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車を取得した場合の減価償却方法は?耐用年数や償却率も紹介します

岡山 由佳
車を取得した場合の減価償却方法は?耐用年数や償却率も紹介します

事業者が事業に使用する車を取得した場合、その取得価額を取得した年度に車両費として一括で費用計上をしてはいけません。車の取得価額を資産計上したうえで、減価償却の手続きを行う必要があります。
今回は車を取得した場合の減価償却の手続き方法について、耐用年数や償却率と共に詳しく解説していきます。

減価償却とは

減価償却とは

車等、事業者が事業のために使用をする減価償却資産を取得した場合には、減価償却を行い適切に費用化させる必要があります。
減価償却は、取得した減価償却資産を、その取得した年度に一時に費用計上を行うのではなく、その耐用年数に渡って各年に按分をした費用を計上する会計手続きです。

減価償却を行う必要性

会計処理によって作成される損益計算書は適切な収益と費用の対応関係をもってその金額が表示されるべきものです。
一般的に減価償却資産は、その取得した年度に一時的に収益を得るものでは無く、長年の使用期間をもって収益を得続けるもために取得をするものです。

仮に減価償却を行わずに、その取得した年度に一時にその取得価額を費用として計上をしてしまうと、取得した年度の損益計算書には、収益は減価償却資産を用いて得た1会計年度分の収益しか計上されませんが、費用は使用期間分全ての金額が計上されてしまいます。

つまり収益と費用の適切な対応関係が損益計算書に表示することが出来なくなってしまいます。
このようなこと等から、減価償却は会計上必要な手続きとなっています。

減価償却の概要については、下記コラムをご参照ください。

減価償却の方法、定額法と定率法

一般的な減価償却の方法は、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産に対しては定額法又は定率法が適用をされます。

定額法とは

取得価額に対して耐用年数に応じた定額法の償却率を乗じた金額を、減価償却費として計上をする方法です。
償却費の額が原則として毎年同額となる特徴があります

定率法とは

未償却残高に対して耐用年数に応じた定率法の償却率を乗じた金額を、減価償却費として計上をする方法です。
ただし、上記の金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は次改定取得価額に改定償却率を乗じた金額が減価償却費として計上されます。
償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する特徴があります

車の減価償却方法

事業用に使用をする車を取得した場合、車は減価償却資産に該当をするため、上記の定額法又は定率法を用いて減価償却の手続きを行う必要があります。

個人事業主の場合

個人事業主が車を取得した場合、原則として定額法をもって減価償却を行う必要があります。

個人事業主の減価償却費の計上例

200万円で総排気量が0.66ℓ以下の小型車を購入した場合、この耐用年数は4年です。
耐用年数4年の定額法の償却率は0.25です。
よって、200万円に0.25を乗じた50万円が各年度に計上される減価償却費であり、4年間同額の減価償却費が計上されます。

法人の場合

法人が車を取得した場合、原則として定率法をもって減価償却を行う必要があります。

法人の減価償却費の計上例

200万円で総排気量が0.66ℓ以下の小型車を購入した場合、この耐用年数は4年です。
耐用年数4年の定率法の償却率は0.5です。また償却保証額は、200万円に対して保証率0.12499を乗じた24.9万円です。
よって、取得した年度は、200万円に0.5を乗じた100万円が減価償却費として計上されます。

2年目は200万円から100万円を差し引いた未償却残高100万円に0.5を乗じた50万円、3年目は100万円から50万円を差し引いた未償却残高50万円に0.5を乗じた25万円が減価償却費として計上されます。
4年目は償却保証額を下回るため、50万円から25万円を差し引いた未償却残高25万円が改定取得価額となり、改定保証率1.0を乗じた25万円が減価償却費として計上されます。

車の耐用年数

定額法及び定率法において取得価額や未償却残高に対して乗じる償却率は、耐用年数によって定められています。
実際の使用年数とは異なるため、注意が必要です。例えば、自転車は会計上では耐用年数が2年とされ、2年間で価値が無くなるとされていますが、実際に2年間で自転車を廃棄する事業者は少ないでしょう。
車の耐用年数は、下記のように国税庁によって定められています。

一般用のもの

自動車

・総排気量が0.66ℓ以下の小型車…4年
・貨物自動車のうちダンプ式のもの…4年
・貨物自動車のうちその他のもの…5年
・報道通信用のもの…5年
・その他のもの…6年

2輪、3輪自動車

3年

自転車

2年

リヤカー

4年

運送事業用、貸自動車業用、自動車教習所用のもの

自動車

・貨物自動車にあっては積載量が2t以下、その他のものにあっては総排気量が2ℓ以下の小型車…3年
・総排気量が3ℓ以上の大型車…5年
・その他のもの…4年

乗合自動車

5年

自転車、リヤカー

2年

被けん引車その他のもの

4年

出典:国税庁主な減価償却資産の耐用年数

耐用年数と償却率

上記のように車の耐用年数は2年から6年となっています。
2年から6年の償却率は下記のものとなっています。

定額法償却率

・2年…0.500
・3年…0.334
・4年…0.250
・5年…0.200
・6年…0.167

定率法償却率

・2年…0.100
・3年…0.667
・4年…0.500
・5年…0.400
・6年…0.333

定率法改定償却率

・2年…なし
・3年…1.000
・4年…1.000
・5年…0.500
・6年…0.334

定率法保証率

・2年…なし
・3年…0.11089
・4年…0.12499
・5年…0.10800
・6年…0.09911

まとめ

上記のように車の減価償却方法は定められています。償却方法を変更したい場合は所定の届出が必要になります。
減価償却の手続きは会計上とても重要なものです、決算時には必ず確認を行い、正しい財務諸表が作成出来るようにしましょう。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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