証券取引所に上場していない非上場会社の決算公告はあまり目にしません。
非上場会社も決算公告はしなければならないのでしょうか。また、決算公告をする場合、やりやすい方法はあるのでしょうか。
今回は非上場会社も決算公告が必要なのか、非上場会社にもやりやすい決算公告方法について解説していきます。
決算公告の概要については下記コラムをご覧ください。
証券取引所に上場しているかしていないかに関わらず、会社法第440条第1項に決算公告をしなければならないと定められています。
そのため、非上場会社であっても決算公告をすることは必須です。
ただし、以下の場合は決算公告が不要になります。
①有価証券報告書を提出しなければならない株式会社(会社法第440条第4項)
②ホームページなどに決算公告に必要な情報を掲載している株式会社(会社法第440条第3項)
上記の場合を除き、非上場会社は決算公告をする必要があります。
そのため、決算公告をしなかった場合は会社法第976条では100万円以下の罰金とされています。
しかし現状、この罰則はあまり機能しておらず決算公告をしていない会社も多いです。
ただ、決算公告をしないことで罰金を課されるリスクがあること、また、法律を守ることが取引時の信用にもつながるので決算公告は必ず行いましょう。
決算公告はしなければなりませんが、費用や手間はあまりかけたくありません。
決算公告の方法は、①官報、②日刊新聞紙、③電子広告の3つがありますが、どの方法をとるのが一番いいのでしょうか。
結論からお伝えすると、電子公告が費用も手間も少なく対応することができます。
しかし会社にインターネットに長けている人がいない場合など、インターネット掲載に時間も労力もかかる場合は費用がかかっても官報を選択するといいでしょう。
官報の掲載費用は日刊新聞紙よりもかからず、一番小さい枠だと10万円かからず掲載することができます。
また、たくさんの人に周知する必要がある場合は、安くても10万円はかかりますが日刊新聞紙を選択するのがいいでしょう。
決算公告の方法は掲載にかかる時間や費用、どれだけの人に知ってもらう必要があるかなど費用対効果も考えて選択することをおすすめします。
ここでは費用も手間も少なく対応できるため、一番選ぶ会社が多いであろう電子公告のポイントをとりあげます。
自社ホームページなどに掲載するだけでは決算公告にはならないので注意が必要です。
決算公告を電子公告する際のポイントを3つお伝えします。
決算公告を電子公告でする場合は官報・日刊新聞紙の場合と異なり、貸借対照表等の全文を掲載する必要があります。(会社法第440条第3項)
官報・日刊新聞紙の場合は、貸借対照表等(大会社の場合は貸借対照表・損益計算書、大会社以外の場合は貸借対照表)の要旨のみ掲載で問題ありません。
そのため、官報・日刊新聞紙よりも詳細な情報が世に出回りますし、インターネットは官報・日刊新聞紙よりもアクセスがしやすいので、より多くの人の目に触れる可能性が高いです。
また電子公告の場合は定時株主総会の終結の日から5年間の掲載が求められるので、過去の情報をみられることにもなります。
この点が気になる場合は再度、官報・日刊新聞紙と比較・検討することをおすすめします。
決算公告については、自社ホームページに限らず他のWebページに掲載することもできます。
また、他の公告事項と異なるWebページに掲載することも可能です。
いずれにしても、貸借対照表等が掲載されるWebページのURLを事前に登記する必要があります。(会社法第911条第3項第26号)
電子公告する場合、掲載前に電子公告調査機関に電子公告調査を受ける必要がありますが、決算公告は電子公告調査を受ける必要がありません。(会社法第941条)
決算公告以外の公告は電子公告調査機関の調査費用がかかり、官報・日刊新聞紙の掲載料以上に費用がかかる可能性があるので、会社の公告すべてを電子公告にする場合は注意が必要です。
会社の公告方法が官報・日刊新聞紙の場合でも、決算公告のみインターネット上のWebページに掲載することができます。(会社法第440条第3項)
会社の公告すべてを電子公告に変更する場合は定款の変更が必要になり、株主総会決議をしなければなりませんが(会社法466条)、決算公告のみインターネット上のWebページに掲載する場合は定款変更は不要です。
また決算公告のみインターネット上のWebページに掲載する場合、決算公告以外の公告は官報・日刊新聞紙になるため、電子公告調査費用も不要になります。
そのため、会社の公告方法は官報・日刊新聞紙のまま、決算公告のみインターネット上のWebページに掲載する方法が費用も手間も少ない方法といえます。
ただし上記記載の通り、貸借対照表等を掲載するWebページURLを登記する必要があります。
非上場会社が決算公告をしなければいけないことはお話ししましたが、実際にどの方法をとればいいのか、手間も時間もなるべくかからずに決算公告する方法を検討してきました。
上記では会社の公告方法は官報・日刊新聞紙のまま、決算公告のみインターネット上のWebページに掲載する方法が費用も手間もなるべくかからない方法だとお伝えしました。
しかしこの方法だと情報開示することが増えたり、より多くの人に見られることになります。
再度、費用・手間と情報の開示範囲を含め会社の決算公告の方針を決めて実行することをおすすめします。