消費税法に違反すると、様々な罰則規定があります。消費税を納めないことは犯罪であり、脱税にあたる行為です。消費税は、最終消費者が負担するものですが、実際には事業者が消費税を預かって、それを納めなければなりません。
事業者はきちんと自分が納めなければならない税額を計算して、適正な消費税額を納める必要があります。そのためには、消費税の実務をきちんと理解しておく必要があります。この記事では、消費税に関する実務について簡潔に解説していきます。
消費税は、事業者が売上代金に上乗せして回収した税額を国に納めなければなりません。消費税は最終消費者が負担するものですが、生産や流通の各段階の取引においても課税がなされています。
ある生産の途中段階に介在している企業であれば、消費税は最終消費者が支払う分を預かっているという状況にあるので、預かった消費税を納付するという義務を課されています。
しかし、消費税を売上代金に上乗せすることを繰り返していると、販売代金に対して税額が累積していってしまいます。
消費税が単純に累積していくと考える場合、手続きが煩雑となり、システマティックに経理処理を行なうことが難しくなります。
そこで日本においては、売上代金に上乗せして回収した消費税額から、仕入れを行なったときの代金に上乗せして支払った消費税額を控除した残額を納税するという「仕入税額控除」という仕組みが採用されています。
仕入税額を控除することによって、その企業が生み出した付加価値と事業者の納税額が一致するようになります。付加価値とは、ごく簡単に言えば、100円で仕入れたものを加工して200円で売ったような場合に、100円分価値が増えているということです。この付加価値と税額が一致するようになることで、事業者に対する適切な税負担を担わせることができるようになります。
なお、仕入税額控除の計算方法は、事業者の負担を軽減することを目的として、課税売上高の規模によって計算方法が異なりますので、計算の際には注意が必要です。
このようにして計算された消費税について、各事業者は課税期間ごとにその課税期間が終了する日の翌日から2ヶ月以内(個人事業者は翌年の3月31日)に、納税地を所轄している税務署に確定申告書を提出して、税金を納付しなければなりません。
消費税を偽ったり、不正な行為をして消費税を免れることは脱税となり、罰則を課されることになります。以下では、消費税法に違反した場合、どのような罰則規定の適用を受けることになるのか解説していきます。
消費税法では、第六章において罰則を規定しています。第64条では、「偽りその他不正の行為により、消費税を免れ、又は保税地域から引き取られる課税貨物に対する消費税を免れようとした者」(第1号)と、「偽りその他不正の行為により(中略)還付を受けた者」(第2号)に該当する者については、「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されています。
したがって、消費税を偽ったり、不正な行為をして消費税を免れたりした場合には、消費税法の罰則規定が適用されることになります。細かい消費税法の罰則規定については、第64条以降で確認することが可能です。
消費税は、きちんと納めなければ罰則を課されてしまうものです。消費税の計算方法は事業者の売上規模などによって変わります。消費税の計算方法がよくわからない場合には、税務署か税理士に相談するなどして、きちんと消費税額を計算し、適正な税額を納められるようにしておくことが大切です。