この記事では、金融機関からの融資を受ける際に作成が必要になる「事業計画書」の作り方について、具体的なポイントを5つ紹介しています。事業計画書は資金調達の成否を分けるとても重要な書類です。融資審査担当者がどのような点を見ているのか?を理解しておくようにしましょう。
事業計画書は資金調達の成否を分ける重要な資料です。
説得力のある事業計画書を作成し、金融機関からの融資をスムーズに引き出すためには、以下の5つのポイントを理解しておくと良いでしょう。
それぞれのポイントについて、順番に解説していきます。
事業計画書を作成する上で最初にやるべきことは、この書類を作成する目的を明確にすることです。
簡単に言えば、これから作成する事業計画書を使って、何をするのか?ということですね。
事業計画書作成の目的は、大きく分けて2つあります。
事業計画書は、企業の事業目標を明確にし、どうすればこの事業がうまくいくかの道筋を具体化するのに役立ちます。
事業計画書を作成する作業をしていく中で、あいまいだった企業の課題がはっきりしてくるはずです。
課題はまずは発見することが重要です。
事業計画書の作成は、企業の事業力を高めるきっかけになるでしょう。
事業を成功させるには、金融機関や出資者の協力が欠かせません。
事業計画書を作成していく上では、客観的な数値によって事業内容を説明することが求められます。
(多くの金融機関では、融資審査にあたって事業状況について説明する書類として事業計画書の作成を求めてきます)
具体的な数字を使って企業の魅力を伝えることで、対外的に信用を獲得することは、事業計画書のもっとも重要な役割の1つです。
金融機関からの資金調達を成功させるにはどうしたら良いでしょうか。
それは「この日までに、借りたお金を確実に返済することができる」と金融機関に伝えることです。
そのためには、根拠のある数値を示し、客観的に見てこの事業には収益性があるとアピールする必要があります。
そこで、アピールする数値を出すために、収支計画を立てましょう。
収支計画とは、事業の収入と支出を計算することで、以下の2つの書類を作成することで完成します。
損益計算書とは、一定期間内においての経営成績を表すものです。
いくらくらいの利益が出るかを伝えることができます。
利益を出す力は、企業の存在価値を示すものといっても過言ではありません。
キャッシュフロー計算書は、現金の流れを表すものです。
損益計算書によって把握される「利益」は必ずしも現金の流れとは一致しないので、この点を保管するために作成します。
事業が資金をショートすることなく、うまく回っていることを伝えるのがキャッシュフロー計算書の目的です。
資金調達を成功させるには、数字によるアピールだけでは足りません。
事業の説得力を高めるには、コンセプト・理念・ビジョンといった「数字では表すことのできないもの」を盛り込むことが大切です。
定量的な数字の情報と、定性的なコンセプト・理念・ビジョンの両輪が合わさることで、その事業がうまくいくイメージを伝えることができるのです。
コンセプト・理念・ビジョンそれぞれの意味について、順番に見ていきましょう。
コンセプトとは、その事業が「誰に」「何を」「どうやって」商品・サービスを提供するかをまとめたものです。
たとえば、イタリア料理店を経営しようとする場合、
「健康意識の高い中高年層」向けに「有機野菜を使った料理」を「本場の一流シェフが腕を振るい」提供する。といった感じです。
このようにコンセプトをまとめることで、事業がいきいきとイメージしてもらえるようになります。
理念とは、その事業が大切にしている価値観です。
「その事業が、社会にどんな貢献をして、どのような使命を担うことができるか」を表したものが理念と言えます。
理念が重要な理由は、何か判断に迷った場合の指針になるからです。
事業や会社をはじめる理由は、人によってさまざまです。
楽しそうだからとか、儲かりそうだからと思い立ち、はじめることもあるでしょう。
しかし、事業を行っていると、重要な判断に迫られる局面があります。
そんなとき、しっかりとした理念を打ち立てていることで、正しい決断を下すことができるのです。
たとえば、イタリア料理店の例ですと「おいしく健康的な料理を通して、人々に健やかな生活を提供し、いきいきとした生活に寄与する」というような理念が考えられるでしょう。
この理念があれば、たとえば健康的とは言えないが、コストが低く儲けがでる食材を使うかどうか、という局面に出会ったときでも正しい判断を下すことができます。
ビジョンは、将来その事業がどんな姿になっているかという目標です。
具体的な将来像を描くことで、事業のイメージを鮮やかにすることができます。
ビジョンを描くには、事業の成功物語を作ります。
具体的には、事業によって「誰が」「いつ」「どこで」「何を」手にしているのかを考えます。
コンセプトと少し似ているようですが、コンセプトが事業の概要であるのに対し、ビジョンは将来の事業の姿、つまり目指すべき具体的なゴールです。
イタリア料理店の例でいえば「10年後には地域の40代以上のミドル世代が週末においしい料理を楽しみにやってくる」
そして、「店の規模はどれくらいで、客単価がいくらで、店内の雰囲気はこういう感じ」というゴールを具体的に設定し、成功物語を描きます。
過去の沿革や現状の課題を明確にすることで、事業のイメージを固めることも必要です。
これらの情報は読み手側にとって、事業の概要をつかむのに役立ちます。
沿革は、これまでにやってきた実績をアピールするところです。
事業のスタートが間もない場合や、スタート前であっても、それまでにやってきた準備や積み上げてきたものを書いておくことが重要です。
決してただ事実を押し並べるだけでなく、こんなにも実績を積み上げたというストーリーを読んでもらえるようにしましょう。
また、現状の課題を冷静に分析しておきましょう。
ビジョンから現状までの距離をはかり、何がどれだけ足りていないのかを探します。
現状に課題があるのは当たり前のことです。
その課題をどれだけ分かっているか、そこを読み手は判断します。
そうすることで、事業全体の説得力を底上げすることができます。
認定支援機関とは、中小企業・小規模事業者を支援する公的な支援機関です。
支援はさまざまで、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント、金融機関などが支援機関として認定されています。
こういったプロの目線から、自分の事業を見てもらうことにより、課題とやるべきことを具体的にすることができるのです。
課題について助言をもらい、サポートを受けることで事業の成功の可能性が拡がります。
それら認定支援機関の所見は、事業の説得力を高めるので必ず書くようにしましょう。