税理士になるのかなと、ぼんやりと思っていました。
大学1年生の頃に、税理士の仕事はどんな内容なのだろうと父に話を聞いてみたところ、経営者のサポートができることが楽しそうだと思い、本格的に税理士を目指すことを決意しました。

―税理士の資格試験はとても難しいと聞きました。吉田さんはどれくらいで合格しましたか?

大学2年生の頃から勉強を始めました。大学に行きながら、予備校に通う、ダブルスクールをしていました。
大学生の時は不合格が続き、働きながら受験を続け、29歳で念願の税理士登録をしました。

―大学卒業後はどのように過ごされて勉強をしていましたか?

卒業後は2年間大原簿記学校の全日制の教室に通い、受験に専念しました。その後は実家の会計事務所で働かせてもらいながら勉強していました。勉強開始から資格取得まで10年近くかかりました。

―資格取得をする上で大変だったことはありますか?

受験期間中は、何をするにも試験のことが頭から離れませんでした。
息抜きで遊びに行っても、暗記した理論が頭に浮かんでくる、そんな生活でした。
合格することでしかその不安は取り除けないので、必死に勉強しました。
余談ですが、この頃体重が40㎏増える経験をしました。受験勉強のモチベーションを保つこと同様、体重を保つのは難しいんだなと感じました。

税理士登録後、代表へ

―代表になられたのはいつ頃ですか?また、代表になって変わったことはありますか?

代表になったのは税理士に登録してすぐなので、30歳の時です。その後、すぐに新潟市に支社を設置しました。最高責任者になったことで、「経営者とは何か」日々考えるようになりました。
経営には、お客様に選んで頂くための「マーケティング」、長くご利用頂くための「業務改善」、ミスが発生した時の「責任」、スタッフを雇用するための「採用」「組織作り」など、幅広い知識と経験、人間性が求められます。
決して楽ではありませんが、楽しいですし、経営経験を積むことで、自分の成長が感じられます。

―現在はどのような仕事をされていますか?

現在は、経営コンサルティング、マーケティング、組織マネジメント業務が中心です。
社員数が10名未満の時、30名の時、50名の時で、経営の課題が変わり、経営者の役割が変わるのだなと実感しています。

―上記の業務を行う上での苦労はなにかありますか?

経営コンサルティングは、税務と違い、正解が無い業務です。
目指すゴールはクライアント毎に異なりますし、売上を伸ばす方法も正解が決まっているわけではありません。セオリーはありますが、社長の性格や考え方、組織の風土によってやるべきことが異なります。
そのためクライアントの考え方、目指すゴールをじっくり聞き、一緒にゴールを目指すことが大切です。つい自分の価値観で話してしまいそうになるため、苦戦しました。
また、私は営業やマーケティングは得意だったのですが、組織マネジメントについては難しさを感じました。おかげで日々成長できています。

―コンサルティング業務で大変だった案件はありますか?

業績が赤字のお客様を黒字化する案件です。
赤字には原因があります。例えば営業やマーケティングの意識が低い、数字に無頓着、明確な目標が無い、など。まずは原因を探ります。
原因が分かれば次は改善ですが、ここが重要です。
クライアントの習慣や行動に変化を求めるので、正面からぶつかる必要があります。私は人と議論するのが得意ではないので、かなりエネルギーを要します。
その分、業績が改善した時のやりがいは、この上ないです。

―吉田さんは税理士資格以外に様々な資格をお持ちだと思います。どのような資格をお持ちでしょうか?

傾聴力をつけるための資格、融資の資格、コンサルティングの資格を取得しています。
税や会計に詳しいだけではなく、幅広い知識と力があり、モチベーションを上げられる専門家になりたいです。「吉田と話したらやる気が出た!」そんな専門家が理想です。

―仕事をする上で、どんな時にやりがいを感じますか?

お客様から感謝された時ですね。
今でもよく覚えているのが、「絶対に無理だろう」と言われた融資の審査を通した時のお客様からの感謝の言葉は嬉しかったです。
また、コンサルティングで赤字から黒字になった時の感謝の言葉も忘れられません。
感謝の言葉に、熱量を感じました。
また、社員と一緒にお客様対応をしたときに、社員が前回よりも成長していることが分かった時は嬉しかったです。

マネジメント業務について

―マネジメント業務では、採用も担っていますよね?

そうですね。採用の面では、たくさんの良い方に来ていただいて採用できるようになってきました。新潟だと若い方が首都圏で就職することが多いので、それ以外の選択肢を示せるようになりたいと思っています。L&Bがあるから東京に出なくてOKと思ってもらえたら最高ですね。

―人材を集める中で苦労してことはありますか?

最初は、面接という短い時間でジャッジを下すということに抵抗がありました。
人間性、価値観、会社にマッチするのか、これを短時間で見極めることは容易ではありませんでした。
そして求職者の方も、経営者である私や会社に対して同じ思いがあるはずです。
採用活動を続ける中で学んだことですが、お互いにギャップが無いようにすることが大切だと気がつきました。
よく見せようとして、蓋を開けてみたらガックリ、これでは誰も幸せになれません。
思い切って素を伝える。選ばれるには自分の素を磨いていくことが大切ですね。

―組織が大きくなっていく中で大変になったことはありますか?

当初は私以外の全社員がフラットな組織にしたいと思っていました。責任を取るのが私です。
しかし人数が増えるにつれて私への報連相や責任が比例して増えるため、時間的限界を感じました。
今後はフラットな社風をキープして、役割として階層を明確にしていこうと思っています。

創業55年のL&Bヨシダ税理士法人。創業以来黒字という快挙

―黒字を保つ秘訣とはなんでしょうか?

お客様の見本となる経営ができるように、自社の数字にこだわることです。
職業柄、お客様には黒字の大切さを伝えています。私たちが実現できなければ説得力が無いと思いますので、黒字経営にこだわっています。

―顧客満足度を上げるためにしている努力はなんでしょうか?

とにかく前に進むようにしています。
現状維持は衰退だと考えています。そのため前年より前に進む。
例えば、売上やお客様数の増加、新規事業の開発、新たな人の採用、事務所の増床などです。
私たちが成長することで、できることが増え、勢いもつきます。お客様からは「頼もしいな」と思っていただきたいと思っています。

社員の向上心も大事にしてます。
社員に向上心があればどんどん自己成長しサービスレベルが上がるため、お客様に満足して頂けます。また、お客様である経営者は前向きな人を好む傾向があると思っています。

―L&Bヨシダ税理士法人の強みはなんですか?

「人財」です。
良い意味で会計事務所らしくない人材を集め、ダイバーシティを目指しています。
異なる業界で活躍した方、コミュニケーション能力がずば抜けている方、周りを元気にする方、など。
数字に強い、税に詳しい、といった「専門知識」は大切ですが、これは後からつけられます。反対に「異業種経験」「コミュニケーション能力」「周りの人を考える人間性」等は簡単にはつかないものなので、特に大切にしています。
様々なバックボーンや能力を持つ方が、専門性を磨くことで、面白いことができると思っています。

今後の見据えるキャリアとは

―吉田さんが5年後10年後に見据えるキャリアはなんでしょうか?

組織として、5年後に社員が100名、お客様2,000社を抱える税理士法人、コンサルティング会社を目指しています。
拡大を目指す理由は、新潟の雇用創出をすること。成功できるクライアントを増やすことです。
選考中の学生さんから「東京で就活する友人が多い。新潟にはやりたいことができる会社が少ないから仕方がない」という言葉を聞き、私は「L&Bが雇用の受け皿になれたら最高だな」と思いました。なので社員は増やしたいです。
あとは新潟の起業率は全国ワースト2~5位なので、それを引き上げたいです。
本当は起業したいけど、二の足を踏んでいる起業予備軍の方が、「L&Bが支えてくれるから、チャレンジしてみよう」となれば最高ですね。そのためにはたくさんのクライアントを支援し、成功させることが必須です。税だけではなく、資金調達、マーケティング、人事、経営者の心のカウンセリングなど、経営に関することを広く支援していきます。

10年後は、新潟の全ての学生さんと起業家の方が憧れる組織になりたいです。

―最後になりますが、今後の税務業界を担う人に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。

今後会計の自動化が進み、「税理士はいなくなる」と言われるせいか、税理士の受験者数が減っています。もったいないことだと思います。なぜかというと、税理士資格は控えめに言っても素晴らしい資格だからです。
確かに、今後は自動化が進み税金の計算だけではやっていけなくなるかもしれません。

でもこれらが全て自動化されても、何ら問題はありません。
税理士資格には信用力があり、そこに価値であるからです。
例えば、忙しい経営者は信用できるか分からない人の話は聞きません。時間こそ価値なので当然です。普通は信用を得るためには、時間・手間・コストをかける必要があります。
しかし税理士は初対面でも多くの場合、真剣に話を聞いてもらえます。それだけの信用力がある資格だからです。
経営者と話ができればその方の悩みもわかるので、一緒に仕事をしたり、人を紹介して悩みを解決することもできます。仕事が無いなんて考えられないですね。
もちろん、実力を磨かなければ続きませんし、会計や税計算が自動化して楽になった分、コミュニケーション能力、スピーチ力、コンサル力などを磨く必要があります。

税理士という強い信用力と、課題を解決する力つければ間違いなく多くの人から必要とされるはずです。
税理士を目指す方はネガティブな情報が気になるかもしれませんが、自信をもってチャレンジしてほしいと思っています。一緒に業界を盛り上げましょう。

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

本日お話しをお伺いした吉田氏が代表を務めるL&Bヨシダ税理士法人のHPはこちら!
L&Bヨシダ税理士法人

この記事を書いたライター

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