5月より2次公募が開始されることで注目を集めている事業再構築補助金。ウィズコロナ・ポストコロナ時代に適応して事業者が生き抜くためには、申請を検討したい補助金のひとつです。今回は、事業再構築補助金とはどのような補助金なのか、また補助対象となる事業再構築事業とは何かについて解説していきます。
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ、ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。
主な申請要件は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて売上が減っていること、新分野展開、業態転換、事業転換、業種転換、事業再編のいずれかに取り組むこと、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定することが必要です。
出典:経済産業省HP
事業再構築補助金の補助金額と補助率は、その申請枠によって異なります。
通常枠の補助金額は、中小企業者等の場合は100万円から6,000万円、中堅企業等の場合は100万円から8,000万円です。
補助率は中小企業者等の場合は2/3、中堅企業等の場合は1/2です。
卒業枠の補助金額は、6,000万円超 から1億円であり、補助率は2/3です。
グローバルV字回復枠の補助金額は、8,000万円超から1億円であり、補助率は1/2です。
緊急事態宣言特別枠の補助金額は、従業員数 5 人以下の場合は100万円から500万円、従業員数6人から20 人の場合は100万円から1,000 万円、従業員数21人以上の場合は100万円から1,500万円です。
補助率は中小企業者等の場合は3/4、中堅企業等の場合は2/3です。
出典:事業再構築補助金HP
上記いずれの申請枠で申請するにおいても、事業再構築事業に取り組むことが必要です。
補助金の対象となる事業再構築は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編をいいます。
新分野展開とは、中小企業等が主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいいます。
新分野展開に該当をするためには、下記の全てに該当をする必要があります。
①事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスが、新規性を有するものであること。
②事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスの属する市場が、新規性を有するものであること。
③事業計画期間終了後、新たに製造する製品又は新たに提供する商品若しくはサービスの売上高が、総売上高の1/10以上を占めることが見込まれるものであること。
中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいいます。
事業転換に該当をするためには、下記の全てに該当をする必要があります。
①事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスが、新規性を有するものであること。
②事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスの属する市場が、新規性を有するものであること。
③事業計画期間終了後、新たに製造する製品又は新たに提供する商品若しくはサービスを含む事業が、売上高構成比の最も高い事業となることが見込まれるものであること。
業種転換とは、中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいいます。
業種転換に該当をするためには、下記の全てに該当をする必要があります。
①事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスが、新規性を有するものであること。
②事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスの属する市場が、新規性を有するものであること。
③事業計画期間終了後、新たに製造する製品又は新たに提供する商品若しくはサービスを含む業種が、売上高構成比の最も高い業種となることが見込まれるものであること。
業態転換とは、製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいいます。
業態転換に該当をするためには、下記の全てに該当をする必要があります。
①事業を行う中小企業等にとって、事業による新たな製品の製造方法又は新たな商品若しくはサービスの提供方法が、新規性を有するものであること。
②製品の製造方法を変更する場合にあっては、製造される製品が新規性を有するものであること。
③商品又はサービスの提供方法を変更する場合にあっては、提供される商品若しくはサービスが新規性を有するものであること又は既存の設備の撤去、既存の店舗の縮小等を伴うものであること。
④事業計画期間終了後、新たな製品の製造方法又は商品若しくはサービスの提供方法による売上高が、総売上高の1/10以上を占めることが見込まれるものであること。
事業再編とは、会社法上の組織再編行為である合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいいます。
事業再編に該当をするためには、下記の全てに該当をする必要があります。
①組織再編行為等を行うものであること。
②新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うものであること。
各事業の具体例をご紹介致します。
ドライブレコ、ダー等の車載製品を製造していたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により売上が減少をしていた製造業者が、新たに需要の拡大が見込まれる医療用ライト等の医療分野向け製品の製造を開始した場合は、新分野展開に該当をします。
航空機分野の部品を製造していたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により売上が減少をしていた製造業者が、精密加工技術を用いて、新たに医療用機器の製造を開始した場合は、事業転換に該当をします。
農業機械のリース事業を営んでいたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により売上が減少をしていた賃貸業者が、農業に限らず多くの分野で利用が期待されているドローンの操作
を学ぶための通信教育ビジネスを新たに運用した場合は、業種転換に該当をします。
アパレルショップを経営していたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により売上が減少をしていた小売業者が、ECサイトや注文管理システムの構築、店頭販売からの誘導等によりネット販売を新たに開始した場合は、業態転換に該当をします。
オフィス街で営業する弁当販売をしていたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により売上が減少をしていた飲食業者が、吸収分割を行い、新たに病院向けの給食等の施設給食業に着手した場合は、事業再編に該当をします。
事業再構築補助金の申請要件は、その申請枠が通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠の、どの申請枠で申請するかによって異なりますが、いずれの申請枠でも補助対象となる事業に取り組んでいることが必要となります。
新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の内容を理解し、取り組みに対して補助金が受け取れるよう、要件をよく確認のうえ、申請を行うようにしましょう。