毎月必ず行わなければならない給与計算。人数が少ない場合は、エクセルなどの表計算ソフトを利用して計算式を用いて何とかしたり、社労士さんに依頼したりするなど、様々な方法があります。人数が少ない会社であれば、経費のことも考えるとExcelなどで良いかと考えがちですが、給与計算ソフトの導入はかかる人件費よりも大きく生産性を向上させてくれるため、導入にはメリットしかありません。本記事では、給与計算ソフトを導入すべき理由について解説します。
給与計算をExcelなどで明細も含めて作成しているという会社は意外と多いものです。Excelなどの表計算ソフトは関数を入れて簡単に作れますし、費用が掛からないというメリットがありますが、その反面、手入力・手計算によるミスを生じやすいというデメリットがあります。
給与計算ミスは、専用の検定があるくらい処理に手間がかかる業務です。
法人であれば源泉徴収した金額を税務署に納付する必要がありますが、計算をそもそも間違ってしまっては膨大な手戻り業務が発生します。
場合によっては税務調査で指摘されて追徴課税を被るなどのリスクがあります。
また、給与計算ソフトを導入するのに二の足を踏んでいる企業は費用面が気になっていると思われますが、計算とチェックにかかる人件費を比べてみれば、実は給与を手計算するというのは、給与計算ソフトを導入するよりも割高。より固定費をかけて計算ミスが生じやすい業務を行っているというのがわかるはずです。
もしかすると、給与計算については従業員にサービス残業をさせていたのかもしれませんが、昨今の働き方改革もあり、時間をかけて手間のかかる仕事を従業員にさせている場合は、残業時間の上限規制でアウトになるおそれも。
中小企業においても、労働時間把握の義務化と、時間外労働の上限規制の施行は2020年4月に迫っています。今回の改正によって、36協定をかわしていたとしても、残業は月45時間、年間360時間が上限だと法律にしっかりと明記されました。違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
詳しくは以下の記事をご確認ください。
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毎年変わる社会保険料や労働保険料、源泉徴収金額に複雑な年末調整など、給与計算には様々な決まりがあります。給与計算ソフトは、計算を自動化してくれますので、ミスが許されない業務においてシステム化するメリットが非常に大きいのです。
給与計算ソフトは、給与計算を自動化できるソフトウェアです。手入力・手計算の割合を減らすことができますので、業務が効率化される上に正確性も担保されます。
インストール型であればバージョンアップ、クラウド型なら何もしなくても最新の税率や法律改正・源泉徴収額などが反映するため、入力漏れやミスが生じにくいというメリットがあります。
Excelで給与計算を行い、明細表を出力するといった業務は、ともすれば担当者のスキルが高くないと対応できませんが、給与計算ソフトは知識がない方にも使えるように設計されているため、担当者の変更があっても安心です。
もちろん給与計算ソフトを導入するデメリットもないとはいえません。
インストール型、クラウド型いずれにしても費用が掛かります。インストール型はソフト購入後にバージョンアップによっては再購入が必要、クラウド型はサブスクリプションタイプで定期的な料金がかかるケースがほとんどです。
しかし、前述の通り給与計算を手計算で行うことに対する人件費を考えると、ソフトウェアを導入する方が安く済むのではないでしょうか。
意外と障壁になるのがPC操作です。経理業務は会社によってはベテラン社員が勤めている場合もあり、そもそもPC操作に対して拒否感を持っている場合も少なくありません。
しかし、いつまでも属人化した業務ですと、世代交代や業務引き継ぎも思うようにいかず、そのスタッフに何かあったら給与支払いが停まってしまうという最悪の事態になりかねません。
操作方法を含め、サポート体制がしっかりとしたソフトを選ぶことで、導入サポートが可能です。
端末にインストールして使うタイプは、PCの破損やハードディスクの損傷に備え、バックアップを取っておく必要があります。
給与計算ソフトは、他にも勤怠管理システム、人事情報システム、経理システムなど、様々なシステムと連動させることで、さらなる業務効率化を図ることができます。
例えば、勤怠管理システムであれば、残業時間や休日出勤を連動させて、時間外手当の計算を自動で行うとか、経理システムと連動させて給与振込口座への支払いを行うなどです。
給与計算ソフトを導入する場合は、今後のシステム化も視野に入れ、他のシステムと連携しやすいもの、操作が体感的にわかりやすいものを選ぶことが、業務効率化の成功へのカギとなります。